TRIO KT-7700

TRIO KT-7700 が到着

2022年7月23日、埼玉県久喜市の T さんから TRIO KT-7700 の再調整依頼品が到着しました。

この写真は照明を LED 化した後です。 橙色の野暮ったい色調がクッキリ・ハッキリの現代的な素晴らしいホワイト色調に生まれ変わりました!

FM 専用チューナで、検波は マルチプリケーティブ・ディスクリミネータ らしい。 この検波方式に触れるのは初めてです。



程度&動作チェック

  1. 依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部



リペア

  1. 電解コンデンサ交換 ・・・ 修理依頼者からのリクエスト

  2. 照明を LED 化 ・・・ 修理依頼者からのリクエスト

  3. 交換した部品の記録写真

  4. バリコン軸の接触回復



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    機能 種別 調整ポイント 調整内容
    フロントエンド L L1
    L3
    L4
    L6
    L7
    L8
    RF トラッキング
    TC TC1
    TC2
    TC3
    TC4
    TC5
    TC6
    L L9 OSC トラッキング
    金属ケース入りで調整できない
    TC TC7
    IFT L10 IF
    IF VR VR1 IF GAIN
    VR2 IF TRIGGER
    VR3 S-METER
    VR4 T-METER (narrow)
    VR9 MUTING
    VR12 T-METER (wide)
    IFT L4
    L5
    L6
    IF
    L11 IF TRIGGER
    DET VR VR10 DET OUT LEVEL
    MPX VR VR5 SEP-L
    VR6 SEP-R
    VR7 VCO
    VR8 DEV-METER
    VR11 [output level] ボリューム

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    TP1 TP1〜GND 間 IF TRIGGER LEVEL R77 の右側 (R77 は VR3 に近い)
    TP2 TP2〜GND 間 MPX VCO (19kHz) R184 のリア側 (R184 は HA1156 に近い)

  3. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    電源基板 14pin (+B) +13V +13.1V
    電源基板 18pin (-B) -13V -13.5V

  4. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 KT-7700 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - muting : off
    mode : auto
    - -  
    2 OFF IF band : narrow VR4 T メータ = センタ 検波 NULL 調整
    3 IF band : wide VR12
    4 76MHz
    40dB
    無変調
    76MHz 受信
    IF band : narrow
    L1
    L3
    L4
    L6
    L7
    L8
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    5 90MHz
    40dB
    無変調
    90MHz 受信
    IF band : narrow
    TC1
    TC2
    TC3
    TC4
    TC5
    TC6
    6 手順4と5を数回繰り返す
    7 83MHz
    40dB
    無変調
    83MHz 受信
    IF band : narrow
    L10 S メータ = 最大 IF 調整
    8 83MHz
    60dB
    無変調
    83MHz 受信
    IF band : wide
    L11 TP1〜GND 間電圧 = 最大 IF TRIGGER レベル調整
    9 VR2 TP1〜GND 間電圧 = 1.8V
    10 OFF - VR1 TP1〜GND 間電圧 = 0.6V IF GAIN 調整
    11 83MHz
    80dB
    無変調
    83MHz 受信
    muting : 1
    IF band : wide
    VR3 S メータ = 5 S メータ調整
    12 83MHz
    16dB
    mono 1kHz
    VR9 MUTING = ON/OFF MUTING レベル調整
    13 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    VR10 オーディオ出力 = 300mV オーディオ出力レベル調整
    14 VR8 DEV メータ = 100% DEV メータ調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    VR7 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    16 L10 オーディオ出力電圧 = 高調波歪率最小 IF 歪補正
    17 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R
    VR5 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 wide
    セパレーション調整 (L)
    18 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    VR6 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 wide
    セパレーション調整 (R)

  5. 調整結果



使ってみました

  1. デザイン

  2. 端子類

  3. 感度や音質

  4. その他



再修理 (2023年3月28日)

  1. 概要

  2. 修理依頼者のコメント

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック

  5. メータ照明をもう少し明るくしてほしい (修理依頼者より)



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数 76〜90MHz
    アンテナインピーダンス 300Ω平衡 / 75Ω不平衡
    感度 (IHF) 1.5uV (300Ω)、0.8uV (75Ω)
    S/N 比 50dB クワイティング感度 mono : 2.8uV
    stereo : 30uV
    歪率 (100% 変調) [mono]
    1kHz : 0.08% (wide)、0.15% (narrow)
    50Hz〜10kHz : 0.1% (wide)
    15kHz : 0.15% (wide)

    [stereo]
    1kHz : 0.1% (wide)、0.4% (narrow)
    50Hz〜10kHz : 0.15% (wide)
    15kHz : 0.4% (wide)
    S/N 比 (100%変調 1mV 入力) mono : 78dB
    stereo : 75dB
    イメージ妨害比 120dB
    選択度 wide : 35dB (400kHz)
    narrow : 110dB (400kHz)、60dB (300kHz)
    IF 妨害比 120dB
    スプリアス妨害比 120dB
    AM 抑圧比 65dB
    キャプチュアレシオ wide : 1.0dB
    narrow : 1.5dB
    ステレオセパレーション 1kHz : 50dB (wide)、45dB (narrow)
    50Hz〜10kHz : 45dB (wide)
    15kHz : 40dB (wide)
    サブキャリア抑圧比 70dB
    周波数特性 50Hz〜10kHz ±0.2dB
    30Hz〜15kHz +0.2dB -1.2dB
    出力レベル/インピーダンス
    FM (400Hz 100% 変調) 可変 : 0〜1.5V/1.2kΩ
    固定 : 0.75V/1.0kΩ
    FM DET OUT 0.3V
    MULTIPATH 0.3V (H), 0,1V (V)
    総合
    電源 AC100V 50/60Hz
    定格消費電力 (電気用品取締法) 22W
    外形寸法 380(W)×149(H)×376(D) mm
    重量 8.5kg
    その他
    別売オプション キャリングハンドル D-7 (1組 3,000円)
    発売時期 1976年
    定価 78,000円