Technics ST-2400

Technics ST-2400 が到着!

2022年2月4日、 Technics ST-2400 が山形市の I さんより届きました。 再調整依頼品です。



程度&動作チェック

  1. I さんからの依頼内容

  2. 外観

  3. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました

  4. 再調整依頼でしたが故障もしている



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いです 写真をクリックすると拡大写真を表示できます

  2. 以下の IC を使用して合理化が図られています

    メーカ IC 機能
    HITACHI HA1151 AM RADIO RECEIVER SYSTEM
    Panasonic AN363N FM Stereo Multiplex Demodulator
    AN377 FM IF Amplifier

  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. FM 検波部

  6. FM MPX 部

  7. AM 受信部



リペア

  1. FM でステレオにならないか、なっても雑音が大きい

  2. FM で [周波数ズレ] [感度低下] がある

  3. [muting] スイッチを on にしてもミューティングが効かない/[muting] スイッチを off にしてもステレオ受信する

  4. AM で「バリバリ」という雑音がするだけで、全く受信できない

    1. AM が受信できない原因は、T205 出力が GND と短絡していました。 この短絡を除去しました。 マイグレーションショートと思います。

    2. HA1151 にも劣化が見られたので交換しました。 ついでに IC ソケット化しました。

    3. これで AM 受信できるようになったのですが、「バリバリ」という雑音はそのままです。

    4. 更に調べると、T202 内蔵コンデンサの劣化と判明しました。 マイグレーションレアショートと思います。

    5. 内蔵コンデンサの使用を止め、外部に 450PF のコンデンサを追加して直りました。 もうガンガン AM 受信できます。

  5. シール剥がし跡など全体に汚れがある



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    BAND 場所 種別 調整ポイント 調整内容 備考
    FM フロントエンド L L101
    L102
    RF トラッキング 76MHz
    TC CT1
    CT3
    90MHz
    L L104 OSC トラッキング 76MHz
    TC CT5 90MHz
    チューナ基板 IFT T201-R クォードラチュア検波 歪率
    T201-L 同調点
    VR R209 S メータレベル  
    R305 MPX VCO 19kHz
    R319 ステレオセパレーション  
    AM チューナ基板 L バーアンテナ RF トラッキング 600kHz
    TC CT2 1400kHz
    L T203 OSC トラッキング 600kHz
    TC CT4 1400kHz
    IFT T204
    T205
    T202
    IF 455kHz
    T202 は直列型

  2. テストポイント (TP)

    BAND TP 接続先 内容 備考
    FM R215-R R215-R〜JP1 間 クォードラチュア検波 NULL 電圧 FM 受信同調で 0±10mV
    JP1
    TP301 TP301〜GND 間 パイロット信号チェック 19kHz±50Hz
    FM/AM TP13 TP13〜GND 間 S メータ 受信レベル

  3. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 備考
    R105-F +12V +12.20V チューナ/オーディオ用

  4. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST-2400 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - selector:FM
    muting:OFF
    - -  
    2 10.7MHz
    90dB
    変調:OFF
    C201-R に
    SSG 出力を注入
    T201-L R215-R〜JP1 間電圧 = 0±10mV FM 同調点(仮)調整
    3 SSG 出力を通常のアンテナ入力に戻す  
    4 76MHz
    30dB
    変調:OFF
    76MHz 受信 L104 SIGNAL メータ = 最大
    ここでの調整はダイヤルスケールと
    指針を合わせることが目的
     
    5 76MHz
    30dB
    変調:OFF
    76MHz 受信 CT5  
    6 手順4と5を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    7 76MHz
    30dB
    変調:OFF
    76MHz 受信 L101
    L102
    SIGNAL メータ = 最大
    (D601F〜GND 間電圧 = 最大)
     
    8 90MHz
    30dB
    変調:OFF
    90MHz 受信 CT1
    CT3
     
    9 手順7と8を数回繰り返す RF トラッキング調整
    10 83.0MHz
    90dB
    変調:mono 1kHz
    83MHz 受信 T201-R オーディオ出力 = 歪率最小  
    11 T201-L TP1〜TP2 間電圧 = 0±10mV (同調点調整)
    12 手順10と11を数回繰り返す クォードラチュア検波調整
    13 - selector:FM
    muting:ON
    - -  
    14 83.0MHz
    90dB
    変調:stereo 1kHz
    83MHz 受信 R305 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    15 83.0MHz
    90dB
    変調:R/L only 1kHz
    R319 L/R オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    16 83.0MHz
    90dB
    変調:OFF
    R209 S メータ = 5 S メータレベル調整

  5. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 ST-2400 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - selector:AM - -  
    2 600kHz
    60dB
    変調:1kHz 30%
    600kHz 受信 T203 SIGNAL メータ = 最大
    ここでの調整はダイヤルスケールと
    指針を合わせることが目的
     
    3 1400kHz
    60dB
    変調:1kHz 30%
    1400kHz 受信 CT4  
    4 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 600kHz
    60dB
    変調:1kHz 30%
    600kHz 受信 バーアンテナ SIGNAL メータ = 最大  
    6 1400kHz
    60dB
    変調:1kHz 30%
    1400kHz 受信 CT2  
    7 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 1000kHz
    60dB
    変調:1kHz 30%
    1000kHz 受信 T204
    T205
    T202
    SIGNAL メータ = 最大 IF 調整

  6. 調整結果

    項目 L R 単位
    ステレオセパレーション 57 49 dB
    パイロット信号キャリアリーク -39 -36 dB
    オーディオ出力レベル偏差 0 +0.02 dB



使ってみました

  1. デザイン

  2. フロントパネル

  3. リアパネルの端子

  4. 感度や音質



仕様

    FM 受信部
    受信周波数範囲 76.0〜90.0MHz
    実用感度 0.9uV (75Ω)
    選択度 60dB
    キャプチャーレシオ 1.0dB
    イメージ妨害比 (83MHz) 55dB
    IF 妨害比 (83MHz) 85dB
    スプリアス妨害比 80dB
    AM 抑圧比 50dB
    S/N 比 74dB
    周波数特性 20Hz〜15kHz +0.2dB -2.0dB
    ステレオセパレーション 41dB (1kHz)
    35dB (10kHz)
    リークキャリア -35dB
    アンテナ 75Ω
    AM 受信部
    受信周波数範囲 525〜1605kHz
    実用感度 250uV/m
    選択度 22dB
    イメージ妨害比 (1000kHz) 55dB
    アンテナ バーアンテナ (筐体内に内蔵)
    総合
    オーディオ出力電圧 600mV
    電源 AC100V, 50/60Hz
    消費電力 6W
    外形寸法 415(W)×105(H)×250(D)mm
    重量 2.7kg
    その他
    発売時期 1976年
    定価 21,800円