TRIO KT-80

TRIO KT-80 をゲット!

2009年8月7日、 TRIO KT-80 の中古を入手しました。 KA-80 というペアになるアンプまでセットされて2,100円でした。

薄型デザインの FM 専用チューナパルスカウント検波 です。 この写真は修理&再調整後です。 [POWER] ランプの輝きがブルーになっています。



程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部

  6. 使用 IC のロット番号より、この KT-80 は1979年製と判明しました。



リペア

  1. リアパネルの右下が変形

  2. [POWER] ランプ切れ

  3. ランプ電源の電解コンデンサ交換

  4. 清掃



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    機能 種別 調整ポイント 調整内容
    フロントエンド L L1
    L2
    L3
    RF トラッキング
    TC TCA
    TCR1
    TCR2
    L L5 OSC トラッキング
    TC TCO
    IFT T1 IF
    IF IFT T2 同調点 (NULL)
    L T4 NOISE AMP
    DET L T3 2nd OSC
    BPF FL1 2nd IF
    LPF FL3 アンチバーディフィルタ
    MPX VR VR1 VCO フリーラン周波数
    VR2 ステレオセパレーション
    LPF FL5 キャリアリークフィルタ (L)
    FL6 キャリアリークフィルタ (R)
    REC CAL VR VR3 REC CAL レベル

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    R13 R13 両端 T メータ (同調点) FM 受信同調で 0±10mV
    R23F R23F〜GND 間 2nd IF 周波数 1.96MHz
    R28L R28L〜GND 間 VCO 周波数 76kHz±200Hz
    R53F R53F〜GND 間 S メータ 受信レベル

  3. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    電源基板の J100 15V 15.2V

  4. 受信部の調整

    手順 SSG出力 KT-80 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - REC CAL : OFF
    MUTING : OFF
    LOCK : OFF
    - -  
    2 10.7MHz
    90dB
    変調 : OFF
    - T2 R13 両端電圧 = 0±10mV FM 同調点調整
    SSG 出力を CF1 リア側に注入
    3 83MHz
    90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 TCO OSC 調整
    4 83MHz
    40dB
    変調 : OFF
    TCA
    TCR1
    TCR2
    R53F 電圧 = 最大 RF 調整
    5 T1 IF 調整
    6 83MHz
    90dB
    変調 : OFF
    T3 R23F 周波数 = 1.96MHz 2nd IF 調整
    周波数カウンタで測定
    7 - REC CAL : OFF
    MUTING : ON
    LOCK : OFF
    - -  
    8 83MHz
    90dB
    変調 : OFF
    - VR1 R28L = 76kHz±200Hz VCO 調整
    周波数カウンタで測定
    9 83MHz
    90dB
    変調 : stereo 1kHz
    83MHz 受信 T1 オーディオ出力 = 高調波歪率最小 IF 歪調整
    ±180度の範囲で調整
    10 83MHz
    90dB
    変調 : stereo 1kHz R/L-only
    83MHz 受信 VR2 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    11 83MHz
    90dB
    変調 : mono 400Hz
    83MHz 受信 - オーディオ出力電圧 = レベルを記録  
    12 - FM REC CAL : ON VR3 オーディオ出力電圧
    = 手順11の1/2 (-6dB)
    REC CAL 調整

  5. 調整結果

    1. FM フロントエンドでトラッキングのズレがあり、再調整で感度アップしました。

    2. スレテオセパレーションは上位機種と比べるとやや低い数値ですが、特に問題ないです。

      項目 L R 単位
      ステレオセパレーション 47 46 dB
      パイロット信号キャリアリーク -71 -68 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.07 dB
      REC CAL 386.7 Hz
      -6.0 -6.0 dB



使ってみました

  1. 薄型でデザイン性の優れたチューナー

  2. 機能関連

  3. 端子類

  4. 受信性能&音質



仕様その他

  1. ドキュメント

  2. 仕様は以下です

    FM チューナー部  
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    実用感度 (75Ω/IHF) 0.95uV/10.3dBf
    S/N 比 50dB 感度 (75Ω/IHF) mono : 1.65uV/15.5dBf
    stereo : 20uV/37.2dBf
    キャプチャーレシオ IF Wide : 1.5dB
    実効選択度 75dB
    S/N 比 (100% 変調 1uV 入力) mono : 83dB
    stereo : 80dB
    イメージ妨害比 100dB
    IF 妨害比 100dB
    AM 抑圧比 65dB
    高調波歪率 stereo 0.07% (1kHz)
    周波数特性 30Hz〜15kHz +0.2dB -0.8dB
    ステレオセパレーション 48dB (1kHz)
    キャリアリーク抑圧比 65dB
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型
    300Ω平衡型
    総合  
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 (電気用品取締法) 11W
    外形寸法 440(W)×78(H)×333(D)mm
    重量 4.5kg
    その他  
    発売時期 1979年
    定価 37,000円