SANSUI TU-α507i

SANSUI TU-α507i をゲット!

2016年8月1日、 SANSUI TU-α507i を平塚市の K さんより研究用として寄贈いただきました。 リペア&再調整を8月16日に完了しました。

製造シリアルは 608020030 です。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



クリーニング

  1. 全体のクリーニングを行いました。 ケースの内部は綺麗でした。

  2. フロントパネルのヤニは取れたのですが、クリーニングするほど塗装面が醜くなります。



カバーを開けてみました

  1. 作りはかなり良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 以下の IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    MITSUBISHI M5218 Dual Low-noise Operational Amplifier
    SANYO LA1235 FM IF System
    LA1245 AM Electronic Tuner
    LA3410 VCO Non-Adjusting PLL FM MPX
    LC7217 PLL Frequency Synthesizers for Electronic Tuning (LC7218 とほぼ同じ)
    SONY CXP5014 CMOS 4-bit 1 Chip Microcomputer
    TOSHIBA TA7302P FM IF amplifier
    TC9306 DTS Micro Controller Containing LCD driver

  3. FM フロントエンドは4連バリキャップ式です。 全体が金属シールドされているので、詳細不明です。

  4. FM IF 部は WIDE/NARROW 切換できます。 以下の構成です。

  5. FM 検波部は [LA1235] のクォードラチュア検波です。

  6. MPX 部は [LA3410] を使った PLL MPX です。

  7. AM 受信部は [LA1245] で全てを構成します。 AM フロントは2連バリキャップ式です。

  8. プリセットメモリのバックアップは MCU 基板に搭載された C11 8.2mF/5.5V 電気二重層コンデンサで行います。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    FM/AM 種別 調整ポイント 調整内容
    FM L L1 RF
    L L2
    L L3
    L L4 OSC
    IFT IFT IF
    IFT T1 IF
    IFT T2 QR 検波 (同調点)
    IFT T3
    VR VR1 Mute Level
    VR VR2 Signal Level
    VR VR3 Stereo Separation
    LPF LF1 Pilot Fileter
    AM L T2a RF
    TC TC3a
    L T3a OSC
    TC TC1a
    IFT+CF CF1a IF
    IFT T5a
    VR VR1a Stop Level
    VR VR2a Signal Level

  2. 電圧測定

    測定ポイント 標準値 実測値 備考
    JP53 +5 +5.6V +5.66V MCU などのデジタル用
    +12 +14V +15.0V チューナ部などのアナログ用
    H.S +16V 程度 +16.1V 電源ミュート用

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 TU-α507i の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FM/AM : FM
    FM IF BAND : WIDE
    FM MODE : AUTO
    FM NOISE CANCELER : OFF
    - -  
    2 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 L1
    L2
    L3
    IFT
    T1
    VR2 電圧 = 最大 RF & IF 調整
    3 90dB
    変調 : MONO 1kHz
    T3 オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 調整
    4 T2 TP1〜TP2 間電圧 = 0V
    5 手順3と4を数回繰り返す
    6 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信 LF1
    左コア
    L ch. オーディオ出力電圧
     = 19kHz 成分最小
    キャリアリーク調整 (L)
    7 LF1
    右コア
    R ch. オーディオ出力電圧
     = 19kHz 成分最小
    キャリアリーク調整 (R)
    8 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO 1kHz
    IFT
    T1
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 ステレオ歪調整
    コア回転は±180度以内
    9 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    VR3 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    10 22dB
    変調 : MONO 400Hz
    VR1 MUTING ON/OFF 切替ギリギリに設定 MUTING レベル調整
    11 50dB
    変調 : OFF
    VR2 S メータ = 5 S メータ調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 TU-α507i の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FM/AM : AM - -  
    2 - - 531kHz 受信 T3a VT 電圧 = 1.09V (実測値) OSC トラッキング調整
    3 - - 1629kHz 受信 TC1a VT 電圧 = 8.12V (実測値)
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 603kHz 40dB
    変調 : OFF
    603kHz 受信 T2a VR2a 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    6 1404kHz 1404kHz 受信 TC3a
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 999kHz 40dB
    変調 : OFF
    999kHz 受信 CF1a
    T5a
    VR2a 電圧 = 最大 IF 調整
    9 47dB
    変調 : OFF
    VR1a VR1a 中点電圧 = 1.7〜2.0V ストップレベル調整
    10 70dB
    変調 : OFF
    VR2a S メータ = 5 S メータ調整

  5. 調整結果

    項目 IF BAND L R 単位
    ステレオセパレーション WIDE 48 49 dB
    NARROW 30 28 dB
    パイロット信号キャリアリーク (19kHz) - -86 -79 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 -0.07 dB



使ってみました

  1. デザイン

  2. リアパネルの端子

  3. 操作ボタンやスイッチ

  4. 評価



仕様など

  1. ドキュメント

  2. 仕様は以下です。