SONY ST-S333ESX

SONY ST-S333ESX をゲット!

2006年2月25日、 HARD-OFF 越谷草加 BP 店で SONY ST-S333ESX の中古ジャンク品が3,150円でした。



SONY の ST-S333ES シリーズ FM チューナについて

  1. ST-S333ES シリーズは ST-S333ESX に始まり、ST-SA5ES で終わりました。

    発売年 型式 定価 (円) 対応
    サイドウッド リモコン AM stereo
    1986 ST-S333ESX 49,800 × ×
    1987 ST-S333ESXII
    1989 ST-S333ESG
    1991 ST-S333ESA 55,000
    1993 ST-S333ESJ
    1995 ST-SA5ES ×

  2. ST-S333ESX が記念すべき初代 で、SONY の高級 FM チューナの製造技術が確立しました。

  3. ST-SA5ES 以降は SONY から高級 FM チューナが発売されていません。



状態チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです 写真をクリックすると拡大写真を表示できます

  2. 以下の IC を使用して合理化が図られています

    メーカ IC 機能
    Mitsubishi M4051BP 8-Channel Analog Multiplexer / Demultiplexer
    NEC uPC324C Low Power Quad Operatinal Amplifier
    uPC1163HA FM IF Amplifier
    SANYO LA1235 FM IF System
    LA1245 AM Electronic Tuner
    LA5666 Multifunction Multiple Voltage Regulatoor
    LB1493 蛍光表示管用5点レベルメータ
    SONY CX7925B PLL Direct comparator
    CXA1064 PLL FM MPX Stereo Demodulator
    SANYO LA3450 と同じ
    TOSHIBA TD6301AN Static Driver for LED/LCD Receiving Frequency Display
    TMP47C40N-6308 MCU

  3. FM フロントエンド部



  4. SST (Super Sound Tracing) 回路

  5. FM IF 部

    以下の3つのモードがあって メチャメチャ豪華 です。 [CF201] [CF202] はユニフェーズ CF です。

    1. IF BAND:WIDE / stereo 時 (赤文字の部分は stereo WOIS 回路)

      (FE)→[FET]→[CF201]→[uPC1163HA]→[CF202]→[uPC1163HA]→ [IFT202]→[IFT204] →[LA1235]

    2. IF BAND:WIDE / mono 時 (赤文字の部分は mono WOIS 回路)

      (FE)→[FET]→[CF201]→[uPC1163HA]→[CF202]→[uPC1163HA]→ [IFT201]→[IFT203] →[LA1235]

    3. IF BAND:NARROW 時

      (FE)→[FET]→[CF201]→[uPC1163HA]→[CF202]→[uPC1163HA]→ [CF203]→[FET]→[CF204] →[LA1235]

  6. FM 検波部

  7. FM MPX 部

  8. AM 部

  9. プリセットメモリのバックアップ



リペア

  1. FM でオートスキャンすると放送局の周波数より 0.1MHz 低い周波数で停止する

  2. 全体の汚れ



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    BAND セクション 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L L101
    L102
    L103
    RF トラッキング
    TC CT101
    CT102
    CT103
    L L104 OSC トラッキング
    IFT IFT101 IF
    WIDE IF IFT IFT201 mono ピーク
    IFT203 mono WOIS 歪補正
    VR RT201
    IFT IFT202 stereo ピーク
    IFT204 stereo WOIS 歪補正
    VR RT202
    NARROW IF VR RT203 IF GAIN
    同調検出 IFT IFT205 同調点
    検波 IFT IFT206
    IFT207
    PLL 検波
    TC CT201
    MPX L L301 パイロットキャンセル
    VR RT304
    RT301 ステレオセパレーション (L)
    RT302 ステレオセパレーション (R)
    RT303 CAL TONE
    MUTING VR RT204 ミューティングレベル
    SIGNAL RT205 S メータ
    SST RT801 SST
    AM フロントエンド L FE401-R RF トラッキング
    TC FE401-C
    L FE401-F OSC トラッキング
    IF IFT IFT401 IF
    SIGNAL VR RT401 S メータ
    AUTO STOP RT402 オートストップレベル

  2. テストポイント (TP)

    BAND TP 接続先 内容 備考
    FM R241 R241 両端 同調点電圧 0±20mV
    R801-F R801-F〜GND 間 SST 調整 IC802 (M4051BP) - 11pin と接続
    R803-F R803-F〜GND 間 IC802 (M4051BP) - 9pin と接続
    R250-R R250-R〜GND 間 PLL 検波 IF 波形観測 10.7MHz
    TP201 TP201 間 PLL 検波調整時に短絡 短絡すると FE〜LA1235 が直結される
    TP202 TP202 間 PLL 検波 NULL 0±20mV
    JW190 JW190〜GND 間 OSC VT 電圧 OSC バリキャップ印加電圧
    AM R629-R R629-R〜GND 間 AUTO STOP 検出 放送局を検出すると Low になる
    JW12 JW12〜GND 間 VT 電圧 バリキャップ印加電圧
    FM/AM JW103 JW103〜GND 間 S メータ 受信レベル

  3. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 備考
    JW174 +15V +16.05V チューナ用
    JW122 +15V +15.64V FL 管用
    JW169 +5.6V +5.63V デジタル用 (MCU)
    JW92 +30V +30.21V VT 電圧用
    D907-R -6V -5.62V コントロール用

  4. FM 部の調整

    手順 SSG出力 ST-S333ESX の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND:FM
    IF-BAND:WIDE
    MUTING:OFF
    MODE:OFF
    CAL TONE:OFF
    - -  
    2 83MHz
    変調:OFF
    出力:90dB
    83MHz 受信 IFT205 R241 両端電圧 = 0±20mV 同調点調整
    3 - 90MHz 受信 L104 JW190〜GND 間電圧 = 21.0±0.2V VT high
    4 - 76MHz 受信 - JW190〜GND 間電圧 = 8.0±1.0V VT low (確認のみ)
    5 - 76MHz 受信 RT801 R801-F〜GND 間電圧 = Low SST 調整
    6 - 90MHz 受信 - R803-F〜GND 間電圧 = High
    7 76MHz
    変調:OFF
    出力:30dB
    76MHz 受信 L101
    L102
    L103
    JW103〜GND 間電圧 = 最大  
    8 90MHz
    変調:OFF
    出力:30dB
    90MHz 受信 CT101
    CT102
    CT103
     
    9 手順7と8を数回繰り返す RF トラッキング調整
    10 83MHz
    変調:OFF
    出力:30dB
    83MHz 受信 IFT101 JW103〜GND 間電圧 = 最大 フロントエンド内 IF 調整
    11 - TP201 両端を短絡 - - FE〜LA1235が直結される
    12 83MHz
    変調:mono 1kHz
    出力:90dB
    83MHz 受信 IFT206 R250-R〜GND 間波形 = 最大 オシロスコープで観測
    13 CT201 オーディオ出力 = 高調波歪率最小  
    14 IFT207 TP202 間電圧 = 0±20mV  
    15 手順13と14を数回繰り返す PLL 検波調整
    16 - TP201 両端を開放 - -  
    17 - BAND:FM
    IF BAND:WIDE
    MUTING:ON
    MODE:OFF
    CAL TONE:OFF
    - -  
    18 83MHz
    変調:mono 1kHz
    出力:30dB
    83MHz 受信 IFT201 JW103〜GND 間電圧 = 最大 mono WOIS 歪補正
    RT201 を時計回りに
    回し切ってから調整開始
    19 83MHz
    変調:mono 1kHz
    出力:90dB
    IFT203
    RT201
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小
    20 83MHz
    変調:stereo 1kHz
    出力:90dB
    IFT101 オーディオ出力 = 高調波歪率最小 stereo IF 歪補正
    21 83MHz
    変調:stereo 1kHz
    出力:30dB
    IFT202 JW103〜GND 間電圧 = 最大 stereo WOIS 歪補正
    RT202 を時計回りに
    回し切ってから調整開始
    22 83MHz
    変調:stereo 1kHz
    出力:90dB
    IFT204
    RT202
    オーディオ出力 = 高調波歪率最小
    23 83MHz
    変調:stereo 1kHz
    出力:90dB
    83MHz 受信 L301
    RT304
    オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 Pilot 信号キャンセラー
    24 83MHz
    変調:R-only 1kHz
    出力:90dB
    RT301 L ch. オーディオ出力 = 最小
    (R→L への漏れ音)
    セパレーション調整
    25 83MHz
    変調:L-only 1kHz
    出力:90dB
    RT302 R ch. オーディオ出力 = 最小
    (L→R への漏れ音)
    26 83MHz
    変調:mono 1kHz
    出力:25dB
    83MHz 受信 RT204 MUTING = OFF
    ちょうど OFF になるよう調整
    ミューティングレベル調整
    27 IF BAND:NARROW
    83MHz 受信
    RT203 MUTING = OFF
    ちょうど OFF になるよう調整
    IF NARROW ゲイン調整
    28 83MHz
    変調:OFF
    出力:50dB
    IF BAND:WIDE
    83MHz 受信
    RT205 S メータ = フル
    ちょうどフルになるよう調整
    S メータレベル調整
    29 83MHz
    変調:mono 400Hz
    出力:90dB
    83MHz 受信 - オーディオ出力電圧 = 測定 測定値を記録する
    30 CAL TONE:ON
    83MHz 受信
    RT303 オーディオ出力電圧 = 手順29の値-6dB CAL TONE 調整

  5. AM 部の調整

    手順 SSG出力 ST-S333ESX の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND:AM
    MODE:OFF
    CAL TONE:OFF
    - -  
    2 - 1602kHz 受信 FE401-F JW12 電圧 = 22±0.2V VT high
    3 - 531kHz 受信 - JW12 電圧 = 1.8±0.1V VT low (確認のみ)
    4 603kHz
    変調:OFF
    出力:30dB
    603kHz 受信 FE401-R JW103〜GND 間電圧 = 最大  
    5 1395kHz
    変調:OFF
    出力:30dB
    1395kHz 受信 FE401-C  
    6 手順4と5を数回繰り返す RF トラッキング調整
    7 999kHz
    変調:OFF
    出力:30dB
    999kHz 受信 IFT401 JW103〜GND 間電圧 = 最大 IF 調整
    8 999kHz
    変調:OFF
    出力:64dB
    RT401 S メータ = フル ちょうどフルになるよう調整
    9 999kHz
    変調:OFF
    出力:53dB
    RT402 R629-R〜GND 間 = High/Low AUTO STOP 調整
    High/Low ギリギリに調整

  6. 再調整結果



使ってみました

  1. デザイン

  2. プリセットメモリ

  3. エアチェックプログラムメモリ

  4. 感度と音質



仕様など

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    項目 仕様
    受信方式 PLLデジタル周波数シンセサイザークオーツロック方式 AM/FMステレオ
    主な機能 自動選局
    メモリー選局 (計10局)
    プログラム選局 (4局)
    受信周波数 FM: 76.0〜90.0MHz (0.1MHzステップ)
    AM: 531〜1602kHz (9kHzステップ)
    S/N 比 FM mono: 98dB
    FM stereo: 91dB
    実用感度 0.9μV (新IHF) / 10.3dBf (IHF)
    高調波歪率 (1kHz, WIDE) FM mono: 0.005%
    FM stereo: 0.0095%
    実効選択度 65dB (400kHz, WIDE)
    60dB (300kHz, NARROW)
    周波数特性 30Hz〜15kHz、+0.2 -0.5dB (1kHz, stereo)
    スプリアス妨害比 120dB以上
    セパレーション 65dB (1kHz、WIDE)
    外形寸法 幅430×高さ86×奥行335mm
    幅470×高さ86×奥行335mm (サイドウッド付)
    質量 5.2kg
    電源 AC100V 50/60Hz
    消費電力 16W
    付属品 AM ループアンテナ
    FM フィーダーアンテナ
    接続コード
    F 型アンテナコネクタ
    発売時期 1986年2月
    定価 49,800円(税抜)