2006年10月9日、ヤフオクにて、PLL シンセサイザー FM/AM チューナー
Pioneer F-717
のジャンク品を税込2,000円にて入手しました。
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AM／FM とも受信問題ない、ステレオ受信している・・・の件
AM 受信は問題ありませんが、FM 受信では音は出るがステレオになりません。 出品者に再確認したところ「L と R の信号がちゃんと出ているのでステレオ受信できている」と判断したとのこと。 オークションには、こういう感じで出品されているので、自分で修理できない方はジャンクを落札しないほうがよいです。
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感度の表示が FM の場合表示されない・・・の件
この通りでした。 シグナルインディケータのレベル表示が出ません。
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オートチューニングができない・・・の件
この通りでした。
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以上を総合すると、FM 受信感度が大きく落ち込んでいると判断しました。
感度が落ちているから、レベル表示が出ない／ステレオにならないと論理的に合います。
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この他に、以下の不具合がありました。
- FL 表示が薄くなっている。
- 押しても効きにくいのボタンが何個もある。
- フロントパネルと天板にキズが多い。
写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。
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各電圧は正常だし、ストレスが掛かっていそうな部品が見当たらないので、まずは、高周波系の調整をやってみることにしました。
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IF 最終段の IFT を調整。
ここで僅かですが、受信レベル表示が出るようになりました。
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FM フロントエンドを再調整しました。
トッラキング調整をやったら、感度が急激に上がって、レベル表示が正常に出るようになり、同時にステレオ受信とオートチューニングが出来るようになりました。
トラッキング調整ではアンテナ入力を 30dB にし、メイン基板中央リア近くにある TP22 に直流電圧計をつないで、電圧値が最高になるようにします。
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IF 段のその他の IFT 及び PLL 検波回路の VCO トランスを調整して、感度は新品時の状態に戻りました。
PLL 検波回路は右図のような構成です。
PLL が FM IF の中心周波数にロックしていると VCO の発振周波数は FM 入力信号の周波数変化に追随して動作します。
従って，ローパスフィルタを通った誤差信号電圧は VCO の発振周波数を入力信号の周波数にロックさせる制御電圧として働くため，制御電圧そのものが復調出力になります。
VCO の発振周波数を中間に合わせる調整だけで済むので、割と簡単です。
大体合えば、後は勝手に PLL 同期してくれるので厳密に調整する必要はありません。
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AM フロントエンドのトラッキング調整を実施。
AM も感度が上がって新品時の状態に戻りました。
トラッキング調整では、AM 基板にある TP35 に直流電圧計をつないで、電圧値が最高になるようにします。
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全ての操作をやってみて正常であることを確認しました。
今回の修理は調整だけで済みました。
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実は、F-717 のジャンク品はもう1台（これは1,000円で入手。）用意してありました。
壊れている所は判っているのですが、パイオニア製の非売品 IC のため、修理できずに手持ちしていたものです。
こちらは外観は新品同様に綺麗で、FL 管の劣化もありません。
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このもう1台の F-717 からフロントパネルや天板などを、今回修理した F-717 に移植しました。
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操作ボタン用タクトスイッチで接触不良が多数あったので、全数交換しました。
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OA クリーナーで全体的なクリーニングを軽くやって、新品時の輝きを取り戻しました。
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Pioneer のチューナーの修理は難しいです。
それは、同社のオリジナル IC が多用されており、その IC は市販されていないので、交換品の手配ができないのです。
よって、同社のチューナーの修理の基本方針は
２コ１
（ニコイチと読みます。）が正解です。
同じ型式のジャンクを2台仕入れ、動作良好な部品を組み合わせて、1台の完全動作品を作り出すのです。
FM アンテナ F 端子が2個あります。
アンテナを2系統から選択できます。
