SONY ST-S333ESA (8号機) が到着
2023年3月19日、鹿児島市の T さんより
SONY ST-S333ESA
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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FM 受信時、最初は良いが1〜2時間たつと音が途切れ出す。
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電源を切ってしばらくすると再び音が出ますが、時間がたつと同様に音が途切れ出す。
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AM は全く聞きません。
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外観
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製造シリアル番号は [203031] で、電源コードの製造マーキングより [1993年製造品] と判明しました。
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純正 AM ループアンテナは添付されていませんでした。
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フロントパネル、側板、リアパネル、天板、底板は全て綺麗な逸品です。
リアパネルの端子類は綺麗です。
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電源 ON にてチェック
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電源は問題なく入り、各ボタンやノブはちゃんと反応します。
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ディスプレイの輝度は少し下がっていますが、まだまだ使えます。
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FM 受信
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感度低下はなさそうです。
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電源を入れてしばらくすると [STEREO] 表示が点灯・消灯を繰り返し、同期して音が途切れます。
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到着時の性能データを測定しました。
問題ない数値が出ています。
項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
54 |
54 |
dB |
NARROW |
39 |
37 |
dB |
高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.023 |
% |
stereo |
0.060 |
% |
NARROW |
mono |
0.38 |
% |
stereo |
1.4 |
% |
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AM 受信
リペア
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[STEREO] 表示が点灯・消灯を繰り返す
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原因は同調点調整ズレです。
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放送局に同調時に R256 両端電圧が 570mV になっていました。
ここは調整目標値 0±20mV です。
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IFT251 で同調点を再調整して直りました。
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FUSE 抵抗のチェック
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FUSE 抵抗は各回路の電源部に使われています。
この抵抗は劣化しやすいのが難点です。
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チェックしてみると、3本が大きく劣化していたので交換しました。
回路 |
部品番号 |
標準値 (Ω) |
実測値 (Ω) |
判定 |
対策 |
FM FRONT END |
R119 |
100 |
117 |
〇 |
|
WOIS |
R203 |
10 |
10.1 |
〇 |
|
R207 |
10 |
10.1 |
〇 |
|
R211 |
10 |
10.1 |
〇 |
|
R227 |
10 |
10.4 |
〇 |
|
IF |
R259 |
100 |
115 |
〇 |
|
DET |
R274 |
10 |
9.9 |
〇 |
|
R279 |
220 |
177 |
〇 |
|
R292 |
100 |
115 |
〇 |
|
MPX |
R301 |
10 |
10.0 |
〇 |
|
R327 |
47 |
58.6 |
〇 |
|
AM |
R403 |
220 |
361 |
× |
220Ω 1/2W に交換 |
R410 |
150 |
222 |
× |
150Ω 1/2W に交換 |
PLL |
R511 |
220 |
257 |
〇 |
|
R516 |
180 |
231 |
〇 |
|
CONTROL |
R626 |
47 |
63.2 |
〇 |
|
POWER SUPPLY |
R910 |
22 |
24.0 |
〇 |
|
R921 |
220 |
237 |
〇 |
|
R931 |
220 |
389 |
× |
220Ω 1W に交換 |
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電気二重層コンデンサ交換
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プリセットメモリのバックアップ用電気二重層コンデンサを交換しました。
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製造から30年経過 (2023年時点) しているので、交換時期です。
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[C605] 0.1F/5.5V → 1F/5.5V と交換しました。
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右の写真は新しく実装した縦型の電気二重層コンデンサです。
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サイズが大きいので縦型でないと基板に乗らないです。
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0.1F → 1F と10倍の容量になったので、10倍の10ヶ月メモリ保持できるかも?
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ハンダクラック対策
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ST-S333ES シリーズでは銅製のアースバーが敷かれています。
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これはこれで素晴らしいのですが、経年変化でアースバーでハンダクラックが発生しやすいのです。
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目視でハンダクラックとわかる箇所ありませんでしたが、2箇所でハンダの腐食かありました。
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アースバーの全てに補修ハンダを行い、良好になりました。
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リアパネルの端子類
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どうしても端子のリードと基板の間で機械的なタワミを原因とするハンダクラックが発生しやすいのです。
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オーディオ出力端子の L ch. のプリントパターンで断線しかけていました。
ハンダクラックよりもっと深刻です。
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全ての端子のリードと基板のハンダ付け部分に補修ハンダを行い、良好になりました。
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交換した部品の記録
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写真は基板に元付いていた劣化した [電気二重層コンデンサ] [抵抗]×3本 です。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
JW88 |
+30V |
+30.6V |
〇 |
PLL |
JW89 |
+15V |
+15.1V |
〇 |
AUDIO |
JW145 |
-17V |
-17.4V |
〇 |
FL |
JW213 |
+13V |
+13.1V |
〇 |
DIGITAL |
JW220 |
+5.6V |
+5.70V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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同調点以外でそう調整ズレはなかったです。
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FM は再調整で下のような非常に良好な数値となりました。
項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
65 |
70 |
dB |
NARROW |
50 |
44 |
dB |
高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.017 |
% |
stereo |
0.018 |
% |
NARROW |
mono |
0.35 |
% |
stereo |
1.3 |
% |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-69 |
-71 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
445.3 |
Hz |
-6.4 |
dB |
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AM は純正ループアンテナの添付がなく、RF 系調整ができないので、IF 調整のみとしました。
使ってみました
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全体的にゴールド基調のデザイン
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フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
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サイドウッドは鏡面仕上げでラウンド加工されています。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
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解像度がある素晴らしい音。
現代の安物チューナーとは全く異次元の音です。
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AM 受信
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感度は良いです。
ループアンテナでしっかり入感します。