SONY ST-S333ESX (4号機) が到着！
2022年5月12日、東京都足立区の N さんより
SONY ST-S333ESX
の修理依頼品が到着しました。
ST-S333ESX は好みの機種です。
到着後、程度＆動作チェック
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修理依頼者からのコメント
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動作は問題無さそうですが、高音域で音が歪む状態です。
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当時新品購入しました。
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1度受信周波数が 108.0MHz に変わってしまう不具合があって、ソニーサービスで修理してもらった経緯があります。
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外観
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1986年製造で、シリアル番号は [201988] です。
全体的にはやや綺麗な並みの中古状態です。
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フロントパネルにあるディスプレイの透明アクリル板に1本長い浅い線キズがあります。
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この他にも短い浅い線キズがもう1本あります。
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あまり目立たないので気になりません。
パフ磨きすれば取れそうな浅いキズです。
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リアパネルに汚れがありますが、端子類は問題ないです。
天板には結構スレがあります。
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サイドウッドはパッと見は綺麗ですが、よく見るとハゲなどがあります。
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入手した状態のまま電源 ON してチェックしました
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様です。
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ボタン操作に問題はなく良好です。
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FM は問題なく受信でき、ステレオになります。
オートチューニングも正常です。
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FM の音は問題ないように思え、高音域での音の歪も感じないです。
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AM は問題なく良好に受信できます。
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修理依頼者が設定したプリセットが消えておらず、プリセットメモリのバックアップは問題なさそうです。
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「高音域で音が歪む」現象が違うので、修理依頼者に再確認
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FM アンテナはどうしているのでしょうか？
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マンションの共同受信です。
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屋上に FM 用の八木アンテナが設置され、混成器で TV 波と一緒に各部屋へ送られています。
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「高音域で音が歪む」原因はマルチパス妨害の可能性があります。
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マルチパスがあると、高域が歪っぽく聞こえます。
FM フロントエンドの再調整で軽減できるかもしれません。
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東京では
2013年5月31日に送信塔が [東京タワー]→[東京スカイツリー]
に変わっています。
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東京 FM (80.0MHz) の送信アンテナは [東京タワー] に残り、それ以外の FM 放送局の送信アンテナは [東京スカイツリー] に移転しています。
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越谷からだとどちらのタワーでも方向はそれほど変わりませんが、都内の足立区では方向が大きく違うような気がします。
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なんとなく、マンションの FM 受信アンテナはいまだに [東京タワー] の方向に向いているのでは？
あくまで推測です。
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到着時のまま測定 (FM)
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私のところにやってくるチューナのほとんどが故障しているので、再調整前のデータが取れないのですが、今回は動作する状態だったのでデータ取りしました。
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ステレオ時の高調波歪率は 0.34% (1kHz) でした。
このチューナにしては悪いですが、それほど支障なく聴ける程度です。
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ステレオセパレーションは問題ないです。
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左右のレベル偏差はないので、オーディオ回路も問題なさそうです。
| 項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション |
WIDE |
48 |
54 |
dB |
| NARROW |
38 |
38 |
dB |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-75 |
-78 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
0 |
0 |
dB |
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修理方針
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以上のように特に問題なさそうな気がしますが、内部点検と再調整で不具合が見つかれば対処します。
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本機は1986年製で36年物ビンテージですから、(特に高周波系の) 調整ズレはしていると思います。
リペア
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修理を要する不具合はありませんでしたので、再調整しただけです
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SST 回路の調整が大きくズレていました。
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FM フロントエンドの RF トラッキングがズレていました。
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FM 同調点がズレていました。
当初 88mV → ±2mV に再調整しました。
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以上の他にもあちこちズレていました。
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全体の清掃
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内部に溜まっていた煤のようなゴミはブラシとエアダスターで除去しました。
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フロントパネルにあるディスプレイの内側が曇っていたので、分解して清掃しました。
クッキリ表示になりました。
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全体を OA クリーナで清掃しました。
再調整
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電圧チェック
| VP |
標準値 |
実測値 |
備考 |
| JW174 |
+15V |
+15.2V |
チューナ用 |
| JW122 |
+15V |
+15.5V |
FL 管用 |
| JW169 |
+5.6V |
+5.55V |
デジタル用 (MCU) |
| JW92 |
+30V |
+30.7V |
VT 電圧用 |
| D907-R |
-6V |
-5.50V |
コントロール用 |
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ST-S333ESX (1号機)
に記載の手順で再調整しました
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全高調波歪率 (stereo 1kHz) は 0.01% で優秀です。
調整前は 0.34% でしたので、大きく改善されました。
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ステレオセパレーションなどは以下のように調整前より全ての値が向上しました。
超優秀な数字です。
| 項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション |
WIDE |
70 |
66 |
dB |
| NARROW |
38 |
38 |
dB |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-82 |
-78 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE |
376.8 |
Hz |
| -7.2 |
-7.2 |
dB |
使ってみました
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パネルやボタンなどの機構部は贅沢な作りになっており、
超貴重品！
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FM は、感度・S/N・解像度とも良く、細かい音がよく聴こえます。
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AM も、感度が良く、音も良いです。
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高級感あふれる贅沢なチューナです。
超お奨め！！！
