QUAD FM4

QUAD FM4 が到着

2023年3月18日、岩手県一関市の S さんより QUAD FM4 の修理依頼品が到着しました。

定価198,000円 の FM 専用機です。

PLL シンセサイザ方式ではなく、多回転可変抵抗器でバリキャップ電圧を変えて同調します。 どちらかというとバリコン式に近いです。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 素晴らしい作りです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部



リペア

  1. 同調ズレしている

  2. メモリバックアップ用 Ni-MH バッテリから液漏れしている



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。
  

  1. 調整ポイント

    セクション 種別 調整ポイント 調整内容
    フロントエンド L L2
    L4
    L5
    RF トラッキング
    VR RV1
    RV2
    RV3
    L L6 OSC トラッキング
    IFT L10 IF
    IF IFT L11 IF
    L15-L QR 同調点
    L15-R QR 歪補正
    VR RV7 S メータ
    MPX VR RV5 ステレオセパレーション
    RV6 MPX VCO
    LPF L17 キャリアリークフィルタ (R)
    L18 キャリアリークフィルタ (L)
    周波数カウンタ TC CV1 3.2768MHz 微調

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    A A〜GND 間 同調基準電圧 (H) +8.4V
    B B〜GND 間 同調基準電圧 (L) +2.4V
    R36 左側 R36 左側〜GND 間 S メータ HA12412-13pin
    C32 C32 両端 T メータ HA12412-6〜7pin

  3. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定 備考
    C6 +端子 +12V +11.7V チューナ
    C4 +端子 +30V +32.3V FL (表示)
    C57 +端子 +7V +7.19V FL (ヒ−タ)

  4. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 FM4 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - TUNE : ON - -  
    2 - - - A 点電圧 = 約8.4V TUNE VOLTS 正常確認
    3 - - - B 点電圧 = 約2.4V
    4 [A 点電圧]- [B 点電圧] = 6.0V であることを確認
    5 - 同調ノブを
    反時計方向に回し切る
    L6 周波数表示 = 75.5MHz OSC トラッキング調整
    6 - 同調ノブを
    時計方向に回し切る
    - 周波数表示 = 90.5MHz 以上
    確認のみ (91.4MHz 程度)
    7 78MHz
    30dB
    無変調
    78MHz 受信 L2
    L4
    L5
    R36 左側電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    8 88MHz
    30dB
    無変調
    88MHz 受信 RV1
    RV2
    RV3
    9 手順7〜8を数回繰り返す
    10 83MHz
    30dB
    無変調
    83MHz 受信 L10
    L11
    R36 左側電圧 = 最大 IF 調整
    11 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 L15-R オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 検波調整
    12 L15-L C32 両端電圧 = 0±20mV
    13 手順11〜12を数回繰り返す
    14 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    83MHz 受信 RV6 以下の [VCO 調整手順] を参照 VCO 調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L
    L10
    L11
    L ch. オーディオ出力 = 高調波歪最小 ステレオ高調波歪調整
    16 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    RV5 L/R ch. オ−ディオ出力 = 最小 セパレーション調整
    17 83MHz
    70dB
    無変調
    RV7 S ラダー = ちょうどフル S ラダーレベル調整

  5. 調整結果



使ってみました

  1. 小気味良い QUAD デザイン

  2. 使い方

  3. 感度と音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    感度 (75Ω) mono : 1uV/1.2dBf (S/N 30dB)、2.7uV/10dBf (S/N 50dB)
    stereo : 25uV/29dBf
    S/N 比 mono : 76dB
    stereo 70dB
    歪率 mono : 0.05%
    stereo : 0.1%
    選択度 53dB
    キャプチャーレシオ 1.5dB
    IF 妨害比 100dB
    AM 抑圧比 60dB
    イメージ妨害比 80dB
    パイロットトーン抑圧比 60dB (パイロット信号キャリアリーク)
    クロストーク (1kHz) 40dB (ステレオセパレーション)
    周波数特性 20Hz〜15kHz +0dB -1dB
    出力レベル 100mV (30%変調)
    ソースインピーダンス 100Ω
    最適負荷抵抗 20kΩ以上
    アンテナ入力 75Ω不平衡型 (PAL)
    電源入力 AC100〜125V/200〜250V, 50/60Hz
    外形寸法 321(W)×64(H)×207(D)mm
    重量 3kg
    その他
    発売時期 1982年
    定価 198,000円