YMAHA CT-R1

YMAHA CT-R1 が到着

2022年8月2日、広島市の Y さんから YMAHA CT-R1 の修理&再調整依頼品が到着しました。

今回は修理不能となったのですが、調整手順書などを作成したので、公開します。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは普通です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部

  6. AM 部



リペア

  1. FM 受信で大きく感度低下しており、S メータが振れない

  2. 原因が [FM フロントエンド] と判明したが ・・・

  3. 事実上 修理不能 と修理を諦めました



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    FM/AM 機能 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L L1
    L2
    L3
    RF トラッキング
    TC TCF1
    TCF2
    TCF3
    L L4 OSC トラッキング
    TC TCF4
    IFT T1 IF
    IF IFT T2 IF 歪補正
    VR VR201
    DET IFT T3 (T) 同調点 (NULL)
    T3 (B) 検波歪調整
    VR VR5 S メータ
    MPX L L5 パイロットキャンセラ
    VR VR1
    VR2 VCO
    VR3 セパレーションバランス
    VR4 セパレーション
    AM フロントエンド L バーアンテナ RF トラッキング
    TC TCA1
    L L6 OSC トラッキング
    TC TCA2
    IF IFT CF301 IF 増幅

  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    @ +13V (未測定) -
    A +13V (未測定) -
    B -12V (未測定) -

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 CT-R1 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNTION : AUTO
    MUTING : OFF
    - -  
    2 83MHz
    40dB
    無変調
    83MHz 付近の
    S メータ最大位置に
    指針を合わせる
    T3 (T) T メータ = センタ 同調点(仮)調整
    3 76MHz
    90dB
    mono 1kHz
    指針を 76MHz に
    合わせる
    L4 OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせる
    のが目的
    4 90MHz
    90dB
    mono 1kHz
    指針を 90MHz に
    合わせる
    TCF4
    5 手順3と4を数回繰り返す
    6 76MHz
    40dB
    mono 1kHz
    76MHz 受信 L1
    L2
    L3
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    7 90MHz
    40dB
    mono 1kHz
    90MHz 受信 TCF1
    TCF2
    TCF3
    8 手順6と7を数回繰り返す
    9 83MHz
    40dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 T1
    T2
    S メータ = 最大 IF 調整
    10 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    T3 (B) オーディオ出力 = 高調波歪最小 検波調整
    11 T3 (T) T メータ = センタ
    12 手順10と11を数回繰り返す
    13 83MHz
    60dB
    無変調
    83MHz 受信 VR5 S メータ = 75 S メータ調整
    14 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    VR2 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    15 T1
    T2
    VR201
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF 歪補正
    16 L5
    VR1
    オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセラ調整
    17 VR3 オーディオ出力 L = R L/R バランス調整
    18 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    VR4 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 CT-R1 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AM - -  
    2 600kHz
    60dB
    無変調
    600kHz 受信 L6 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせる
    のが目的
    3 1400kHz
    60dB
    無変調
    1400kHz 受信 TCA2
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 600kHz
    40dB
    無変調
    600kHz 受信 バーアンテナ S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    40dB
    無変調
    1400kHz 受信 TCA1
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    40dB
    無変調
    1000kHz 受信 CF301 S メータ = 最大 IF 調整

  5. 調整結果



使ってみました

  1. デザイン

  2. 機能関連

  3. 端子類

  4. 受信性能&音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM チューナ部
    受信周波数 76.0〜90.0MHz
    実用感度 1.8uV (300Ω IHF)、0.9uV (75Ω IHF)
    S/N 比 75dB (stereo)
    実効選択度 80dB
    全高調波歪率 (1kHz、Normal) 0.1% (stereo 1kHz)
    キャプチュアレシオ 1.0dB
    イメージ妨害比 90dB
    AM 抑圧比 65dB
    ステレオセパレーション 50dB (1kHz)、45dB (10kHz)
    アンテナインピーダンス 300Ω/75Ω
    出力レベル 0.1〜1V/8kΩ (100% 変調 1kHz)
    AM チューナ部
    受信周波数 522〜1629kHz
    実用感度 300uV/m (IHF バーアンテナ)
    選択度 (IHF) 30dB
    S/N 比 50dB
    高調波歪率 0.4%
    総合
    電源電圧 AC100V 50/60Hz
    定格消費電力 8W
    外形寸法 435(W)×160(H)×349(D) mm
    重量 6.3kg
    その他
    発売時期 1976年
    定価 44,800円