DENON TU-630

DENON TU-630 をゲット!

2011年7月3日、 DENON TU-630 の中古を 入手しました。

5連バリコン搭載 FM 専用高級チューナ です。

3W+3W パワーアンプ も内蔵している珍品です。

2022年2月13日にも再調整しました。



早速、程度&動作チェック

  1. 販売者の状態説明は以下でした

  2. 外観

  3. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています

    メーカ IC 機能
    HITACHI HA11223W PLL FM Stereo Demodulator with Pilot Cancel
    HA11225 FM IF System
    TOSHIBA TA7060P FM IF Amplifier
    TA7202P 6.5W Power Amplifier

  3. FM フロントエンドは高級仕様

  4. FM IF 部

  5. FM 検波部

  6. FM MPX 部



リペア

  1. [POWER AMP LEVEL] ボリュームが固くて回転しない

  2. [TUNING] ノブを回すとガサゴソという雑音が出る

  3. クリーニング



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    場所 種別 調整ポイント 調整内容 備考
    フロントエンド L L1
    L2
    L3
    L4
    RF トラッキング 76MHz
    TC CT1
    CT2
    CT3
    CT4
    90MHz
    L L5 OSC トラッキング 76MHz (調整不可)
    TC CT5 90MHz
    IFT IFT1 IF 10.7MHz
    チューナ基板 IFT T1 IF 10.7MHz
    T2 クォードラチュア検波 同調点
    T3 歪率
    VR VR1 narrow IF ゲイン  
    VR4 MPX VCO 76kHz
    VR5 パイロットキャンセル 19kHz
    VR6 wide ステレオセパレーション  
    VR7 narrow ステレオセパレーション  
    VR9 rec level 録音用テスト信号

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    TP26 TP26〜GND 間 S メータ 受信レベル
    TP27 TP27〜TP28 間 QR 検波 NULL 電圧 FM 受信同調で 0±1mV
    TP28

  3. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 備考
    VP1 +12V +11.95V チューナ用
    VP2 +24V +23.12V オーディオ用
    VP3 +26V +26.47V パワーアンプ用

  4. 調整

    手順 SSG出力 TU-630 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUCTION:auto
    SERVO LOCK:off
    MUTING:off
    - -  
    2 10.7MHz
    90dB
    変調:OFF
    R2-R に
    SSG 出力を注入
    T2 TP27〜TP28 間電圧 = 0±1mV FM 同調点(仮)調整
    3 SSG 出力を通常のアンテナ入力に戻す  
    4 83MHz
    30dB
    変調:OFF
    83MHz 受信
    IF BAND:narrow
    CT5 TP26 電圧 = 最大 OSC トラッキング調整
    5 76MHz
    30dB
    変調:OFF
    76MHz 受信
    IF BAND:narrow
    L1
    L2
    L3
    L4
     
    6 90MHz
    30dB
    変調:OFF
    90MHz 受信
    IF BAND:narrow
    CT1
    CT2
    CT3
    CT4
     
    7 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 83MHz
    30dB
    変調:OFF
    83MHz 受信
    IF BAND:narrow
    IFT1
    T1
    TP26 電圧 = 最大 IF 調整
    9 83MHz
    40dB
    変調:OFF
    83MHz 受信
    IF BAND:wide
    - TP26 電圧 = 測定  
    10 83MHz 受信
    IF BAND:narrow
    VR1 TP26 電圧 = 手順9の測定値と同じ IF narrow ゲイン調整
    11 83MHz
    90dB
    変調:mono 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND:wide
    T3 オーディオ出力 = 高調波歪最小 (検波歪)
    12 T2 TP27〜TP28 間電圧 = 0±1mV (同調点)
    13 手順11と12を数回繰り返す QR 検波調整
    14 83MHz
    90dB
    変調:stereo 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND:wide
    VR4 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    15 VR5 オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    16 83MHz
    90dB
    変調:stereo 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND:wide
    IFT1 オーディオ出力 = 高調波歪最小 wide stereo 歪調整
    17 83MHz 受信
    IF BAND:narrow
    T1 narrow stereo 歪調整
    18 83MHz
    90dB
    変調:R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信
    IF BAND:wide
    VR6 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 wide セパレーション調整
    19 83MHz 受信
    IF BAND:narrow
    VR7 narrow セパレーション調整
    20 83MHz
    90dB
    変調:mono 400Hz (100%)
    83MHz 受信
    IF BAND:wide
    - オーディオ出力電圧 = 測定  
    21 - FUNCTION:rec level VR9 オーディオ出力電圧 = 手順20の -6dB rec level 調整

  5. 調整結果

    1. FM フロントエンドで若干トラッキングのズレがあり、再調整でほぼゼロになりました。

    2. ステレオ高調波歪率 (1kHz) は IF BAND:wide で 0.07%、IF BAND:narrow で 0.32% で、良い数値です。

    3. FM ステレオセパレーションなどは以下で優秀な数値です。 特に narrow でも良いセパレーション数値が出ています。

      項目 IF BAND L R 単位
      ステレオセパレーション wide 62 63 dB
      ステレオセパレーション narrow 58 58 dB
      パイロット信号キャリアリーク wide -60 -62 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (mono) 0 -0.03 dB
      REC LEVEL CHECK 信号 430.7 Hz
      -6.01 -5.92 dB



使ってみました

  1. 戦車のようなガッシリした作り

  2. フロントパネル

  3. フロンパネルにあるスイッチ類 左から順に説明

  4. リアパネル

  5. 感度や音質



仕様