Technics ST-G99V

Technics ST-G99V をゲット!

2011年2月23日、私のチューナーページのファンの N さんから Technics ST-G99V の寄贈を受けました。

寄贈者のコメントは以下です。



状況チェック

  1. 外観

  2. FM 受信

  3. AM 受信

  4. TV (VHF/UHF) 受信

  5. その他



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 電源トランスは立派です。 写真をクリックすると基板の拡大写真を表示できます。

  2. IC を多用して合理化が図られています。


  3. FM 受信回路は、 Panasonic ST-G560 のサブセットのような構成です。

  4. AM 受信回路は [AN7274NS] で全てを構成します。

  5. メモリをバックアップするコンデンサーが見当たりません。

  6. 使っている部品のロット番号から見ると、本機は1990年製のようです。 電源ケーブルの製造マーキングも1990年でした。



リペア



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 ST-G99V の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - band selector : FM - -  
    2 - - TV/FM mode : mono
    89.9MHz 受信
    OSC コイル R101 フロント側電圧 = 11.0V VT high
    3 - - TV/FM mode : mono
    76.1MHz 受信
    - R101 フロント側電圧 = 2.5V VT low
    確認のみ
    4 83MHz 30dB TV/FM mode : mono
    83MHz 受信
    RF コイル×3
    IFT
    CF102-out 波形 = 最大 RF, IF 調整
    シンクロスコープで観測
    5 83MHz 90dB
    変調 : MONO, 1kHz
    TV/FM mode : mono
    83MHz 受信
    T102 オーディオ出力 = 高調波歪最小  
    6 83MHz 90dB
    変調 : MONO, 1kHz
    TV/FM mode : mono
    83MHz 受信
    T101 TP101〜TP102 間電圧 = 0V (FM 同調点調整)
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す クォードラチュア検波調整
    8 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    TV/FM mode : auto
    83MHz 受信
    VR302 (FM VCO) [STEREO] 表示が出るように調整 VCO 調整
    9 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    TV/FM mode : auto
    83MHz 受信
    VR301 (FM SEP.) L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  3. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 ST-G99V の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - band selector : AM - -  
    2 - - 1629kHz 受信 L102 R139 左側電圧 = 6.9V VT high
    3 - - 522kHz 受信 - R139 左側電圧 = 1.0V VT low
    確認のみ
    4 630kHz 変調 : 1kHz
    出力 : 40dB
    630kHz 受信 L103 オーディオ出力 = 最大 ループアンテナを接続した
    状態で行うこと
    5 1440kHz 変調 : 1kHz
    出力 : 40dB
    1440kHz 受信 CT101 オーディオ出力 = 最大 ループアンテナを接続した
    状態で行うこと
    6 - - - - 手順4と5を数回繰り返す RF トラッキング調整
    7 999kHz 変調 : 1kHz
    出力 : 40dB
    999kHz 受信 T103 オーディオ出力 = 最大 IF 調整

  4. 調整結果

    1. クォードラチュア検波で大きなズレがありました。 同調ズレと歪感の原因でした。 再調整後は良好です。

    2. FM フロントエンドでもズレがありました。 再調整後は良好です。

    3. FM ステレオセパレーションとキャリアリークは以下となりました。 良い数値です。

      項目 L R 単位
      ステレオセパレーション 57 55 dB
      パイロット信号キャリアリーク -71 -68 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.06 dB



使ってみました

  1. デザイン

  2. 操作性

  3. 受信性能

  4. 評価



仕様その他

  1. 取扱説明書

  2. 仕様は以下です。

    FM チューナー部  
    受信周波数 76.1〜89.9MHz
    実用感度 0.9uV (10.3dBf)
    S/N 50dB 感度 mono : 2.2uV (18.1dBf)
    stereo : 22uV (38.1dBf)
    歪率 mono : 0.009%
    stereo : 0.015%
    ダイナミックレンジ 106dB
    周波数特性 4Hz〜18kHz +0.2dB -0.5dB
    実効選択度 40dB (±400kHz)
    キャプチャーレシオ 1.0dB
    イメージ妨害比 (83MHz) 90dB
    IF 妨害比 (83MHz) 105dB
    スプリアス妨害比 (83MHz) 110dB
    AM 抑圧比 55dB
    ステレオセパレーション 65dB (1kHz), 50dB (10kHz)
    キャリアリーク (19kHz) -70dB
    AM チューナー部  
    受信周波数 522〜1629kHz
    実用感度 (S/N 比 20dB) 20uV, 290uV/m
    選択度 50dB
    イメージ妨害比 40dB
    IF 妨害比 60dB
    TV チューナー部  
    受信周波数 VHF : 1〜12ch
    UHF : 13〜62ch
    実用感度 3.0uV (20.8dBf)
    全高調波歪率 mono : 0.2%
    stereo : 0.3%
    ダイナミックレンジ 96dB
    ステレオセパレーション 45dB (1kHz)
    総合  
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    消費電力 14.5W
    外形寸法 430(W)×93.5(H)×282(D) mm
    重量 3.8kg
    付属品 ワイヤレスリモコン EUR64410
    その他  
    発売時期 1987年
    定価 69,800円