Pioneer SE-DIR1000C

Pioneer SE-DIR1000C をゲット！

2009年9月13日、 HARD-OFF さいたま中川店 のジャンクコーナーで Pioneer SE-DIR1000C の中古を1,575円で購入しました。（オープン価格でしたが、2002年発売時の実売価格は5万円程度でした。）

世界で初めて「ドルビーヘッドホン」機能を搭載した フルデジタル サラウンドヘッドホンです。

SE-DIR1000C とはデジタルヘッドホンとトランスミッタのセット型式で、それぞれ、デジタルヘッドホン型式は SE-DIR1000、トランスミッタ型式は TRE-D1000 です。

店頭で見た時にこの SE-DIR1000C という製品を全く知りませんでしたが、デイジタルヘッドホン＆トランスミッタ共に作りが良いので、直感的に買い！と思いました。

デジタルヘッドホンもトランスミッタもほぼキズやサビはなく綺麗です。 残念ながら、12V AC アダプタ、デジタルヘッドホンへの充電ケーブル、取扱説明書などは欠品です。 このおかげで安かった！とも言えます。

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構成

• トランスミッタでの処理
  
  
  1. 右の図はトランミッタの構成図です。
     
     
  2. デジタル音声データはレート変換で 192kHz/24bit ストリームデータに変換されます。
     
     
  3. アナログ音声入力は ADC により 192kHz/24bit ストリームデータに変換されます。
     
     
  4. 2と3のデータは [Dolby Digital Pro Logic�U DTS Decoder] [Dolby Headphone DSP] で数値処理されます。
     
     
  5. 4のデータはデジタル変調をかけられて IR 通信の LED から空間発信されます。 デジタル変調方式は DQPSK です。
     
     
  6. IR 通信は、3〜6MHz の帯域を使うフルバンドモードで 192kHz/24bits のデータを伝送します。 [メインデータレート：3.072Mbit/s] [サブデータレート：80kbit/s] と十分な伝送レートです。 圧縮伝送ではなく、フルレート伝送です。
     
     
  7. トランスミッタに内臓されている有線ヘッドホン端子には、4のデータを DAC にてアナログに戻して出力されます。
     
     
• デジタルヘッドホンでの処理
  
  
  1. 右の図はデジタルヘッドホンの構成図です。
     
     
  2. IR 通信受光素子によりトランスミッタからの光を受信し、デシタルエンコードされます。
     
     
  3. 2のデータは 24bit DAC にてアナログ変換されます。 すなわち、トランミッタにデジタル入力されたオーディオ信号は、ここまでずっとデジタルのままです。
     
     
  4. ヘッドホンユニットは BTL アンプで駆動されます。
     
     
• SE-DIR1000C は フルデジタル 伝送で本格的です。 従来のワイヤレスヘッドホンでは FM 変調のアナログ伝送でした。 ここが大きな違い です。
  
  

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補修

1. AC アダプタ
   
   
   • 統一プラグの 12V タイプが適合します HARD-OFF さいたま浦和東店 で525円で買ったスイッチング型 AC アダプタの SONY AC-PDF5 (12V 1.65A) を使ってみたところ、問題なく良好に使えました。
     
     
   • 電流値は計測していないので不明ですが、トランスミッタおよび AC アダプタ共に結構熱が出ますので、AC アダプタの出力電流は 1.5A 以上必要な気がします。
     
     
2. SE-DIR1000 は単3乾電池×2本でも動作するので、私的にはこれで十分ですが、せっかくの充電機能が使えるよう工作してみました。
   
   
   • 調査
     
     
     1. TRE-D1000 の [CHARGE OUT] をデジボルで計ってみると 7.5〜8.5V くらいの電圧が出ておりフラフラ変動していました。
        
        
        • [CHARGE OUT] は充電制御 (定電流) されていると思われ、その開放電圧を計ったためと思います。
          
          
     2. SE-DIR1000 の電池ボックスに仕掛けがありました。
        
        
        • マイナス側から 数mm くらいのところに検出接点が出ており、検出接点とマイナス端子がショートしていると充電池、オープンだと乾電池と判断します。
          
          
        • 適合する充電池は単3サイズのニッケル水素型で、かつ、充電池のマイナス側の被服を 5mm 以上剥がしてあることが条件です。
          
          
   • 充電ケーブルを製作
     
     
     1. アキバの 千石 で [内径1.2mm／外径3.4mm の DC プラグ]×2個を買いました。 1個70円だから140円の出費でした。
        
        
     2. DC プラグの間をワイヤでつないで「充電ケーブル」が完成しました。
        
        
     3. 写真が完成品です。 ワイヤはシールドワイヤ（このほうが綺麗に仕上がる。）で、長さは余裕をみて 80cm にしました。
        
        
   • SE-DIR1000 に適合する充電池の製作
     
     
     1. 1800mAh の単3ニッケル水素充電池×2本を準備しました。 既に手持ちだったものです。
        
        
     2. カッターナイフで充電池のマイナス端子から 7mm の所に切れ目を入れてから被服を剥ぎました。 こうして SE-DIR1000 で使える充電池が完成しました。
        
        
     3. 写真の手前が加工後で後ろが加工前です。 プロ並の仕上がりでしょ！
        
        
   • チェック
     
     
     1. 製作した単3ニッケル水素充電池×2本を SE-DIR1000 に実装しました。
        
        
     2. 製作した「充電ケーブル」で SE-DIR1000 と TRE-D1000 を接続しました。 この状態で（充電されていない充電池でも）充電しながら音が出るようです。
        
        
     3. TRE-D1000 のフロントパネルの [CHARGE] ランプが点灯しました。
        
        
     4. 十分時間経過してから「充電ケーブル」を外しても問題なく良好に使えました ・・・ 充電できています、パチパチパチ。
        
        

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操作方法

1. 取扱説明書が付属していなかったので、試行錯誤の操作を繰り返して、操作方法をまとめてみました。
   
   
2. TRE-D1000 のフロント側にある操作ボタンなど
   
   
   • [DOLBY PRO LOGIC �U] ボタン ・・・ DH1/DH2/DH3/OFF に切換できます。
     
     
     • DH1
       
       
       残響音を抑えたデットな部屋 (ミキシングルーム) をイメージした空間で、残響音が少ないため直接音の定位 (仮想スピーカーの音源の定位) がしっかりシミュレートされます。
       
       
     • DH2
       
       
       DH1 と同等サイズの部屋で残響音を加味し、一般的なリスニングルームをイメージした空間で、通常の家庭の部屋でスピーカーを再生して聞く場合に近く、最も自然なホームシアター環境がシミュレートされます。
       
       
     • DH3
       
       
       DH1 より広い部屋で、音源が遠くなると同時に残響音も増え、小規模の映画館をイメージした空間です。 音の定位が甘くなります (特にサラウンドチャンネル) が、広がりのある空間が得られます。 映画館で映画を鑑賞する感覚に最も近くシミュレートされます。
       
       
     • 初期設定は [DH2] です。
       
       
   • [DOLBY HEADPHONE] ボタン ・・・ AUTO/MOVIE/MUSIC/OFF に切換できます。
     
     
     • AUTO
       
       
       入力ソースによって [MOVIE] モードか [MUSIC] モードを自動選択します。 デジタル入力で DVD を再生した時や、アナログ入力時は [MOVIE] モードを選択します。 デジタル入力で CD を再生したときは [MUSIC] モードを選択します。
       
       
     • MOVIE
       
       
       ドルビーサラウンドエンコードされた全てのプログラムソースに向いています。 ディスクリート5.1チャンネル音響に迫る音場再現が可能です。
       
       
     • MUSIC
       
       
       あらゆるステレオ音楽録音で用いられ、広く深い音場を確保できます。
       
       
     • 初期設定は [AUTO] です。
       
       
   • [INPUT] ボタン ・・・ DIGITAL/ANALOG に切換できます。
     
     
     • これを応用して、例えば FM チューナーは ANALOG 端子に、インターネットラジオは DIGITAL 端子に接続することで、簡易 2ch 入力切替器としても使えます。
       
       
     • 初期設定は [DIGITAL] です。
       
       
   • [STANDBY/ON] ボタン ・・・ 電源 ON/OFF に切換できます。
     
     
   • [LEVEL] ボリューム ・・・ 有線ヘッドホンの音量を調節できます。
     
     
   • [PHONE] ジャック ・・・ 標準ジャックで、有線ヘッドホンを接続します。
     
     
   • 操作部の左右にはデジタルヘッドホンとの光通信 LED が 8個×2列 配列されています。
     
     
   • 操作部の上側にはモード表示部があります。
     
     
   • TRE-D1000 の上側には SE-DIR1000 用のレストアームがあります。 SE-DIR1000 を使わない時はここに載せます。 なお、レストアームは取り外し可能です。
     
     
3. TRE-D1000 のリア側にある端子など
   
   
   • [DIGITAL IN] 端子 ・・・ 光デジタル音声入力端子です。
     
     
   • [ATT] スイッチ ・・・ LINE 入力のアッテネータ・スイッチです。0/-6dB に切換できます。
     
     
   • [LINE IN] 端子 ・・・ アナログ音声 RCA 入力端子です。
     
     
   • [CHARGE OUT] 端子 ・・・ SE-DIR1000 への充電電源出力です。SE-DIR1000 とはケーブル接続します。
     
     
   • [DC IN 12V] 端子 ・・・ TRE-D1000 本体の電源入力です。
     
     
4. SE-DIR1000 にある端子など
   
   
   • LEFT 側の [CHARGE] 端子 ・・・ TRE-D1000 の [CHARGE OUT] 端子とケーブルで接続すると、内蔵のニッケル水素充電池に充電できます。
     
     
     • 充電を開始すると TRE-D1000 のフロントパネルにある [CHARGE] ランプが点灯し、満充電になると消灯します。
       
       
   • RIGHT 側の [VOL] ボリューム ・・・ 音量調節できます。
     
     
   • SE-DIR1000 には電源スイッチはありませんが、RIGHT 側ユニットの傾きによって自動的に ON/OFF します。 SE-DIR1000 を耳に装着すると ON で、外すと OFF です。
     
     

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使ってみました

1. SE-DIR1000 デジタルヘッドホン
   
   
   • SE-DIR1000 は単体で25,000円もする、ちゃんとしたオーディオクラスの作りです。
     
     
   • デザインは、これまでのヘッドホンの常識と違います。 軽くするためにプラスチック部分が多いですが、ユニットのバックパネルは薄いアルミ材と、質感もあります。
     
     
   • ケーブルがないと言うことは、こんなにも自由なんだぁ〜を実感します。
     
     
   • 重くも軽くもなく装着感も良いです。 耳の入る部分は十分に大きく、密閉型にも関わらず圧迫感が少ないです。
     
     
   • トランスミッタとの通信はデジタルで、SE-DIR1000 内の 24bits DAC でアナログに戻しているので音は間違いなく良いです。
     
     
   • DOLBY サウンドを選ぶとホワァとした 5ch サウンドが楽しめ、映画の効果音に迫力があります。 ピュア 2ch の音もなかなか良いです。
     
     
   • 当たり前ですが、後ろを振り向いたり、寝転がっても音の定位は変わりません。 ここがスピーカで聴く場合との違いです。
     
     
   • 基本的にスピーカよりヘッドホンのほうが細かい音が聴き取れます。 重箱の隅をつつくようなオーディオ機器の音質評価にはヘッドホンのほうが有利です。
     
     
2. TRE-D1000 トランスミッタ
   
   
   • 筐体は金属ケースで、フロントパネルは基本的にプラスチックですが、操作パネル部だけが折り曲げたヘアラインアルミです。 このおかげでプアさから逃げられています。 納得できるデザインです。
     
     
   • 有線ヘッドホンの接続ジャックがあるので、ヘッドホンアンプとしても使えます。 こちらの価値も十分あります。
     
     
3. なかなか良い製品と思います
   
   
   • 従来のワイヤレスヘッドホンシステムでは、いかにも安物という感じがしましたが、この SE-DIR1000C では高級感があります。 全然違います。
     
     
   • SE-DIR1000 には自動電源 ON/OFF 機能があるので電源操作は不要です。 このため、電池で動作していることを忘れてしまいます。
     
     
   • 基本的に「ノイズレス」「広帯域」「高音質」「非圧縮」デジタル赤外線オーディオ伝送方式です。 ヘッドホンユニット直前までデジタルのままです。 音が段違いに良いです。
     
     
   • ピュア2チャンネルでは頭の頭上近い所に音が定位する感じがしますが、サラウンドにするとフワァ〜と四方に音が広がる感じになります。 作られた音響空間ですが、こういうのもありと思います。 聴き疲れしないです。
     
     
4. その他
   
   
   • SE-DIR1000 の電池が寿命になると、突然ブチブチというノイズだけになるようです。
     
     

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仕様など

• PIONEER R&D Vol.14 No.2 よりの資料 デジタルコードレスサラウンドヘッドホンの開発 です。 方式が詳しく説明されています。
  
  

  デジタルヘッドホン部
  型式	SE-DIR1000
  方式	オープンエア型ダイナミックステレオヘッドホン
  使用ユニット	直径50mm
  再生周波数帯域	10〜24,000Hz
  質量	約360g (充電池含まず)
  電源	単3型ニッケル水素充電池×2本 または、単3型乾電池×2本
  連続使用	約20時間 (付属ニッケル水素充電池フル充電時)
  トランスミッター部
  型式	TRE-D1000
  再生可能フォーマット	ドルビーデジタル (サラウンド EX を含む) ドルビーサラウンド DTS (DTS-ES を含む) PCM (Fs＝44.1kHz / 48kHz)
  DOLBY HEADPHONE モード	DH1/DH2/DH3/OFF
  DOLBY PROLOGIC�U モード	AUTO/MOVIE/MUSIC/OFF
  電源	DC 12V (付属の AC アダプタより給電)
  質量	約1.1kg
  その他
  発売時期	2002年7月
  定価	オープン (発売直後の実売価格は50,000円)
  増設用デジタルヘッドホン SE-DIR1000 の定価	25,000円

  
  

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