TRIO KT-900 (3号機)

TRIO KT-900 (3号機) が到着！

2022年5月15日、神奈川県相模原市の H さんより、 TRIO KT-900 の修理依頼品が到着しました。

この写真はダイヤル照明＆指針を LED 化後です。

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程度＆動作チェック

1. 修理依頼者のコメント
   
   
   • FM の受信が急に出来なくなりました。 AM は受信可能です。 長年使用して愛着があります。
     
     
   • 照明の LED 化を面倒でなければ交換をお願いします。
     
     
2. 外観
   
   
   • 製造シリアル番号は [21101264] で、電源コードの製造マーキングより1982年製造品とわかりました。
     
     
   • 全体的には状態は良いほうです。
     
     
   • フロンパネルはパネル内に汚れはあるが、致命的なキズはなく状態は良いです。
     
     
   • フロントパネル最前面の強化ガラスの右側を留めるネジが緩んでいます。 修理にはフロントパネルの分解を要します。
     
     
   • 天板は少し汚れがあり数か所キズもありますが問題はないです。
     
     
   • リアパネルは綺麗です。 端子類は綺麗です。 特にオーディオ端子 (RCA) はピカピカ輝いています。
     
     
3. 到着した状態のまま電源 ON してチェック
   
   
   • 問題なく電源 ON できました。 ランプ切れはありません。
     
     
4. FM 受信
   
   
   • 辛うじて受信できるのですが、大きく周波数ズレしています。 76MHz の電波がダイヤル指針で 77.4MHz 辺りで受信します。
     
     
   • 同調ズレの影響か感度が大きく低下し、同調し辛く、音が歪っぽいです。
     
     
5. AM 受信
   
   
   • 感度が低下している感じがしますが、受信はできます。
     
     

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リペア

1. 大きく周波数ズレしている
   
   
   • FM OSC 発振に使っているトリマコンデンサを回しても同調に変化がありません。 トリマコンデンサの完全故障 です。
     
     
   • KT-900 (2号機) と同じ方法で [古いトリマコンデンサを除去]→[新しいトリマコンデンサを外付け] して直りました。
     
     
2. 同調し辛い
   
   
   • 原因はバリコン軸で接触不良が発生しているためです。
     
     
   • KT-900 (2号機) と同じ方法でバリコン軸の緑青錆を除去して直りました。
     
     
   • バリコン軸から大量の緑青錆が湧き出ました。 これを丹念に除去しました。
     
     
3. 感度が大きく低下している
   
   
   • 上記の [1] [2] と後述の再調整で直りました。
     
     
4. 音が歪っぽい
   
   
   • 原因は同調点検出電圧が 600mV 程度と大きくズレたことです。
     
     
     • IF 周波数 (10.7MHz) の中心から外れると歪が増大します。
       
       
   • 同調点検出を含む後述の再調整で直りました。
     
     
5. 強化ガラスの右側を留めるネジが緩んでいる
   
   
   • ダイヤル照明 LED 化作業のついでに直しました。
     
     
6. ダイヤル照明とダイヤル指針の LED 化
   
   
   • ランプ切れはなかったのですが、修理依頼者からのリクエストでダイヤル照明とダイヤル指針を LED 化しました。
     
     
   • KT-900 (2号機) と同じ方法で LED 化しました。 調整中の写真ですが、やはり LED 化すると明るく美しいです。
     
     
   • [野暮ったい電球色]→[明るくスッキリ] に変わり、これが設計者の理想の色目と思います。 当時は高輝度 LED がなかった。
     
     
   
   
   
7. 清掃
   
   
   • ダイヤル照明 LED 化作業でのついでにフロントパネル内を清掃しました。 到着時は薄汚れた感じでしたが、美しくなりました。
     
     
   • 全体は OA クリーナと一部無水アルコールで清掃しました。
     
     

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再調整

1. 電圧チェック
   
   
   • 以下のように正常です。
     
     

     VP	標準値	実測値	判定
     J83	+14V	+13.2V	〇

     
     
2. 調整結果
   
   
   • KT-900 (1号機) に記載の手順で調整しました。
     
     
   • FM フロントエンドに大きなズレがありました。 これ以外にもズレがありました。
     
     
   • FM OSC コイルがワニスで固められており2点トッラキング調整ができないです。
     
     
     • 代わりに、中心周波数 83MHz で1点トラッキング調整しました。
       
       
     • 83MHz では指針が 83MHz を指しますが、76MHz 付近では +0.1MHz 程度、90MHz 付近では -0.1MHz 程度です。
       
       
     • この程度のズレはやむを得ないです。 受信性能には全く問題ないです。
       
       
   • FM ステレオ時の高調波歪率 (1kHz) は [WIDE：0.08%] [NARROW：0.36%] でした。 かなり良いです。
     
     
   • FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。 良好な数値です。 当たりの個体 と思います。
     
     

     項目	IF BAND	L	R	単位
     ステレオセパレーション	WIDE	61	53	dB
     ステレオセパレーション	NARROW	49	51	dB
     パイロット信号キャリアリーク	WIDE	-73	-72	dB
     オーディオ出力レベル偏差 (MONO)		0	-0.35	dB
     REC CAL 信号		441.4		Hz
     		-5.8	-5.8	dB

     
     
   • AM にもややズレがありましたが、調整で少し感度が上がりました。
     
     

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使ってみました

1. 世界で2番目の照明 LED 化 KT-900
   
   
   • ダイヤルスケール部全体がイルミネーション照明されており綺麗
     
     
   • 最前面は強化ガラス
     
     
   • チューニングノブは直径 41mm の無垢アルミ
     
     
   • S メータは 7 レベルの LED バー表示
     
     
   • T メータは [→ ←] の LED 表示
     
     
2. 感度や音質
   
   
   • FM は TRIO らしい高解像度でカチッとした高音質です。 感度も良いです。
     
     
   • やはり、パルスカウント検波の音は良いです。 別格です。 末永く使っていただきたいと思います。
     
     
   • AM は高感度で S/N が高いです。
     
     

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