Panasonic RF-U350 (2号機)
Panasonic RF-U350 (2号機) をゲット!
2010年8月6日、
Panasonic RF-U350
の故障品が税込1,500円だったので
暇潰し
に買ってみました。
故障と聞くと欲しくなってしまうのは、たぶん病気でしょう。
RF-U350 は
緊急警報対応ラジオ
です。 緊急時は皆さんより早く逃げ出せます。
ゆっくり再生機能
があってニュースなどをゆっくり聴くことができます。
家電製品ミニレビュー
にも詳しい解説があります。
程度&動作チェック
販売者のコメント
中古のジャンク品 (故障) になります。 電池ボックス内に液漏れ跡があります。
液晶表示に問題ありませんが、FM/AM 共に受信ができません。 雑音は出ます。 受信ができないので地域設定などもできません。
外観は細かい傷等ありますが、悪い状態ではありません。 ロッドアンテナに折れ・錆ありません。
付属する物は、電源コードのみになります。
外観
並みの中古状態で、致命的なワレやカケはありません。
ロッドアンテナの曲がりや損傷はありません。
キズはあるのですが目立っている訳ではありません。
電池ボックスには液漏れの跡がありますが、クリーニングでマシになりそうです。
プラスチック部分に腐食はないです。 汚れだけです。
電源 ON してチェック
電源は正常に入り、LCD は文字欠けがなく正常に表示できます。
各ボタン操作は正常です。 ボリュームや同調ツマミの動作も正常です。
FM でボリュームを上げると局間雑音のザーという音が出ます。
自動地域設定はできませんが、マニュアル地域設定は正常にできます。
同調操作で LCD の周波数表示は変わるのですが、放送が受信できません。
ケースを開けてチェック
まずは、
電池ボックスの液漏れはボックス内のみで内部に回り込んでいない
ことを確認できました。
ホッとしました。 実はこれが一番心配だったのです。
ケースは裏側の6本のネジを外すと簡単に [フロント側] [リア側] の2つに分かれます。
フロント側とリア側はフラットケーブル(22P)とスピーカケーブル(2P)で接続します。
フロント側
・・・ 右の画像をクリックすると拡大画像が見られます。
上側の基板は [操作パネル基板] です。
金属板で覆われている基板は [MCU & LCD 基板] です。
スピーカは直径10cm, 8Ω, 1.5W でマグネットが大きく高級型です。
リア側
・・・ 右の画像をクリックすると拡大画像が見られます。
上側の基板が [ラジオ基板] です。 製造印より、[2009年製] と判明しました。
AM バーアンテナの長さは 12cm
です。
CF などを多用しているので調整ポイントは少ないです。
バーアンテナの中央から下側に受信周波数を切替できるジャンパ群があります。
以下の IC を使用して合理化が図られています。
メーカ
IC
機能
Rohm
BA50BC0T
1A ローカル電源用 セカンダリ LDO レギュレータ
BD3871FS
Sound processor for CD radio cassette player
SANYO
LA4627N
Two-Channel Audio Frequency Power Amplifier
TOSHIBA
TB2132FNG
3V AM/FM/TV Single Chip Tuner IC with On-Chip PLL
下の回路図は [ラジオ基板] の FM アンテナ入力です。
基板から回路図化しました。
コイルとコンデンサでバンドパスフィルタを構成しています。
トランスが載っている基板は [電源基板] です。
基板から回路図化しました。
AC ジャックに切替スイッチが仕込まれており、AC ケーブルの挿入状態で 電池/AC100V 駆動を切り換えます。
D905 は、AC ケーブルを挿入しているのにプラグがコンセントに差込まれていない時にも電池駆動を可能にするダイオードです。
[電源基板] には平滑用の電解コンデンサは実装されていません。 電解コンデンサは [ラジオ基板] 側にあります。
リペア
電源を入れて [ラジオ基板] のあちこちを触ってみました
[Rohm BD3871FS] が手で触れないくらい熱い。
写真の右上側の黒い IC です。
基板のシルク文字より、このラジオは VCC と 5V の電源系統と判明。
AC100V 電源使用時の電圧測定で VCC = +11.4V、5V = +11.4V でした。 5V の電圧が明らかに異常です。
基板のモードを調べると、VCC から3端子レギュレータの [BA50BC0T] を使って 5V を作成すると判明。
こうなると [BA50BC0T] の故障としか考えられません
右の写真は実装されていた [BA50BC0T] (5V 1A) です。
基板と強力接着剤で固定されていたので、やむを得ず基板モードの一部ごと取り外しました。
[BA50BC0T] と出力の規格が同じ3端子レギュレータ IC の [
7805A
] と仮交換してみたところ、5V = +5V になり、放送を正常に受信できるようになりました。
[BA50BC0T] は低ドロップ型 ( Vin-Vout > 0.5V ) の3端子レギュレータです。 これを [7805A] という通常ドロップ型 ( Vin-Vout > 2V ) の3端子レギュレータにしても問題ないのでしょうか?
AC100V 電源使用時は、Vin = VCC 電圧が +11V 以上あり、Vin-Vout > 2V は十分満足するので通常損失型を使っても問題ありません。
電池使用時は、定格 9V が 6V になっても RF-U350 が正常動作する必要があります。
それは、乾電池・充電池いずれも放電終止電圧が 1.0V なので、電池を最後まで使い切ると6個直列で [1.0V×6個 = 6.0V] になるからです。 この時、[Vin = VCC = 6.0V] です。
電池の寿命で 6.0V になった時は、[Vin-Vout = 6.0-5.0 = 1.0V] となるので、低ドロップ型では問題ないが、通常ドロップ型は使えないということになります。
特に Ni-MH 充電池を使った場合は、[6個直列時の定格電圧 = 1.2V × 6個 = 7.2V] となり、通常ドロップ型が要求する [Vin > 5.0V + 2.0V = 7.0V] と非常に近く、全く使い物になりません。
結論として、乾電池・充電池を最後まで使い切れる低ドロップ型の [
TOSHIBA TA4805S
] と交換することにします。
[TA4805S] は [BA50BC0T] と同じ 5V 1A 出力です。 形状は違いますが電気的特性はほぼ同じです。
秋月
で100円でした。
秋月には [BA50BC0T] と同じ大きさの低ドロップ型レギュレータ IC もあったのですが、余裕のある [TA4805S] にしました。
正式に [TA4805S] を実装&配線して完了 ・・・
バッチリ動作しています!
クリーニング
電池ボックスの液漏れは、アルコール洗浄でほぼ完全に汚れが取れました。
液漏れで腐食した電池との接触バネは
ピカール
によるマイクロ研磨でピカピカになりました。
DailyPro マルチクリーナー D413
で全体をクリーニングしました。
使ってみました
ロングラン試験を兼ねて使ってみました。
猛暑(35度以上)で動作させ続けましたが異常ありません。
RF-U350 1号機
と感度や音質を比較しましたが、全く同じでした。 よってこの2号機の修理は完全と判断できました。
感度と音質
FM の感度は良く、ロッドアンテナだけで主要ローカル局を全て良好に受信できます。
AM の感度は、バーアンテナが 12cm あるので、高感度と言ってよく、夜になると関西や北海道の放送が受信できます。
音はいわゆる Hi-Fi ではなくラジオ用に作られた音ですが、余裕があって聴きやすい良音です。
結論
いいラジオです! 自分で修理したラジオは格別に良く聴こえます。