Victor T-X5

Victor T-X5 をゲット!

2009年5月28日、Victor T-X5 の中古を1,000円で入手しました。

T-X5 に初めて搭載された PTL 検波 ってどんなのだろう? ・・・ と思っての入手です。

品物の状態を示す表示がありました。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました

  3. 以上より、本機は当り!の個体のようです。 再調整は楽そうです。 これで1,000円は超安い!です。



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良いですが、こげ茶のベークライトで少々古臭く感じます。 基板には 「AFアンプ&ミューティング部」 などと明朝体漢字入りのシルク印刷がされています。 輸出版の T-X5 も同じなんでしょうかね ・・・ 外国の方には読めな〜い。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. FM フロントエンドは以下の構成で、4連バリコンです。 ごく標準的な構成ですが、アンテナ同調部に FET×2本 をパラに使って増幅ノイズレベルを下げています。

  4. FM IF 部は以下の構成です。 WIDE/NARROW 切り替えがなく、ごく標準的な構成です。 どちらかと言うと WIDE だけのような構成です。

  5. PTL 検波部

  6. MPX 部は [HA11223W] で構成します。 パイロット信号キャンセラー回路があります。

  7. AM 部のフロントエンドは2連バリコンです。 [HA1197] で全てを構成します。

  8. 使用 IC のロット番号より、この T-X5 は1979年製と判明しました。 電源ケーブルのマーキングも1979年でした。



修理&クリーニング

  1. 修理

  2. クリーニング



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-X5 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : FM
    REC CAL : OFF
    QUIETING : OFF
    MUTING : OFF
    MODE : MONO
    - -  
    2 76MHz 30〜60dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信 L104 TP3 電圧 = 最大  
    3 90MHz 30〜60dB
    変調 : MONO 400Hz
    90MHz 受信 FM OSC トリマ TP3 電圧 = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 76MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信 L101
    L102
    L103
    TP3 電圧 = 最大  
    6 90MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    90MHz 受信 RF トリマ
    ×3個
    TP3 電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 76MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信 T101 TP3 電圧 = 最大 IF 調整
    9 76MHz 90dB
    変調 : OFF
    76MHz 受信 L106 TP4〜TP5 間電圧 = 0V FM 同調点調整
    10 83MHz 50dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信 R404 S メータ = ちょうど全点灯 S メータ調整
    11 83MHz 90dB
    変調 : MONO 400Hz (100%)
    83MHz 受信 - オーディオ出力電圧 = レベルを記録  
    12 - - REC CAL : ON R707 オーディオ出力電圧 = 手順11の1/2 (-6dB) REC CAL 調整

  2. MPX 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-X5 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : FM
    REC CAL : OFF
    QUIETING : OFF
    MUTING : OFF
    MODE : AUTO
    - -  
    2 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : OFF
    変調 : OFF
    83MHz 受信 R191 TP6 周波数 = 76kHz±200Hz VCO フリーラン周波数
    周波数カウンタで測定
    3 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信 R195 オーディオ出力電圧 = 19kHz 成分最小 パイロットキャンセル調整
    4 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R/L ch. only 1kHz
    83MHz 受信 R327 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  3. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 T-X5 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - SELECTOR : AM
    REC CAL : OFF
    QUIETING : AUTO
    MUTING : OFF
    MODE : AUTO
    - -  
    2 600kHz 60dB 600kHz 受信 L107 R225(10kΩ)のリア側電圧 = 最大  
    3 1400kHz 60dB 1400kHz 受信 AM OSC トリマ R225(10kΩ)のリア側電圧 = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 600kHz 40dB 600kHz 受信 バーアンテナのレバー R225(10kΩ)のリア側電圧 = 最大  
    6 1400kHz 40dB 1400kHz 受信 AM RF トリマ R225(10kΩ)のリア側電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整

  4. 調整結果

    1. FM フロントエンドで若干トラッキングのズレがあり、再調整で感度アップしました。

    2. FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。 良好な数値です。

      項目 L R 単位
      ステレオセパレーション 55 56 dB
      パイロット信号キャリアリーク -77 -77 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.14 dB
      REC LEVEL CHECK 信号 -6.0
      339.8Hz
      -6.0
      339.8Hz
      dB



使ってみました

  1. 非常にスッキリしたシンプルな薄型デザインです

  2. 機能関連

  3. FM の感度は良く、十分高音質です。 Pioneer F-500 の音に比べて若干華やかさが抑えられている感じがします。 これが PTL 検波の音だと思います。

  4. AM は十分な感度とそれなりの音質です。



S メータ



仕様&その他

  1. Service Manual

  2. 仕様は以下です。

    FM チューナー部  
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    実用感度 (75Ω) 0.9uV/10.3dBf
    キャプチャーレシオ (IHF) 1.0dB
    実効選択度 (IHF) 65dB
    S/N 比 mono : 81dB
    stereo : 78dB
    イメージ妨害比 (IHF) 90dB
    IF 妨害比 (IHF) 100dB
    スプリアス妨害比 (IHF) 100dB
    AM 抑圧比 (IHF) 65dB
    高調波歪率 Mono : 0.08% (1kHz)
    Stereo 0.10% (1kHz)
    周波数特性 30Hz〜15kHz +0.3, -0.8dB
    ステレオセパレーション 50dB (1kHz)
    50dB クワイティング感度 (75Ω) mono : 1.8uV/16.3dBf
    stereo :
     QUIETING AUTO : 8.7uV/30.0dBf
     QUIETING OFF : 19uV/36.8dBf
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型
    AM チューナー部  
    受信周波数範囲 522〜1602kHz
    実用感度 バーアンテナ: 300uV/m
    外部アンテナ: 50uV
    選択度 45dB
    S/N 比 50dB
    イメージ妨害比 45dB
    IF 妨害比 45dB
    スプリアス妨害比 (IHF) 45dB
    高調波歪率 0.5%
    総合  
    出力レベル/インピーダンス Variable : 0〜600mV/2.5kΩ
    Fixed : 350mV/2.5kΩ
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力(電気用品取締法) 10W
    外形寸法 450(W)×89(H)×364(D)mm
    重量 5kg
    その他  
    発売時期 1979年
    定価 46,800円