KENWOOD KT-1010F

KENWOOD KT-1010F をゲット!

2006年11月17日、 ヤフオクにて、PLL シンセサイザ FM/AM チューナ KENWOOD KT-1010F の故障品を 税込300円 で落札しました。 送料のほうがはるかに高い。



程度&動作チェック

  1. 出品者のオークションコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック



KT-1010F について

  1. KENWOOD としては中級クラス

  2. 埼玉・越谷の偉大なオーディオ評論家・長岡鉄男さんが絶賛したチューナ

  3. 主な特長 青字の部分が KT-1010F にあって、KT-880F にない機能



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りはかなり良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部

  4. FM 検波部

  5. FM MPX 部

  6. AM 受信部

  7. プリセットメモリのバックアップ



リペア

  1. 電源を入れると FL 表示管に「1888」と表示されたままで、ボタン類が全く操作できない

  2. 動作するようになってから、ポンポンと筐体を軽く叩くと、電波レベル表示の最上位バーが点灯したりしなかったり

  3. フロントパネルに僅かなキズがある

  4. 全体にとても汚れている



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    BAND セクション 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L L1
    L3
    L4
    L7
    RF トラッキング
    L L8 OSC トラッキング
    TC TC1
    IFT T1 IF
    IF IFT T2 同調点
    VR VR1 STOP LEVEL
    検波 IFT T3 PLL 検波 波形
    L14 PLL 検波 NULL
    IF 歪補正 VR VR2 DET
    VR3 MONO 2
    VR4 L,R 2
    VR5 SUB 3
    VR6 MONO 3
    VR7 NARROW
    MPX VR VR8 VCO
    VR9 NARROW SEP
    VR10 SEP. R
    VR11 SEP. L
    LPF L22 キャリアリークフィルタ
    AM フロントエンド L L18 RF トラッキング
    TC TC3
    L L16 OSC トラッキング
    TC TC2
    IF IFT T4 IF

  2. テストポイント (TP)

    BAND TP 接続先 内容 備考
    FM TP10 TP10〜TP11 間 同調 NULL 0±10mV
    TP11
    TP12 TP12〜TP13 間 PLL 検波 NULL 0±10mV
    TP13
    TP15 TP15〜GND 間 MPX VCO 19.000kHz±10Hz
    R73(R) R73(R)〜GND 間 S メータ R73 は 100Ω
    FM/AM TP4 TP4〜GND 間 VT 電圧 バリキャップ印加電圧

  3. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定 備考
    電源基板 CN1-1pin -15V (未測定) - OP amp.
    電源基板 CN1-3pin +5.6V (未測定) - コントローラ
    電源基板 CN1-4pin +28V (未測定) - VT 電源
    電源基板 CN1-6pin +15V (未測定) - チューナ、OP amp.

  4. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 KT-1010F の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND : FM
    TUNING MODE : MANUAL
    SENS. LEVEL : LOW
    RF SELECTOR : DISTANCE
    FM IF BAND : NARROW
    QUIETING CONTROL : NORMAL
    REC CAL : OFF
    - -  
    2 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 T2 TP10〜TP11 間電圧 = 0±10mV 同調点調整
    3 - 76MHz 受信 L8 TP3 (VT) 電圧 = 3.0V OSC トラッキング調整
    4 - 90MHz 受信 TC1 TP3 (VT) 電圧 = 25.0V
    5 手順3と4を数回繰り返す
    6 83MHz
    30dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信
    FM IF BAND : WIDE
    L1
    L3
    L4
    L7
    R73 右側電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    7 T1 IF 調整
    8 83MHz
    10dB
    mono 1kHz
    VR1 S メータ = レベル1 AUTO STOP 調整
    9 83MHz
    90dB
    無変調
    T3 D19 の T3 側波形 = 最大
    オシロスコープで観測
    PLL 検波調整
    10 L14 TP12〜TP13 間電圧 = 0±10mV
    11 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    VR2
    VR3
    VR6
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 WIDE
    モノラル歪調整
    12 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信
    FM IF BAND : NARROW
    VR7 NARROW
    モノラル歪調整
    13 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    83MHz 受信
    FM IF BAND : WIDE
    VR8 下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    14 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L-R
    VR5 オーディオ出力 = 高調波歪最小 ステレオ歪調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L or R
    VR4
    16 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    VR10 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 WIDE
    セパレーション調整
    17 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R
    VR11 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小
    18 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L/R
    83MHz 受信
    FM IF BAND : NARROW
    VR9 R/L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 NARROW
    セパレーション調整

  5. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 KT-1010F の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - BAND : AM
    TUNING MODE : MANUAL
    SENS. LEVEL : LOW
    AM IF BAND : WIDE
    REC CAL : OFF
    - -  
    2 - 522kHz 受信 L16 TP3 (VT) 電圧 = 1.6V OSC トラッキング調整
    3 - 1629kHz 受信 TC2 TP3 (VT) 電圧 = 8.2V
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 603kHz
    30dB
    1kHz
    603kHz 受信 L18 S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1404kHz
    30dB
    1kHz
    1404kz 受信 TC3
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 999kHz
    30dB
    1kHz
    999kHz 受信 T4 S メータ = 最大 IF 調整

  6. 雑感



使ってみました

  1. 外観

  2. S メータ

  3. プリセットメモリ

  4. FM アンテナ入力

  5. FM の感度と妨害電波排除能力は素晴らしく良い

  6. FM の音質は非常に良い

  7. AM



レベルメータ



仕様など

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM チューナ部
    受信周波数 76.0〜90.0MHz
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡
    感度 (75Ω) Distance : 0.95μV / 10.8dBf
    Direct : 10μV / 31.2dBf
    S/N 比 50dB 感度 Distance mono : 1.8μV / 16.2dBf
    Distance stereo : 24μV / 38.8dBf
    Direct mono : 18μV / 36.3dBf
    Direct stereo : 240μV / 58.8dBf
    高調波歪率 (100% 変調) Wide mono : 0.008% (100Hz), 0.0055% (1kHz), 0.02% (50Hz〜10kHz)
    Wide stereo : 0.01% (100Hz), 0.0085% (1kHz), 0.1% (50Hz〜10kHz)
    Narrow mono : 0.05% (100Hz), 0.04% (1kHz), 0.15% (50Hz〜10kHz)
    Narrow stereo : 0.1% (100Hz), 0.1% (1kHz), 0.3% (50Hz〜10kHz)
    S/N 比 (100% 変調) mono : 99dB (85dBf 入力)
    stereo : 91dB (85dBf 入力)
    キャプチャーレシオ Narrow : 2.5dB
    実効選択度 (IHF:±400kHz) Wide : 70dB
    Narrow : 90dB
    ステレオセパレーション Wide : 70dB (1kHz), 50dB (50Hz〜10kHz), 40dB (15kHz)
    Narrow : 50dB (1kHz), 40dB (50Hz〜10kHz), 36dB (15kHz)
    周波数特性 20Hz〜15kHz, ±0.5dB
    イメージ妨害比 (84MHz) 90dB
    IF 妨害比 (84MHz) 110dB
    スプリアス妨害比 (84MHz) 100dB
    AM 抑圧比 65dB
    サブキャリア抑圧比 70dB
    出力レベルおよび出力インピーダンス 600mV, 1.7kΩ (1kHz, 100% 変調)
    AM チューナ部
    受信周波数範囲 531〜1602kHz
    感度 10μV : 250μV/m
    S/N 比 (30% 変調, 1mV 入力) 52dB
    高調波歪率 (1,000kHz) Wide : 0.4%
    Narrow : 0.8%
    イメージ妨害比 (1,000kHz) 40dB
    IF 妨害比 (1,000kHz) 50dB
    選択度 (IHF) Wide : 25dB
    Narrow : 50dB
    出力レベルおよび出力インピーダンス 180mV, 1.7kΩ (400Hz, 30% 変調)
    総合
    電源電圧・電源周波数 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 14W
    寸法 440(W)×64(H)×319(D) mm
    重量 3.5kg
    その他
    発売時期 1985年
    定価 59,800円