Pioneer TX-8800U

Pioneer TX-8800U をゲット!

2015年11月4日に Pioneer TX-8800U のジャンク品を 税込100円 で入手し、11月10日に整備完了しました。

以前手掛けた TX-8900U の [同調ノブ] [ツマミ] [レバー] にキズがあり、これらが部品取りできるジャンク格安品を探していました。 100円なら予算内です。

TX-8800U の外観は TX-8900U とほぼ同じため、外装部品が流用できます。

販売コメントは以下です。
●動作やメーター等は確認しましたが、実際に音が出るか未確認です。
●パネルのゴムパッキンが外れたりしています。

部品取りする前に、手が勝手に動いてメンテナンスしてしまいました。

本機のシリアルナンバーは [WG1029908] です。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 古き良き時代の作りです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 以下の IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能 備考
    HITACHI HA1197 AM Tuner System  
    HA1452W 2-Channel Audio Preamplifier  
    Pioneer PA1001 PLL FM Stereo Demodulator 東光 KB4437 と同じ
    PA1002 AF Amplifier  
    PA2002 電源制御  
    PA3001 FM IF System HA11225 と同じ

  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. FM 検波部

  6. FM MPX 部

  7. AM 受信部



修理

  1. 汚れなど

  2. ダイヤル指針が 86MHz 以上に進まない。

  3. 音が全く出ない。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    基板 FM/AM
    区分
    種別 調整ポイント 調整内容 参考図
    フロントエンド FM L LA, LR1, LR2 RF 図-1
    TC TCA, TCR1, TCR2
    L LO OSC
    TC TCO
    IFT IF IF
    AM TC AM1 RF
    TC AM2 OSC
    チューナ基板 FM IFT T1 IF (WIDE/NARROW 共通) 図-2
    IFT T2 IF (NARROW)
    IFT T3 QR 検波
    VR VR1 NARROW ゲイン
    VR VR2 S メータレベル
    VR VR3 MUTING レベル
    VR VR4 MPX VCO
    VR VR5 ステレオセパレーション (WIDE)
    VR VR6 ステレオセパレーション (NARROW)
    VR VR7 REC CAL レベル
    VR VR9 パイロットキャンセル
    VR VR10 T メータ・サプレス
    AM L バーアンテナ RF
    L T4 OSC
    IFT F8 IF





  2. 電圧チェック

    基板 TP 標準値 実測値
    電源基板 1, 2, 3, 4, 5 +13V +13.32V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 TX-8800U の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FUNCTION : FM MONO
    IF BAND : NARROW
    REC LEVEL CHECK : OFF
    MUTING : OFF
    - -  
    2 10.7MHz 90dB
    変調 : OFF
    SSG 出力を [57] に注入 T3 下側コア T メータ = センター (0V) 仮同調点調整
    3 78MHz 78MHz 受信 フロントエンド
    LO
    OSC トラッキング調整
    4 88MHz 88MHz 受信 フロントエンド
    TCO
    5 手順3と4を数回繰り返す
    6 78MHz 10〜30dB
    変調 : OFF
    78MHz 受信 フロントエンド
    LA
    LR1, LR2
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    7 88MHz 88MHz 受信 フロントエンド
    TCA
    TCR1, TCR2
    8 手順6と7を数回繰り返す
    9 83MHz 10〜30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 フロントエンド
    IF
    S メータ = 最大 IF 調整
    T1, T2
    10 90dB
    変調 : MONO 1kHz (100%)
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    T3 上側コア オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 調整
    11 T3 下側コア T メータ = センター (0V)
    12 手順10と11を数回繰り返す
    13 83MHz 50dB
    変調 : MONO 1kHz (100%)
    83MHz 受信 VR2 S メータ = 4 S メータ調整
    14 83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    VR1 S メータ = 4 NARROW ゲイン調整
    15 20dB
    変調 : MONO 1kHz (100%)
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    MUTING : ON
    VR3 VR3 を一旦反時計方向に回し切り
    徐々に時計方向に回しミューティング
    がかかったらストップ
    MUTING レベル調整
    16 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信
    FUNCTION : FM AUTO
    VR4 VR4 を一旦反時計方向に回し切り
    徐々に時計方向に回し STEREO
    ランプが点灯する位置を記録・・・(1)
    VR4 を一旦時計方向に回し切り
    徐々に反時計方向に回し STEREO
    ランプが点灯する位置を記録・・・(2)
    VR4 を(1)と(2)の中間に設定する
    MPX VCO 調整
    17 VR9 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    18 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    VR5 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 WIDE セパレーション調整
    19 83MHz 受信
    IF BAND : NARROW
    VR6 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 NARROW セパレーション調整
    20 90dB
    変調 : MONO 400Hz (100%)
    83MHz 受信
    IF BAND : WIDE
    - オーディオ出力電圧 = レベルを記録 REC LEVEL CHECK 調整
    21 - - REC LEVEL CHECK : ON VR7 オーディオ出力電圧
     = 手順20の1/2 (-6dB)

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 TX-8800U の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FUNCTION : AM - -  
    2 600kHz 30dB
    変調 : 400Hz (30%)
    600kHz 受信 バーアンテナ
    T4, F8
    オーディオ出力 = 最大 トラッキング調整
    3 1400kHz 1400kHz 受信 フロントエンド
    AM1, AM2
    4 手順2と3を数回繰り返す

  5. 調整結果

    1. FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。 良好な数値です。

    2. 高調波歪率はステレオ 1kHz WIDE で 0.5%、NARROW で 0.7% でした。 仕様より悪いです。

    項目 IF BAND L R 単位
    ステレオセパレーション WIDE 52 50 dB
    NARROW 51 45 dB
    パイロット信号キャリアリーク - -73 -73 dB
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 -0.08 dB
    REC LEVEL CHECK 信号 - -7.7 -7.6 dB
    421.9 Hz



使ってみました

  1. デザイン

  2. 機能関連

  3. 性能・音質



TX-8900U との比較



仕様その他

  1. TX-8800U の輸出型式 TX-8500U のドキュメント

  2. 仕様は以下です。

    FM 受信部
    実用感度 (75Ω) mono 0.9uV/10.3dBf
    S/N 比 50dB 感度 (75Ω) mono 1.75uV/16.1dBf
    stereo 20uV/37.2dBf
    S/N 比 mono 79dB
    stereo 75dB
    高調波歪率 WIDE mono 0.15% (100Hz), 0.08% (1kHz), 0.15% (10kHz), 0.15% (15kHz)
    stereo 0.15% (100Hz), 0.15% (1kHz), 0.5% (10kHz), 0.8% (15kHz)
    NARROW mono 0.15% (100Hz), 0.15% (1kHz), 0.15% (10kHz)
    stereo 0.4% (100Hz), 0.4% (1kHz), 0.9% (10kHz)
    キャプチャーレシオ WIDE 0.8dB
    NARROW 2.0dB
    実効選択度 WIDE 35dB (400kHz)
    NARROW 80dB (400kHz), 60dB (300kHz)
    ステレオセパレーション WIDE 45dB (1kHz), 35dB 以上 (50Hz〜15kHz)
    NARROW 45dB (1kHz), 30dB 以上 (50Hz〜15kHz)
    周波数特性 20Hz〜10kHz ±0.2dB
    20Hz〜15kHz +0.2 -0.5dB
    イメージ妨害比 90dB
    IF 妨害比 100dB
    スプリアス妨害比 90dB
    AM 抑圧比 55dB
    キャリアリーク抑圧比 72dB
    ミューティング動作レベル (75Ω) 2.5uV/19.2dBf
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型 / 300Ω平衡型
    AM 受信部
    実用感度 300uV/m (バーアンテナ)
    15uV
    選択度 30dB
    S/N 比 50dB
    イメージ妨害比 45dB
    IF 妨害比 50dB
    総合
    出力レベル/インピーダンス FM
    100% 変調
    Fixed 650mV/4.2kΩ
    Variable 50mV〜1.3V/3.6kΩ
    AM
    30% 変調
    Fixed 200mV/4.2kΩ
    Variable 15〜400mV/3.6kΩ
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 20W
    外形寸法 420(W)×150(H)×392(D)mm
    重量 8.0kg
    その他
    発売時期 1976年
    定価 46,800円