DENON AVR-770SD をゲット!
2009年1月25日、
HARD-OFF 春日部店
へ行ったら
DENON AVR-770SD
というデジタルパワーアンプ搭載の
AV レシーバー
が転がっていたので、ゲットしました。
定価は78,750円(税込)です。
日本で「レシーバー」というと FM/AM チューナー付きプリメインアンプをさします。
一部では「チューナーアンプ」とも呼ばれます。
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ケースの天板のスリットから内部を覗くと
Tripath TA2022
のデジタルパワーアンプ IC とスイッチング電源が見えたので、一瞬で「これは買い!」と判断しました。
ハイ、ジャンク漁りする時はいつも高輝度 LED ライトとルーペを持参していますよ!
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純正リモコンと
取扱説明書
の添付がありました。
リモコンの状態は良いです。
FM 簡易アンテナと AM ループアンテナは欠品ですが、これらはどうにでもなるので構わないです。
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フロントパネル、リアパネル、天板ともキズが見当たらず良い状態でした。
残念ながら天板の中央後ろ側に、この上に載せていた機器のゴムか何かの色転写と思われるアザみたいな 50mm 角くらいの汚れがありました。
ラックに実装すれば全く見ない位置なのでガマンします。
これ以外の欠点は全く見当たりませんでした。
カバーを空けてみました
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基板の作りは良いです。
アナログアンプと違って、とてもオーディオアンプにはみえません。
写真をクリックすると拡大写真が表示できます。
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実に全体の基板面積の半分近くを電源回路が占めます。
電源はスイッチング型です。
デジタルアンプでは電源のインピーダンスを極小にする必要があるので、スイッチング電源のほうが正解です。
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使用デジタルアンプ IC は
Tripath TA2022
で、3個使っています。
1個の TA2022 で出力 100W+100W も出ます。
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TA2022 以外の主な使用 IC は以下です
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FM/AM チューナー部分は右上にある小さいシールドボックスです ・・・ たったこれだけか!
周波数特性実測 (1W 出力時)
・・・ 元データは
こちら
です。
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デジタルアンプはスピーカ直前にローパスフィルタを実装しています。
従って、スピーカのインピーダンスが変わるとローパスフィルタの時定数が変化して、特性に影響が出る可能性があります。
そこで、4Ω, 8Ω, 16Ω負荷について、それぞれの特性を実測しました。
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AVR-770SD の [CDR/TAPE] アナログ入力で、2CH 再生モード [DIRECT] で測定しました。
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測定範囲は 10〜44,000Hz です。
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ブルー線はスピーカ出力端子に4Ωのダミー抵抗を接続して測定
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ピンク線はスピーカ出力端子に8Ωのダミー抵抗を接続して測定
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イエロー線はスピーカ出力端子に16Ωのダミー抵抗を接続して測定
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考察
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予想通り、負荷インピーダンスによって高域で特性が変化します。
大きな変化があるように見えますが、縦レンジを細かくしているので、そのように見えるだけです。
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スピーカインピーダンスが高くなるほど、高域でレベルが上がるようです。
メーカが推奨しているが6Ωというのは当りの気がします。
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4Ω負荷では 20〜20,000Hz -1.77dB +0.58dB です。
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8Ω負荷では 20〜20,000Hz -1.82dB +0.81dB です。
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16Ω負荷では 20〜20,000Hz -1.84dB +1.00dB です。
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4Ω/8Ω/16Ωいずれも 10kHz までの特性はほぼ同じです。
10kHz 以上で差が出ます。
これは、出力段には NFB がかかっていないためと思います。
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4Ω/8Ω/16Ωいずれもカットオフ周波数 15Hz のハイパスフィルタが入っているようにも見えます。
使ってみました
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お断り
- AVR-770SD は高性能 AV レシーバですが、私は 2ch. ステレオで使うことを主目的にしており、このため、ここでの評価は 2ch. ステレオモードで行っています。
- 2ch. ステレオということでスピーカは2本しか接続しておらず、デジタルパワーアンプは常に4つも遊んでいます。
- BTL 接続できるなら余っているデジタルパワーアンプも有効活用したいのですが・・・
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AVR-770SD はデジタルパワーアンプ搭載の AV レシーバーで、フルデジタルアンプではありません。
後継機の AVR-550SD はフルデジタルアンプです。
でも AVR-770SD は AVR-550SD より豊富な入出力端子があり、使い勝手が良いです。
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全体に
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未来を予感させる非常にスッキリしたデザインです。
高さは 80mm あるのですが、筐体部分だけの高さは 68mm でフロントパネルの上下に傾斜曲げが入っているので薄いように見えます。
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サイズは 434(W)×80(H)×380(D)mm で高さ以外はそれなりの大きさですが、重さは 4.8kg と、とっても軽いです。
高級 FM チューナーくらいの重さで高さはかなり低いと思っていただければよいです。
片手で楽々抱えられます。
これで 100W×6ch. アンプですから、デジタルパワーアンプの威力は凄いです。
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AV アンプというと、鉄の塊か?と思うほどデカくて重いアンプが多いですが、デジタルパワーアンプを採用すると電源効率が良いのでこのサイズ・重さに収まります。
これで音が悪かったら意味がないですが、音も良いです。
今までのアナログアンプはいったい何だったのか・・・
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総出力 600W にも関わらず消費電力は 125W で少な過ぎです ・・・ 定常使用状態での消費電力だと思います。
おそらく、全てのチャンネルで 100W を同時出力した時は 700W くらいになると思います。
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AV アンプは(家族で使うことを想定して)パネル文字が日本語であることが多いですが、AVR-770SD は幸いなことに全て英語表記です。
私は、英語表記のほうがパネル面がスッキリして好みです。
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質感が良いです
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フロントパネルはアルミヘアラインです。
最近の AV アンプではヘヤライン風プラスチックパネルが多いですが、マニアにも支持される純アルミ材を使っています。
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フロントパネルの広い範囲を占める表示部はハーフミラー加工されたアクリル板です。
フロントパネル操作していると自分の顔が映ります。
表示器は FL 表示管で、その表示はハーフミラー板を通過して浮き上がるように表示されます。
この感じはとても良いです。
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FL 表示の明るさは、リモコンの [DIMMER] ボタンを押すことで3段階に変えることができます。
完全に消すこともできます。
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FL 表示を完全に消しても、何かの操作をすると1秒程度は再表示して消灯に戻ります ・・・ 私の通常設定です。
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[MASTER VOLUME] [FUNCTION / SELECT] ツマミも無垢ではありませんがアルミ製です。
[MASTER VOLUME] ツマミは操作が重いです ・・・ 特に問題はなく、私はマシンという感じがして好みです。
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電源 ON で [POWER LED] が点滅を始め、数秒後に内部からリレーのカチッという音と同時に点灯状態になります。
電源とデジタルパワーアンプが十分安定状態になってからスピーカ端子が ON になるので、電源 ON/OFF 時のポップノイズは皆無です ・・・ さすがオーディオ専業メーカ製です。
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2ch. ステレオモードでは、更に [STEREO] と [DIRECT] の2つのモードがあります
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[STEREO] モードではトーンコントロール機能が有効となります。
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[DIRECT] モードではトーンコントロール回路をバイパスし、よりピュアに音響を聴けます。
私はこのモードを常用とします。
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[VOLUME] は電子ボリュームなので左右の音量偏差は全く感じないです。
分解能 1dB 単位の音量調整ができます。
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ミニジャックながらヘッドホン端子があります。
使わないと思うけど、「ドルビーヘッドホン」にも対応しており、ヘッドホンでサラウンド音響も楽しめます。
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フル操作がリモコンからできます ・・・ というかフル操作するにはリモコンが必要です。
また、リモコンには各社・各機器のリモコンコードが記憶されており、設定することで各社の各機器を操作することができます。
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機能が豊富で
取扱説明書
は92ページもあります。
全てを理解するには少々時間がかかります。
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DENON は「AVR-770SD がデジタルパワーアンプ搭載であることを宣伝文句にしていない」です。
どちらかと言うと、隠蔽しています。
なぜでしょう? ・・・ たぶん従来の DENON トーンと違うのでしょうね。
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リアパネルです ・・・ 実に端子類が多いです
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アンテナ入力
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FM アンテナ入力は F 端子になっており、妨害電波の混入を避けられます。
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AM アンテナ端子はワンタッチコネクタになっており、ここに AM ループアンテナを接続します。
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アナログ AV 入出力
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アナログ AV 入力は [TV/DBS] [V.AUX] [VCR] [DVD/VDP] の全部で4系統です。
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アナログ AV 出力は [VCR] の1系統です。
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アナログオーディオ入出力
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アナログオーディオ入力は [CDR/TAPE] の1系統です。
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アナログオーディオ出力は [CDR/TAPE] の1系統です。
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D4 ビデオ入出力
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D4 ビデオ入力は [VIDEO-1] [VIDEO-2] の全部で2系統です。
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D4 ビデオ出力は [MONITOR] の1系統です。
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[VIDEO-1] [VIDEO-2] は物理名で、この名前で入力選択することはできません。
この物理名を [TV/DBS] [V.AUX] [VCR] [DVD/VDP] のいずれかに割り当て(AV ビデオ入力と置き換える。)て使います。
[Video In Assignment] メニューにて割り当てます。
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2系統の D4 ビデオセレクタとしても使えます。
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デジタル音声入出力
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デジタル音声入力は、光 [OPT-1] [OPT-2] [OPT-3] と同軸 [COAX] の全部で4系統です。
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デジタル音声出力は [OPT-3] の1系統です。
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[OPT-1] [OPT-2] [OPT-3] [COAX] は物理名で、この名前で入力選択することはできません。
この物理名を [TV/DBS] [V.AUX] [VCR] [DVD/VDP] [CDR/TAPE] のいずれかに割り当て(アナログ音声入力と置き換える。)て使います。
[Digital In Assignment] メニューにて割り当てます。
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[OPT-3] 出力端子を活用して4系統のデジタル音声セレクタとしても使えます。
[OPT-1] [OPT-2] [OPT-3] [COAX] 入力端子に入れた DAI 信号がそのまま [OPT-3] 出力端子に出力されます。
アナログ入力を DAI 信号に変換する機能はないです。
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スピーカ出力端子
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[FRONT L] [FRONT R] [CENTER] [SURROUND L] [SURROUND R] [SURR.BACK / SUBWOOFER] の6系統あります。
それぞれ出力 100W です。
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AV アンプではリアパネルの端子面積を小さくするために、スピーカ端子が特殊なものが多いですが、AVR-770SD では標準サイズの端子なので使いやすいです。
ケーブル直接接続とバナナプラグ接続に対応します。
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スピーカ出力は SEPP 接続です。
よって、グランドは各スピーカともアンプのグランドと同一です。
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インピーダンスが6〜16Ωのスピーカに対応します。
TA2022 はそもそも4Ωにも対応しているので、4Ω程度までのスピーカ接続にはそれほど問題はないと思います。
低いインピーダンスのスピーカほど出力が取り出せます。
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その他の端子
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[SUBWOOFER OUT] というサブウーファへのアナログ出力が1系統あります。
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[FRONT L] [FRONT R] [CENTER] [SW] [SURR. L] [SURR. R] の外部アナログ入力端子があります。
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これはサラウンド処理された出力を持つ機器(ハイビジョンの MUSE 3-1方式など)を接続するのに使います。
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[FRONT L] [FRONT R] は [DVD/VDP] と同じ端子で、端子を兼ねます。
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この機能を応用して、AVR-770SD を 5CH デジタルパワーアンプとして使うことができます。
[SW] 入力を [SURROUND BACK / SUBWOOFER] スピーカ端子より出力する機能がないので、5CH となります。
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AVR-770SD の [ON/STANDBY] スイッチと連動する [AC OUTLET] が1個あります。
許容電力は 100W とちょっと少ないので注意が必要です。
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内臓 FM/AM チューナーの性能
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FM シンセサイザーチューナーのファン
としては、このチェックは欠かせません。
結果、ごく普通レベルの性能でそれほど良くはないですが、まあ何とか使えるというレベルでした。
(チューナーではなく)ラジオとして使うなら、そう不満はないです。
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FM の受信周波数は 76〜108MHz と日本バンドから海外バンドまでカバーします。
AM の受信周波数は 522〜1629kHz です。
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チューニング方法には [MANUAL] と [AUTO] があります。
[MANUAL] モードは強制モノラル受信機能を兼ねます。
[AUTO] モードでは放送により STEREO/MONO が自動的に切り替わります。
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プリセットメモリは FM/AM ランダムに40局分あります。
リモコンの [SHIFT] キーで A〜E グループに切り替わり、各グループ8個のメモリに記憶させることができます。
40局分もメモリがあっても多すぎて使いようがないです。
私は A グループに FM を、B グループに AM を登録し、C〜E グループは使っていません。
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放送局を自動的に探して自動でプリセットする [オートプリセット] 機能があります。
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シグナルメータ表示はありません。
このクラスのチューナーでは特に必要性を感じないです。
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FM の感度は良いですが、少しの過入力で音が歪みます。
我が家の環境では電波が強過ぎるのか、-10dB のアッテネータを入れてちょうど良くなりました。
歪っぽさが解消し、音はまあまあのレベルです。
不満はないですが、あくまでも並レベルで、優れているというレベルではないです。
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AM の感度は良いです。
音は普通です。
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検聴しました
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スピーカは
ONKYO D-202AU
を接続しました
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2.5cm ソフトドームと 16cm ウーファーの 2WAY 構成で、振動板がホヤ貝の繊維とパルプでできています。
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インピーダンスは5Ωなので AVR-770SD が要求する6〜16Ωを少し逸脱しますが、特に問題なく使えました。
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CD プレーヤと接続し、中島みゆきのファーストアルバム
私の声が聞こえますか
を再生しました。
一聴して高音質と判ります
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デジタルアンプ特有の
無味無臭・無色透明
の音質です。
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高音域はスッキリ爽やか高解像度で音の分離も良いです。
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TOPPING TP-10 MARK-U
と比べると、若干音がまろやかに感じます。
プリアンプ部に僅かな色付けがあるのかもしれません。
マイコンの初期化
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本体の動作異常があった場合、[マイコンの初期化] を行うと回復する場合があります。
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さまざまな設定を全て工場出荷時に戻したい場合にも [マイコンの初期化] でできます。
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[マイコンの初期化] の方法
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[POWER] ボタンを押してスタンバイ状態にしてから、壁の電源コンセントから電源コードを抜きます。
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本体の [5CH/6CH STEREO] ボタンと [DIRECT/STEREO] ボタンを同時に押しながら、電源プラグをコンセントに差し込みます。
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ディスプレイ表示が約1秒間隔で点滅するのを確認後、2つのボタンから指を離します。
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マイコンが初期化されます。
また、各種設定状態がすべて工場出荷時の初期設定に戻ります。
仕様