aiwa CSD-EL200 との出会い
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2006年2月11日、
HARD-OFF 越谷花田店
へ行ったら「期間限定セール」というのをやっていました。
一部の品物がレジにて3割引になります。
私の目にとまったのは CDラジカセの
aiwa CSD-EL200
のジャンク(CD と TAPE が動作せず、ラジオだけが動作する。)315円でした。
3割引だったら、暇潰しにいいかと買いました。
レジで220円になりました。
同じ暇潰しのタバコ代より安い!!!
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部品取り目的の購入です。
と言うのも、ケースの左側にヒビがあり、フロントパネルの飾り窓枠がないという代物だったからです。
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ロッドアンテナには曲がりや錆がなく、これだけで220円の元は十分取れます。
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CDピックアップは SONY 製の汎用のものが付いていたので、ちゃんと動けば3,000円位の値打ちがあります。
市販のどこのメーカーの CDプレーヤーもほぼ全て SONY 製 CDピックアップです。
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部品取りの目的は達成しそうなのですが、一応動作状況をチェックしてみました。
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そうしたら、AM 受信性能が期待以上に素晴らしい。
高感度で音も良い。
なかなかイイんじゃない〜
が素直な感想です。
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CD が動作しない原因は、(本体を落下させたと思われ)内蔵基板の CD コントロール部分に割れが入って、モードが断線しているからでした。
断線を直せば動作するはずですが、面倒なので止めました。
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TAPE が動作しない原因はベルトの劣化でした。
ベルトの代替品の手持ちがなかったので、これも修理は止めました。
aiwa CSD-EL200 の修理
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更にジャンクの CSD-EL200 を2台仕込み再生を試みました。
3台のジャンクから良品を作ってみます。
1台でも出来れば儲け、2台なら大儲けです。
全てダメでも暇潰しにちょうど良いので、別に構わない。
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最初に買ったのは2001年製で色はブルーです。
(これをブルーマシンとします。)
基板に割れがあったのでラジオ機能以外は動作しませんでした。
外観にも割れがあるなど部品取り以外に用途はありません。
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今回仕入れた1台は2002年製で色はレッドです。
(これをレッドマシンとします。)
操作ボタンを押すと動作挙動不審で何が(CD なのか TAPE なのか ラジオ なのか)再生されるか判らないという不具合のあるものです。
ハッキリ言ってスリルがあるが実用にはなりません。
不思議な故障です。
全面パネルは綺麗なのですがバックケースに少しの割れがあり、ロッドアンテナ止めが割れてなくなっているという代物です。
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今回のもう1台は2003年製で色はホワイトです。
(これをホワイトマシンとします。)
ラジオは動作するが CD と TAPE が動作しないという不具合があるものです。
外観の綺麗さはとっても良い状態の代物です。
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レッドマシンの修理
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CD や TAPE 、ラジオは問題なく動作します。
ただし挙動不審で、例えば CD 再生中に音量操作するとラジオに勝手に切り換わったりします。
操作ボタンを押すごとに、何が起こるかわからない。
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まさかと思って、スイッチボードをブルーマシンから外して、交換してみました。→ 直りました!!!
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バックケースの割れは修理できないので、ブルーマシンのものに交換しました。
よって前から見るとレッドで、後ろから見るとブルーという
二匹豚色(2トーンカラー)オリジナルモデル
が完成しました。
貴重な逸品になりました。
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ホワイトマシンの修理
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まず、ケースを開けてみてビックリ。
綿埃がすごい。
CDメカや TAPEメカにビッシリ綿埃が絡みついていました。
これじゃマトモに動かないよね。
ブルーマシンから CDメカと TAPEメカを外して交換しました。→ CD はちゃんと動くようになりました!
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TAPE が動かない原因はベルトが伸びきっているためです。
元々のホワイトマシンの TAPEメカのベルトはマトモだったので、これと交換しました。→ TAPE はちゃんと動くようになりました!
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使っていて操作でやはりおかしいところがある。
電源スイッチを押して ON にならないことがある。
調べてみるとスイッチボードに付いているタクティルSW の接点不良でした。
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18個あるタクティルSW をテスターで ON 抵抗を測ったところ、5個不良になっていました。
(1Ω以下を合格とする判定基準です。)
不良品は ON 抵抗が200Ω以上になっていました。
製造から3年くらいしか経っていないのに不良率 28% と異常に高いです。
車だとリコールものなのですが、aiwa さん(現在 SONY)はこの事実をひたすら隠しているんだと思います。
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タクティルSW はアキバで1個30円くらいで買えるので、この現象が出ている CSD-EL200 のジャンク品はオイシイとも言えます。
安く買い叩きましょう。
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レッドマシンを修理した時に取り外したスイッチボードをテスターでチェックしたらタクティルSW 18個中5個しか良品がありませんでした。
こちらの不良率はなんと!72%。こりゃ〜本当はリコールしなきゃいけないです。
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元レッドマシンのスイッチボードから5個の良品タクティルSW を外して、ホワイトマシンに移植しました。→ 操作の挙動不審は直りました。
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3台のジャンクから2台の動作良好マシンを作ることができました。
大成功です!!!
レッド/ブルーのブチマシンとホワイトマシンを OA クリーナー&無水アルコールで清掃してピカピカに仕上げました。
ほとんど新品と変わらなくなりました。
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なぜ、スイッチボードのタクティルSW の不良で挙動不審になるか考察してみました。
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スイッチボードにタクティルSW が18個実装されています。
タクティルSW の片側は全てコモンに接続されています。
ところがスイッチボードからの引き出し線は5本です。
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と言うことは、抵抗マトリックスを組み、個々のタクティルSW の ON 時の引き出し線側への抵抗値(結局は電圧値になります。)で、どのスイッチを ON したかを判断しているとしか考えられません。
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よって、タクティルSW の ON 時に例えば ON 抵抗が2kΩとかになると、他のスイッチが押されたと勘違いするのです。
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こりゃ〜設計にも問題ありですね。
ダイオードマトリックス設計にすべきでした。
aiwa CSD-EL200 を使ってみました
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CD ラジカセとしてはコンパクトでデザインもなかなか良いです。
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ラジオは PLL シンセサイザー方式で、AM で15局、FMで15局プリセットできます。
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AM は周波数ステップを 9kHz または 10kHz に設定できます。
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FM は周波数ステップが 50kHz なので、テレビの音声周波数もピッタリ合わせることができます。
なかなか。
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AM 感度はなかなか良いです。
バーアンテナを使っているので面倒なループアンテナをつなぐ必要もなく、お手軽に使えます。
バーアンテナの長さは 8cm でした。
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CD/MD/ラジオでなぜお手軽なバーアンテナを内蔵しないか判りますか?
それは MD の動作周波数域が AM に近いので、バーアンテナを内蔵するとその周波数を拾って AM ラジオ受信時に雑音だらけになるからです。
ですから、
ラジオを主体に使われる方には、CD/MD/ラジオよりも CDラジカセを選択されるほうが良いです。
ループアンテナよりバーアンテナのほうが電波を拾いやすい(感度が良い)です。
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FM の感度は並なので、ロッドアンテナを伸ばす必要がありました。
当然ですがステレオ受信できます。
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ラジオの音質はかなり良いです。
スピーカーは 77mm ですが、グレードの高いユニットを使っています。
安心感のある大人の音です。
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時計関係の機能が充実しているのが特長です。
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時刻はデッカイ液晶パネルに表示されるので、時計としても十分実用になります。
ビッグな文字で見易く、オレンジ色のバックライトでクッキリハッキリ見えます。
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昔懐かしいエアチェックタイマー録音もできます。
NHK 英会話講座のエアチェックなどに最適と思います。
こういうことができる機種は数少ないです。
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おやすみタイマー、目覚ましタイマー、目覚ましアラームの機能があります。
これにキッチンタイマーの機能があれば、もっと良かったと思います。
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電源は AC100V のみで、電池駆動はできません。
電池ボックスがないことで共振を避けることができているので、音質の良さにつながっていると思います。
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CD と TAPE の音質は並です。
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以上より、AM ホームラジオ兼時計として「ながら用途」がピッタリです。
aiwa CSD-EL200 の操作方法
取扱説明書がないので、いろいろ弄くってみて使い方を探った結果が以下です。
(後日、取扱説明書を入手しました。
ここ
にあります。)
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時計合わせ
- 【時計】ボタンを2秒押し続けると、時の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【時計】ボタンを押すと、分の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【時計】ボタンを押すと設定完了です。
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タイマーには「タイマー再生」「タイマー録音」「目覚まし時計」の3つの機能があります。
タイマー録音ではラジオ放送をエアチェックする目的で使います。
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タイマー再生設定
- 【タイマー】ボタンを何回か押して「TIMER」を選択します。
- すぐに【セット】ボタンを押すと時の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【セット】ボタンを押すと、分の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【セット】ボタンを押すと再生ソース選択モードになります。
- 【テープ】【ラジオ】【CD】ボタンを押してソースを選択して【セット】ボタンを押すと設定完了です。
ラジオでは AM と FM が選択できます。
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タイマー録音設定
- 【タイマー】ボタンを何回か押して「TIMER・REC」を選択します。
- すぐに【セット】ボタンを押すと時の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【セット】ボタンを押すと、分の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【セット】ボタンを押すと再生ソース選択モードになります。
- 【ラジオ】ボタンを押して AM か FM を選択して、【セット】ボタンを押すと設定完了です。
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目覚まし時計設定
- 【タイマー】ボタンを何回か押して「ALARM」を選択します。
- すぐに【セット】ボタンを押すと時の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【セット】ボタンを押すと、分の桁がフリッカします。
- 【+】【−】ボタンで合わせてから【セット】ボタンを押すと設定完了です。
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スリープタイマー機能があります。
スリープタイマーと上記のタイマーは併用して設定できるので、ラジオを聴きながら就寝して CD 音楽で目覚めるなどが可能です。
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スリープタイマー設定
- 【おやすみ】ボタンを押すと「SLEEP」がフリッカします。
- すぐに【+】【−】ボタンでスリープタイマー時間を選択します。
10〜180分の範囲で10分単位で選択することができます。
- 選択が終って、しばらく操作しないと「SLEEP」フリッカが消えて設定完了です。
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ラジオ関係の設定は以下です。
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AM ビートの設定
- AM 放送をカセットテープに録音するとビート雑音(ピーという音)が混入することがあります。
この設定はこのビート雑音を避ける目的で使用します。
- AM 放送受信中に【モード】ボタンを押すと「b.1」「b.2」のいずれかが選択できます。
ビート雑音が消えるモードに設定します。
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AM 周波数ステップの設定
- 【ラジオ】ボタンを押しながら「電源」ボタンを押すと、AM の周波数ステップが切り換わります。
9kHz と 10kHz が利用できますが、日本では 9kHz に設定します。
- この操作を行うと周波数プリセットが AM も FM も全てクリアされます。
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その他の操作は特に迷わないと思うので省略します。
aiwa CSD-EL200 のラジオチューナーの調整方法
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AM チューナーの調整
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AM IF 調整
IC1(TA2149N)-16pin にシンクロスコープを接続し、L7 のコアを回して波形が最大になるよう調整する。
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AM 周波数範囲調整
IC2(LC72131D-N)-20pin にデジボルを接続し、受信周波数を 531kHz に設定し、L4 のコアを回してデジボルの電圧が 5.6V ± 50mV になるよう調整する。
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AM トラッキング調整
- IC1(TA2149N)-16pin にシンクロスコープを接続し、受信周波数を 594kHz に設定し、L3 のコイルを左右に動かして波形が最大になるよう調整する。
- IC1(TA2149N)-16pin にシンクロスコープを接続し、受信周波数を 1404kHz に設定し、TC1 を回して波形が最大になるよう調整する。
- 上記の 1 と 2 を数回繰り返して行う。
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FM チューナーの調整
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FM 周波数範囲調整
IC2(LC72131D-N)-20pin にデジボルを接続し、受信周波数を 76MHz に設定し、L6 の間隔を変えてデジボルの電圧が 6.0V ± 50mV になるよう調整する。
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FM トラッキング調整
IC1(TA2149N)-16pin にシンクロスコープを接続し、受信周波数を 76.3MHz に設定し、L5 の間隔を変えて波形が最大になるよう調整する。
タクトスイッチの入手先
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CSD-EL200 の不具合のほとんどは、タクトスイッチ(タクティルスイッチ)の交換で直ると思います。
適合するのは、6mm角、高さ4.3mm、基板取り付け穴寸法 6.5×4.5mm のものです。
アキバで取り扱っているショップを電網検索してみました。
なお、この情報は2006年3月11日現在です。
最新情報はリンクで確認してください。
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千石
ミツミ電機 SOA-113HS
が1個20円で売られています。
これは CSD-EL200 にそのまま使えます。
押し圧力もオリジナルと同じです。
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マルツ
オムロン B3F-1000
が1個39円で売られています。
これは CSD-EL200 にそのまま使えます。
押し圧力もオリジナルと同じです。
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鈴商
松下 EVQPAD05R
が10個550円で売られています。
高さが 5mm なので、スイッチボード取り付けの際にプラワッシャを噛ませて 0.7mm 浮かせば使えると思います。
押し圧力はオリジナルより若干重めです。
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秋月
P-1084
が200個800円で売られています。
写真のように高さが高過ぎます。
ただし、レバーを電熱ノコギリでカットすれば使えると思います。
高等技術を要するので手先の器用なかた向きです。
1個あたり4円なので、労力さえ惜しまなければコストパーフォーマンスが一番良いです。
aiwa CSD-EL200 の主な仕様
・受信周波数 FM/TV: 76〜108MHz(50kHzステップ)
AM: 531〜1629kHz(9kHzステップ)または 530〜1710kHz(10kHzステップ)
・アンテナ FM/TV: ロッドアンテナ
AM: フェライトバーアンテナ
・タイマー オンタイマー(任意に設定可能)
スリープタイマー(10分単位で最大180分まで設定可)
・スピーカー 直径77mm 丸形7Ω×2個
・実用最大出力 2.5W+2.5W(EIAJ)
・出力端子 ヘッドホン(φ3.5mmミニジャック)
・電源 家庭用 AC100V 50/60Hz 15W / メモリバックアップ 006P (9V)
・最大外形寸法 320(W)×135(H)×215(D)mm
・質量 2.6kg
・付属品 電源コード、取扱説明書