SONY ST-S333ESXU (4号機) が到着!
2022年9月17日、南千住の N さんより
SONY ST-S333ESXU
の修理依頼品が到着しました。
N さんの自家配送でした。
程度&動作チェック
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修理依頼者からのコメント
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久しぶりにスイッチを入れて見ると同調がずれて (-0.1MHz) 感度も落ちているように感じています。
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ステレオにもなっていないようです。
また、感度も不安定のようです。
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外観
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シリアル番号は [202552] でした。
電源コードの製造マーキングより、1987年製造品とわかりました。
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AM ループアンテナが添付されていました。
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フロントパネルは僅かなキズと汚れはありますが綺麗です。
左右のサイドウッドの状態も良好です。
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リアパネルは綺麗です。
端子類は問題ないです。
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天板と底板に汚れはありますが、まあまあ綺麗です。
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電源 ON してチェック
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電源は正常に入り、FL 表示器の輝度は新品同様です。
ボタン操作に問題はなく良好です。
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FM 受信
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S メータの振れが少なく、感度低下しています。
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周波数ズレがあり、80.0MHz の放送を 79.9MHz で受信します。
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[STEREO] 表示しますが、チラチラ点滅することがあり、ステレオ感が乏しいです。
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AM 受信
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カバーを開けてチェック
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ゴミが薄っすらと基板に堆積しています。
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[FM トリマコンデンサ]×3個の調整ネジ部分が真っ黒です。
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[CT103] を回してみると容量が安定せず、劣化しています。
トリマコンデンサの全数交換が必要です。
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FM 同調点調整が大きくズレています。
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[IFT205] を回してみると S カーブは出るので再調整で直りそうです。
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電解コンデンサの膨張や液漏れは見られません。
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電解コンデンサはまだ大丈夫と思います。
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本機は35年物ビンテージ (2022年時点) なので、電気二重層コンデンサは交換したほうが安心です。
リペア
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[FM トリマコンデンサ]×3個が劣化している
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劣化ですから、無条件に全数交換しました。
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右の写真は新しく実装したトリマコンデンサです。
セラミック型です。
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取付はホット側を同調に、コールド側を GND にします。
写真の手前がコールド側です。
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交換して正解でした。
感度が大きく向上しました。
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やはり、元のトリマコンデンサは劣化して容量抜けしていたのです。
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電気二重層コンデンサの予防交換
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元は [C605] に [39mF/5.5V] の電気二重層コンデンサが実装されていました。
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これを右の写真の [0.47F/5.5V] に交換しました。
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容量が大幅アップしたのに、大きさは逆にかなり小さくなりました。
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[39mF] → [0.47F] と12倍の容量になったので、プリセットメモリを数ヶ月保持できるかも。
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新しい部品実装の記録
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左の写真は [トリマコンデンサ] の実装状態です。
赤〇で囲んだ部品です。
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右の写真は [電気二重層コンデンサ] の実装状態です。
元のものとリードのピッチが合わないので、電線で接続しました。
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下の写真は、これまで基板に実装されていた部品で、金色は [電気二重層コンデンサ]、青色は [トリマコンデンサ] です。
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FM 同調点がズレている
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半田クラック予防
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基板内の銅製アースバーの半田付け部分を補修半田しました。
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ゴミが薄っすらと基板に堆積している
再調整
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電圧チェック (VP)
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電圧の実測値は以下のように正常でした。
VP |
標準値 |
実測値 |
備考 |
JP4 |
+16V |
+15.4V |
チューナ用 |
JP5 |
+13V |
+13.1V |
FL 管用 |
JP6 |
+5.6V |
+5.56V |
デジタル用 (MCU) |
JP7 |
+30V |
+31.4V |
VT 電圧用 |
R909(R) |
-10V |
-9.91V |
コントロール用 |
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ST-S333ESXU (1号機)
に記載の手順で再調整しました
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高調波歪率はモノラル時 0.006% (WIDE 1kHz)、ステレオ時 0.007% (WIDE 1kHz) で超優秀でした。
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ステレオセパレーションなどは以下のように素晴らしい数値になりました。
一級クラスの性能です。
項目 |
IF BAND |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
70 |
64 |
dB |
NARROW |
33 |
34 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
-76 |
-80 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
0 |
0 |
dB |
CAL TONE |
328.1 |
Hz |
-7.4 |
-7.4 |
dB |
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AM は添付された純正ループアンテナで最高性能になるよう調整しました。
使ってみました
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デザイン
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サイドウッド付きでとっても高級感あります。
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後継機の
ST-S333ESG
よりシンプルなデザインですが、むしろこちらのほうが使いやすいです。
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(C リングパネルがないので) 直接的な快適ボタン操作ができます。
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感度と音質
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FM の感度は抜群に良く、S/N が良いです。
細かい音がよく聴けます。
FM 放送らしい柔らかめの音質です。
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AM の感度も抜群に良く、S/N も良いです。
AM としては音質も良く、放送を楽しめます。