Panasonic SA-XR50
Panasonic SA-XR50 をゲット!
2012年7月29日、
フルデジタルアンプ
の
Panasonic SA-XR50
の中古を税込10,500円で購入しました。
フルデジタルアンプは無駄な熱損失が少ない地球環境に配慮されたアンプです。
外観や状態は良好です。 ボリュームとセレクタのノブにやや汚れががありますが目立たないです。
付属品に欠品はなく、[リモコン] [FM 簡易アンテナ] [AM ループアンテナ] [AC メガネコード] [取扱説明書] が付属していました。
私の場合、SA-XR50 の使用目的はピュアオーディオです。 評価は 2ch ステレオモードで行います。
最大の特長は
フルデジタルアンプ
DAI 入力端子→スピーカ端子直前までデジタル信号のまま
プリアンプ部は DSP 演算処理動作します。
メインアンプ部は PWM 変調による D 級動作になります。 PWM 変調波も DSP 演算にて作成します。
D 級動作では電源電圧でスピーカ端子をフルスイングするので、電源電圧変動すると歪率が大きく悪化します。
アマチュア工作では D 級パワーアンプ (デジタルパワーアンプ) の電源を音質改善と称して電源トランス型のシリーズ電源とする例がよく見られますが、これは間違いです。 電源平滑回路はローパスフィルタそのものですから、50/60Hz の整流波を平滑するには大容量の電解コンデンサが必要になるし、電圧変動を抑えきれません。
D 級パワーアンプには高速スイッチング電源が正解です。 スイッチング周波数を 200kHz 以上として可聴域から外すことが必要ですが、スイッチング周波数が高いので平滑コンデンサは小容量で済み電圧変動を抑えることができます。
アナログパワーアンプは多少電源電圧変動しても NFB で誤魔化すことができますが、D 級パワーアンプは基本的に Non NFB ですから電源電圧変動がそのまま歪となります。
パワーアンプに NFB が入るとスピーカの逆起電圧も入力段にフィードバックされてしまい、歪率は良いはずなのに何故か解像度が足りないというような音になります。 パワーアンプの瞬発的な動的動作を考えると Non NFB のほうが優秀と思います。
大型トランスによるシリーズ電源は大きくて重くてとっても力強く感じます。 これに対してスイッチング電源は小さくて軽くて弱々しく感じてしまいますが、その実力は大きな電流が流せる遥かに優秀な電源なのです。
一番最後のスピーカ端子直前にローパスフィルタが入り、ここでアナログ信号に戻ります。
右の写真は SA-XR50 の内部の一部です。
エナメル線を巻いたドーナツ状の部品がローパスフィルタを構成するコイルです。
上記の手前にある金属で囲まれた部分が、出力段の Power MOS FET および放熱器です。
更に手前の LSI が多数載った部分で DSP と ADC を構成します。
写真から判るように、フルデジタルアンプは従来のアナログアンプと全く異なった構成になります。
フルデジタルアンプ全体で DAC のような動作
全部をデジタル処理するので、ノイズマージンが高く、自身でもノイズを発生しないので、
S/N は非常に高い
です。
フルデジタルアンプを使うと、CD プレーヤなどのデジタルオーディオ機器の DAC が不要になります。
フルデジタルアンプは、デジタルソースにとっては
まさに理想のアンプ
と言えます。
フルデジタルアンプはデジタル演算器ですから、厳密にはアンプ (増幅器) ではなくて変換器です。
1bit DAC の電力版
と言えます。
内部処理は 192kHz/24bit
が基本
アナログ入力はそのままでは処理できないので、一旦 ADC で 192kHz/24bit にデジタル化します。
機能や操作性
DAI 信号は 32〜192kHz サンプリングに対応します。
標準ジャックのヘッドホン端子があります。
フル操作がリモコンからできます。
・・・ というかフル操作するにはリモコンが必要です。
入力セレクトで [FM] [AM] [CD] [TV] [DVD] [DVR] [VCR2] [TAPE] が選択できます。
[FM] [AM] は内蔵チューナです。
[VCR2] [TAPE] はアナログ入力のみです。
[CD] [TV] [DVD] [DVR] は DAI 入力端子を割り当て可能です。
[OPT1] [OPT2] [COAX1] [COAX2] のいずれかを割り当てます。
重複割り当てはできません。
アナログ/DAI いずれを使うか設定できます。
というか設定しなければならない。 自動切換の [AUTO] を設定することも可能です。
この辺りが設定を難しくしています。
自由に DAI 端子を割り当てできる便利な機能でもあるので理解しましょう。
リアパネルの端子
アンテナ端子
FM アンテナ入力は F 端子になっており、妨害電波の混入を避けられます。
AM アンテナ端子はワンタッチコネクタになっており、ここに AM ループアンテナを接続します。 付属の AM ループアンテナのリード線はシールド付きになっています。
VIDEO 端子
[TV 入力] は [コンポーネント端子] [S 端子] [コンポジット端子] から選択できます。
[TV 出力] は [コンポーネント端子] [S 端子] [コンポジット端子] から選択できます。
[DVR 入力] は [S 端子] [コンポジット端子] から選択できます。
[DVR 出力] は [コンポジット端子] のみです。
[DVD 入力] は [コンポーネント端子] [S 端子] [コンポジット端子] から選択できます。
アナログオーディオ端子
アナログオーディオ入力は [CD] [TV] [DVD] [DVR] [VCR2] [TAPE] の6系統です。
アナログオーディオ出力は [DVR] [VCR2] [TAPE] の3系統です。
DAI 端子
DAI 入力は、[OPT1] [OPT2] [COAX1] [COAX2] の全部で4系統です。
[OPT1] [OPT2] [COAX1] [COAX2] は物理名で、この名称では選択できません。 論理名である [CD] [TV] [DVD] [DVR] のいずれかに割り当てて使います。
DAI 出力は、[OPT] の1系統です。 選択された DAI 入力がそのまま出力されます。
SA-XR50 の後継機にあたる SA-XR55, SU-XR57 には、この DAI 出力端子がありません。 私の場合、NAC-HD1 という HDD デジタル録音機を使う関係上、DAI 出力端子がないと困るのです。 ですから、選択肢は SA-XR50 しかありませんでした。
スピーカ出力端子
[FRONT-L] [FRONT-R] [CENTER] [SURROUND-L] [SURROUND-R] [BACK] の6系統で、それぞれ出力 100W です。
[FRONT-L] [FRONT-R] は更に A/B 切り替えが出来ます。
スピーカ端子は BTL 出力
になっています。 グランドから浮いているので要注意です。
インピーダンスが6〜16Ωのスピーカに対応します。 TI のデジタルアンプ IC はそもそも4Ωにも対応しているので、4Ω程度までのスピーカ接続にはそれほど問題はないと思います。 低いインピーダンスのスピーカほど出力が取り出せます。
その他の端子
[SUBWOOFER] というサブウーファ用のアナログ出力(モノラル)が1系統あります。
2ch ピュアオーディオで使うための設定
工場出荷時の初期設定は以下のようになっています。 この設定のままだとピュアオーディオで使うには具合が悪いのです。 特にフロントスピーカから 100Hz 以下の低音が出なくなっています。 そこで設定変更をします。
サブウーファの設定 ・・・ [SETUP 1].[SPEAKERS]
私の場合、
YAMAHA YST-SW800
というサブウーファを使うので [SUBWOOFER] 端子を有効にします。
SUBW YES
L_R
スピーカサイズの設定 ・・・ [SETUP 2].[SPEAKERS]
LARGE/SMALL/NONE の定義は以下です。
LARGE : 100Hz 以下の低域まで再生する設定
SMALL : 100Hz 以下の低域をカットしてサブウーハーで低域再生する設定
NONE : 該当スピーカを接続しない設定
従って以下のように設定します。
FRONT : LARGE
CENTER : NONE
SURROUND : NONE
SUR BACK : NO
SUB-WFR : YES
使ってみました
デザインなど
デザインは良いです。 特に表示部がハーフミラーとなっており、未来性を感じるデザインです。
フロントパネルやツマミなど全てがプラスチックなのが、少し悲しい。
フロントパネル右上にある
[FULL DIGITAL AMPLIFIER]
と書かれたエンブレムが眩しい!!!
片手で軽々と持てる軽量 4.2kg です。 これで 100W×6 出力なのが驚きです。
使用中は天板が結構熱を持ちます。
スピーカは
BOSE model 314
です。
このスピーカは一般のオーディオマニアが好むスタジオモニタ用途には不向きで、ふわぁとした間接音を合成する臨場音再生型スピーカです。
インピーダンスは8Ωです。
うまく鳴らすのがかなり難しいスピーカです。
入力ソースは以下です。
フルデジタルアンプですから DAI 入力でないと意味がありません。
FPGA FM Stereo Tuner
・・・ 192kHz/20bit
DSP 方式のデジタル FM 専用チューナです。 放送周波数をダイレクトに ADC 変換し、これ以降は完全にデジタル処理です。
セパレーションは安定的に 70dB を超える性能を誇ります。
SONY NAC-HD1
・・・ 44.1kHz/16bit
HDD オーディオレコーダです。 我が家では CD プレーヤを兼ねます。
使っている CD ドライブはコンピュータ用で、高速読み取りやリトライ処理が出来る高性能ドライブです。
元々のソースが音楽 CD であっても、CD を HDD に丸ごとデジタルコピーして聴いたほうがエラーレートの関係で音がぐっと良くなります。
TOSHIBA DBR-Z110
・・・ サンプリングはいろいろ
HDD ビデオレコーダです。 我が家ではブルーレイ/DVD プレーヤを兼ねます。
結果
丸一日中聴いていましたが、アンプとスピーカの存在を忘れるほどナチュラルで聴き疲れしません。
フルデジタルアンプ特有の
無味無臭・無色透明
の音質です。 S/N が物凄く良いです。
高音域はスッキリ爽やか高解像度です。
低音域はしっかり締まった動きの速い豊富な低音が出ます。
フルデジタルアンプはスピーカを選ばないので、スピーカの音質がそのまま出ます。 Bose model 314 が以前の構成(
Marantz DAC-1
+
BEHRINGER A500
)よりうまく鳴っています。
片手で軽々と持てるアンプですが、出てくる音は超ハイグレードです。
今までの重厚長大なアナログアンプはいったい何だったんだ!!!
工場出荷時の状態に初期化する方法
以下のように操作すると設定を工場出荷時の状態に初期化できます。
仕様その他
ドキュメント
SA-XR50 取扱説明書
SA-XR50 Operating Instructions
・・・ USA 輸出モデルの取扱説明書 (参考)
SA-XR55 Service Manual
・・・ 参考になるかもしれないサービスマニュアル
仕様は以下です。
その他
付属品
@取扱説明書
A電源コード (RJA0050-K)
BAM ループアンテナ (RSA0037)
CFM 簡易型アンテナ (RSA0007-L)
Dリモコン (EUR7722030)
E単3乾電池×2本
発売時期
2004年6月10日
定価
オープン (発売当初の実売価格は52,500円)