Accuphase T-105 (2号機) をゲット!
2012年2月15日、
Accuphase T-105
のジャンク品を10,500円で入手しました。
私としてはウッドキャビネット狙いで、これにチューナ本体のジャンク品が付いてきたようなものです。
修理する楽しみがあります。
Accuphase 社が1980年10月に発売した定価12万円の高級 FM 専用ステレオチューナです。
御歳32歳になります。
人でいうと32歳はこれからが楽しみな働き世代ですが、マシンでは引退したお爺ちゃん世代になります。
これをリフレッシュして、まだまだ一線で活躍してもらおうという魂胆です。
程度の記載は以下です。
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ウッドキャビネット A-9 (定価\16,000) 付きです。
付属品は AC コードのみで、元箱や取扱説明書はありません。
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古いものですので経年による小キズ等の使用感はあります。
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右チャンネルの音が出ません。
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チューニングノブの動きが滑らかではありません。
程度&動作チェック
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外観
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ウッドキャビネットは超綺麗です。
ほぼキズなしで、ウォールナット系塗装がピカッと光り輝いています。
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フロントパネルはパッと見綺麗ですが、あちこちに薄いサビが出ています。
特にウッドキャビネットに入り込んだ部分にサビが多いです。
おそらくウッドキャビネットからの水分に腐食されたと思います。
ですから、この個体はウッドキャビネットなしで使うのは無理です。
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リアパネルは端子は超綺麗です。
端子が光り輝いています。
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天板にはウッドキャビネットの跡形(日焼け?)が見られます。
ですから、この個体はウッドキャビネットなしで使うのは無理です。
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チューニングノブがフロントパネルと軽く接しているようで、1周に1箇所くらい当りを感じます。
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入手した状態のまま電源 ON してチェックしました
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電源は正常に入り受信動作は正常です。
周波数ズレはなく、S メータは正常に振れ、[STEREO] ランプも点灯します。
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蛍光表示器の輝度は新品同様です。
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S メータ照明のランプ切れはありません。
ランプはこの1個だけです。
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右チャンネルからの音が非常に小さいです。
かすかな音です。
修理
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チューニングノブの動きが鈍い
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チューニングノブの止めネジを調整してフロントパネルとのアソビを作りました。
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これで完全に直りましたが、なぜ位置ズレしたのだろう?
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右チャンネルからの音が非常に小さい
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右の図は MPX 回路の一部です。
C82, C83 はディエンファシス用のコンデンサです。
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C83 が内部で半短絡していました。
C83 を交換して完全に直りました。
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それにしても故障原因はいろいろです。
じっくり調査しないと判りませんね。
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プリセットメモリのバッテリバックアップ方法の変更
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バッテリバックアップに関して
T-105 (1号機)
と全く同じ処置をしました。
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バックアップ電池を CR2032 リチウム1次電池に換装する回路を付加しました。
おそらく、これで30年は大丈夫です。
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その他
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右の写真は、今回交換した部品です。
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コンデンサは C83 です。
左右の音質を揃えるため、C82/C83 は一緒に交換しています。
153G と書いてありますが、0.015uF 2% の意味です。
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ネジは内部点検中に錆びているのを発見したので、交換したのです。
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修理中にチェックしました。
使用 IC のロット番号より、この T-105 は1984年製と判明しました。
調整
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T-105 (1号機)
に記載の手順で再調整しました。
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電圧チェック
ポイント |
標準値 |
実測値 (参考) |
備考 |
[78M05] OUT |
+5.6V |
+5.69V |
MCU 用 |
[78M15] OUT |
+15V |
+14.90V |
チューナ用 |
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調整結果
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調整ズレはほぼありませんでした。
使っている部品のグレードが高いのでしょう。
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FM ステレオセパレーションなどは以下となりました。
優秀な数値です。
項目 |
SELECTIVITY |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション |
NORMAL |
56 |
59 |
dB |
ステレオセパレーション |
NARROW |
22 |
22 |
dB |
パイロット信号キャリアリーク |
- |
-77 |
-79 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 (MONO) |
- |
0 |
-0.07 |
dB |
使ってみました
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ウッドキャビネットが装着されていると雰囲気が変わる!
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気品のある Accuphase デザインに更に落ち着きを感じるようになり、雰囲気がずいぶん変わります。
高級感が更に増し、暖かみも出ます。
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ウッドキャビネットの天板側に放熱用の穴が開けられていますが、T-105 本体の天板には放熱穴はないので、何の役にも立っていません。
おそらく、このウッドキャビネットはペアになるアンプと同一にしたためでしょう。
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性能・音質は優秀
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感度、音質、ステレオセパレーションは優秀です。
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デザイン・性能・音質に全てに満足できる
超優秀機
です。
お奨めできます。
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その他
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T-105 の [SCANNING] ボタンですが、このボタンは周波数をアップ方向にカウントするだけの機能のようです。
放送局が見つかっても止まる訳ではないです。
こんな機能は無駄と思うのは私だけではないと思います。
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T-105 (1号機)
を修理した時に [SCANNING] 機能を疑問に思っていましたが、これで確信しました。