FreeBSD導入奮闘記録です


01-May-1996

FreeBSDのインストールは全く初めてのため、あれこれ悩みながら試行錯誤の作業をしています。
FreeBSDとは4.4BSDライトをベースにしたパソコン版32ビットUNIXです。 IBM-AT互換機で動作します。 名前にFreeと付くようにほとんど只同然で入手できます。 秋葉原で2枚組みCD-ROMが2,500円程度です。 また、FTPサイトからは本当に只で入手できます。
只なのに、C++コンパイラやX-Windowsシステムなどが全部ソース付きで付属しています。(当然UNIX本体のソースも付属。)
このFreeBSD開発にはアメリカ国家の予算も出ています。 すごくマトモです。 ネットワークやインターネットのサーバにはFreeBSDのようなUNIXが有利です。 そして、超安く構築することができるのです。 個人的な「おうちネット」では予算的にこれしか選択の余地がないと思います。
  1. FreeBSDの入手

    秋葉原へ行けば簡単にFreeBSDのCD-ROMの最新版が入手できますが、初めてのインストールでは単にCD-ROMだけでは、「インストール時にどんな画面がでるのか?」「トラブルシューティングはどうすれば良いか?」など不安になります。 私の場合、ちょうどタイミング良く
          FreeBSD入門キット  秀和システム  2,900円
              FreeBSD2.0.5 CD-ROM付き
              本来はPC-98を対象としたインストールガイド本であるが、
              PC/AT版のシステムもCD-ROMに含まれている。
    
    の本が売っていたので、これでインストールすることにしました。 PC-98用に書いてある記述は頭の中でPC/ATに変換すれば良い。 私はPC-98,PC/AT,MACのユーザでもあるので、それほどたいしたことはない。


  2. CD-ROMに入っているINSTALLとHARDWAREと言うドキュメントを印刷

    Windows95のNotePADで読み込んでみると、解読不能でした。 ダメ元でWordPADで読み込むとアラ不思議、ちゃんと読めました。 これでドキュメントを印刷できました。


  3. Bootフロッピ作成

    ドキュメントを読むと、いろんなインストール方法(FTPからダイレクトにインストールする方法などがある。)が書いてありましたが、やはり一番安全そうなのは、Bootフロッピを作成してCD-ROMから行うことだと思われました。 ドキュメントによると、boot.flp(フロッピイメージデータ)を rawrite.exe を使ってフロッピに書き込めとなっているぞ。 さて、これらはCD-ROMのどこにあるんだろう???
    結果、
            \dists\floppies\boot.flp
            \dists\tools\dos_tool\rawrite.exe
    
    でした。 これでBootフロッピが作成できました。


  4. Bootフロッピで立ち上げ

    ドキュメントによると、Bootフロッピよりブートすると30秒〜3分(なんと曖昧な表現,アメリカらしいラフさ)で、最小構成のインストール用FreeBSDが立ち上がり、インストール・メニューが表示されると書いてあるぞ。 早速実行。 しばらくしてFreeBSDが立ち上がり、自動的にハード構成をチェックし始めました。 そして、しばらくすると
          matcd0:get_stat:After reading status byte, bus didn't go idle ff f 230
    
    が連続して永遠に表示し続ける現象とあいなりました。 我慢強い私は、これでも1時間ほど待ち続けましたが、一向に終わる気配がないので、ドキュメントを読んでみました。 matcd0 と言うのは Matsushita/Panasonic CD-ROM のことだとは判りましたがメッセージの内容は不明です。 たぶん、CD-ROMのインターフェースを見つけたが、そのバスからの応答を待っている状態と推定します。 ここで言う matcd0 とはおそらく、サウンド・カードに付属しているCD-ROMことを言っているはずです。 ところが、私のCD-ROMは内臓でIDEタイプなのです。 サウンドブラスタ16は実装していますが、私のSB16にはCD-ROMのインタフェースはありません。 ここで考えられるのは、私のSB16にはCD-ROMインタフェース・コネクタは無いのだが、回路的なインタフェースはあって、これをFreeBSDが見つけてしまったと言うこと。 そうであれば、SB16を外してブートすれば状態は変わるはずだ。 早速実行。 インストール・メニューが立ち上がりました。


  5. CD-ROMが使えない

    インストール・メニューは立ち上がりましたが、私のIDEタイプのCD-ROMをFreeBSD君は認識してくれないのです。 また、ドキュメントを見ました。 ありました。インストール時にはIDEタイプのCD-ROMはサポートしていないとハッキリ書いてありました。 FreeBSDシステムさえ完全に立ち上がれば、たぶんIDEタイプも使えるように出来ると思うのですが、このままでは先に進みません。 SCSIタイプならだいたい大丈夫そうなので、パソコンにアダプテックAHA1510BのSCSIインタフェースを実装し、私の家にゴロゴロころがっているCD-ROMドライブのうち、NEC 210Rを接続しました。 これで再びブート。 結果はCD-ROM認識できました。


  6. FreeBSD用領域設定

    私の場合、1GBのHDのうち500MBをすでにWindows95用に割り振ってあったので、残りの500MBをFreeBSD用に領域設定しました。 そして、この領域をスワップ・パーティションとファイル・システム・パーションに分割しました。


  7. やっと、FreeBSDインストール

    考えるのが面倒なので、Distributionsメニューの Evrything を指定してフルインストールしました。 約1時間かかりました。 350MB以上の容量です。 最後にブート・マネージャを組み込むかどうかを聞いてきましたので、組み込みました。 これを組み込んでおくと、ハードディスクからのブート時にどの領域が立ち上げるかを聞いてきます。 おかげで、F1キーでWindows95が,F2キーでFreeBSDが立ち上がります。


  8. 項番4の matcd0 の問題解決

    項番4でSB16を取り外しましたが、このままだとWindows95使用で困るので、また、ドキュメントを見てみました。 すると、ブート画面で出てくる
            Boot:
    
    の時に -c を入力してやるとコンフィグ・モードになるようなのです。 まずはこのコンフィグ・モードにしてみました。
            Boot: -c
    
    続いて、
            Config> disable matcd0
    
    とキー入力して matcd0 を常にディゼーブル状態にできました。 この状態で再度SB16を実装したところ、matcd0 のエラー・メッセージが出続ける現象はなくなりました。


  9. IDEのCD-ROMが使えないか?

    ドキュメントを読んでみたのですが、FreeBSD2.0.5ではやはりIDEのCD-ROMはサポートしていないようです。 とりあえず、SCSIのCD-ROMが使えているので問題はないのですが、やはり気にかかります。
            http://www.freebsd.org/
    
    を覗いてみると、最新のFreeBSD2.1ではやっとIDEのCD-ROMをサポートしたようです。 機器名は wcd になるようです。 そのうちバージョン・アップすることにします。


  10. 日本語106キーボードが使えない

    当然と言えば当然なのですが、FreeBSDのオリジナルは日本語キーボードをサポートしていないようです。 Niftyの「FUNIX」を覗いてみました。 ありました。 日本語106キーボード・テーブルのソースがありました。 このソースをオリジナルのものと入れ替えて、システム・ジェネレーション(再コンパイル)すれば良いと言うことが判りました。 しかし、昨日FreeBSDが初めて動いたと言う状況下では、ちょっと危険すぎます。 結局、私の場合キーボード切替ボックスを設置して、Windows95では日本語キーボード,FreeBSDでは英語キーボードと切り替えて使うことにしました。 私はキーボードを収集するのも趣味にしているので、IBM純正から台湾製まで20台以上のキーボードがゴロゴロしています。 しばらくFreeBSDを勉強してみて自信がついたら再コンパイルに挑戦してみます。


  11. 項番5の「IDE CD-ROM認識できない」の問題解決(1)

    FreeBSDを最近の2.1.0にバージョン・アップしました。 目的はIDE CD-ROMを認識させるためです。 FreeBSD2.1.0のCD-ROMを入手しました。 2枚組なんですね。 知りませんでした。 ドキュメントを読んでみると、「ATAPI.FLPでブート・ディスクを作成し、これでブートしてインストールせよ。」と書いてあるぞ。 やってみました。 ブートで見事にIDE CD-ROMを認識し、インストールが完了しました。 簡単でした。 ところが、FreeBSDを立ち上げてみると、やはりIDE CD-ROMを認識してくれない。 ムッムッム。


  12. 項番5の「IDE CD-ROM認識できない」の問題解決(2)

    これはもうシステムの再構築しかないと判断し、
            /usr/src/sys/i386/conf/GENERIC
    
    をvi(viって慣れないと使いにくいですね。)で開いてみると、ATAPIの記述があり、CD-ROM記述がコメントになっていました。 頭の#を外して、この行を有効にし、ついでに私の環境に合うように、GENERIC(カーネルの構成定義ファイル)全体を書き換えました。 そしてシステムの再コンパイルを開始。 5分くらいで終わりました。 システムを再立ち上げしたところ、IDE CD-ROMをちゃんと認識できました。


  13. 項番10の「日本語106キーボードが使えない」の問題解決

    次のようにしてCD-ROMから jp.106.kbd (キーボード・マップ・データ)ファイルを share ディレクトリにコピーする。
              # cat share.?? | gunzip | ( cd / ; tar xvf-
                                     ./usr/share/syscons/keymaps/jp.106.kbd )
    
    そしてvi で /etc/sysconfig を編集し、
              keymap=jp.106
    
    とする。 これで日本語106キーボードが使えるようになりました。 日本語キーボードが使えるように設定するまで、これらの操作を英語キーボードでやらなくてはならないのが気にかかりますが。 私のようなマニアではどちらのキーボードも持っているので、特に支障はないのですが、一般の人は難しいかもしれません。


  14. パスとプロンプトの定義を設定

    .cshrc ファイルを vi で編集し、パスとプロンプトの設定をやりました。
             set path=(/usr/X11R6/bin /sbin /usr/sbin /bin /usr/bin /usr/local/bin)
             alias cd 'cd \!*; set prompt = "[`hostname -s`] $cwd% "'
             cd .
    
    これでX-Windows Systemを動作させるためのパスと、パスを付加したプロンプトの表示を設定できました。


  15. コンピュータの名前を付ける

    「HAL」なんていうのは、みんなが付けそうな名前なので、私は「BrainStorm」としました。 これは /etc/sysconfig を vi で編集して設定します。 ついでにスクリーン・セーバも設定しました。
            hostname="BrainStorm"
            blanktime="180"
            saver="blank"
    
    としました。


  16. X Windows Systemが立ち上がりました。 でも...

    やっと、X Windows Systemが立ち上がりました。 でも、VGAモード(640×480,16色)です。 今までSVGAモードで何回も挑戦してダメだったので、VGAモードでやってみたらすんなりOKとなったものです。

    1. SVGAモードで立ち上げようとやっていた時の現象は、startxでCRTの画面が真っ黒になり、それっきりキーボードも何も操作不能になってしまう。 ログをとって調べてみると表示ドライバーの組み込みに失敗しているトレースとなっていました。

    2. VGAモードでの立ち上げはすんなりOKでした。 ただし、640×480の画面では実用になりそうに思えません。 1024×768程度の解像度はほしい。

    3. 使用しているビデオ・カードはDiamond Stelth64 Graphics 2001です。 チップはArk2000PVを使っています。 XFree86のドキュメントを読む限りは、このチップをサポートしているはずなのですが??? もう少しSVGAモードに挑戦してみます。 インターネットでXFree86のサポートを覗いてみると、「Diamond社はインタフェースの技術公開をしてくれないので、サポートされるチップを使っていてもDiamond社のビデオカードでの動作は保証しない。」とはっきり書かれています。 Diamondさん何とかして下さい。 色々試してダメであれば、ビデオボードの交換も考えています。


  17. ビデオ・カードを交換してxがまともに

    Diamond Stealth64 Graphics 2001 でどうしてもxで高解像度が得られないため、秋葉原で超低価格のビデオ・カードを探しました。 目標は2MBのメモリが付いて1万円以下でしたが、これに近い
                ExpertColor DSV3365P Video Card (PCI) - \12,800
    
    を見つけました。S3 Trio64V+ / EDO2MB のグラフィックアクセラレータカードです。 有名なメーカだと3〜4万円します。 はっきり言ってマガイ物です。 マガイ物ですが、ボードはキチンと作ってあるし、ドライバーディスケットとマニュアル(中国語)と、なんとNOVELLの「PerfectWorks」と言うワープロ/表計算/データベース/ドロウ&ペイント/パソコン通信の統合ソフトのCD-ROMが入っていました。(もしかしたら、これはコピー品???) まずこのカードをWindows95で認識させると、さすがPCIのため、一発でWindows95が勝手にドライバーをインストールしてくれました。 Windows95は貧乏人の味方です。 次にXFree86でコンフィグしてみました。 これも一発でアクセラレータモード用 XF86_S3ドライバーが動きました。 S3社のグラフィックチップとXFree86は相性が良いようです。 これでやっと 1024×768 モードの解像度で使うことができるようになりました。


  18. 次のパッケージをインストールしました

    1. mtools-2.0.7
      MS-DOSのフロッピをアクセスするツール群です。 現在のところインターネットへはWindows95でアクセスしているのでUNIX関係のデータ交換の際に必要です。

    2. fvwm-1.24rとxpm-3.4f
      ウィンドウ・マネージャです。 標準のtwmは画面が平面的で面白くないのでこれにしました。 fvwn-1.24rをインストールするとxpm-3.4fが自動的にインストールされます。

    3. kterm-6.1.0
      標準のxtermに代わる漢字表示できるターミナルプログラムです。

    4. Canna-3.2.2
      漢字変換サーバーです。

    5. jp-ckinput2-2.0.1
      DOSの世界でいうkterm用日本語FEPです。

    6. jp-less-290
      標準のmoreコマンドの代わりです。 日本語表示用です。

    7. jp-cmule-2.3
      Canna用の日本語エディタです。 emacsの日本語版です。

    8. emiclock-1.0.2
      x画面に張り付ける「エミちゃんクロック」です。 Windows版と同じ、エミちゃんの時計が表示できます。

    9. xearth-1.0
      x画面の壁紙に地球が現れます。 そしてこの地球は時刻と共にグルグル回ります。 各国がだいたい何時くらいか感覚的に判ります。

    10. fd-1.00
      ご存じDOS用FDユーティリティのUNIX版です。

    1〜9までのパッケージはFreeBSD2.1のCD-ROMに標準で入っています。 10は以下のサイトからインターネットで入手しました。
       http://jun.t.u-tokyo.ac.jp/miyazaki/KitHome.html
    

  19. 「~/.cshrc」の編集

    以下の記述を「~/.cshrc」の最後部に追加しました。
        alias fde 'fd -LANGUAGE=english'
        alias xterm kterm
        alias more jless
        alias sysend '/usr/local/canna/bin/cannakill; shutdown -h now'
        setenv LANG ja_JP
        alias cd 'cd \!*; set prompt = "[`hostname -s`] <$cwd># "'
        cd .
    

  20. 「~/.xinitrc」の作成

    以下の「~/.xinitrc」を作成しました。
        xmodmap -e 'keycode 133 = backslash bar'
        xmodmap -e 'keycode 123 = backslash underscore'
        xearth &
        emiclock -geometry -0+0 &
        xeyes -geometry 90x95-135+0 &
        kterm -km euc -C -T console -geometry 30x5+0+0 &
        kterm -km euc -T hkita -geometry 45x19-4+171 &
        kinput2 -canna &
        fvwm
    

  21. 「~/.Xdefaults」の作成

    以下の「~/.Xdefaults」を作成しました。
        KTerm*vt100*Translations:#override\
         Shiftspace: begin-conversion(JAPANESE_CONVERSION)
    

  22. 「~/.emacs」の作成

    以下の「~/.emacs」を作成しました。
        (load-library "canna")(canna)
    

  23. 「/etc/services」の編集

    以下の記述を「/etc/services」に追加しました。
        canna 5680/tcp #canna server
    

  24. 「/etc/rc.local」の編集

    以下の記述を「/etc/rc.local」の最後部に追加しました。
        # put your local stuff here
        if [ -f /usr/local/canna/bin/cannaserver ]; then
         if [ -f /var/spool/canna/lock/.CANNALOCK ]; then
          rm -f /var/spool/canna/lock/.CANNALOCK
         fi
         /usr/local/canna/bin/cannaserver > /dev/null
        fi
        echo 'CannaServer started'
        echo ''
    
以上のことをやってから、リブートするとxでの日本語環境がほぼ動作するようになりました。 まだ若干、問題箇所や調整不足箇所がありますが、実用的になって来ました。
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FreeBSDの参考書として、私は以下のものを使用しています。 ご参考。
  1. FreeBSD入門キット − 秀和システム : 2,900円
            FreeBSD2.0.5 CD-ROM付き
    
  2. FreeBSDお気軽・極楽インストール − カットシステム : 2,400円
            FreeBSD2.0.5 CD-ROM付き
    
  3. UNIX USER 96年4月号 − ソフトバンク : 1,280円
            NetBSD CD-ROM付き,XFree86のインストール特集
    
  4. SoftwareDesign 96年4月号 − 技術評論社 : 950円
            FreeBSD2.1.0インストールの記事あり
    
  5. FreeBSD2.1.0 CD-ROM - Walnut Creek : 2,400円
            オリジナルCD-ROMそのもの。2枚組み
    


UNIX関係、それもFreeBSD関係の情報がどこにあるか、ネット上で検索してみました。

秀和システム「FreeBSD入門キット」のサポート
http://jun.t.u-tokyo.ac.jp/miyazaki/KitHome.html

FreeBSDの情報
http://www.sra.co.jp/public/doc/bsd/
http://www.freebsd.org/
http://www.jp.freebsd.org/

Nifty
FUNIX