Pioneer TX-8800

Pioneer TX-8800 が到着

2023年2月21日、南埼玉郡の U さんより Pioneer TX-8800 の修理依頼品が到着しました。

[TX-8800U] は触ったことがありますが、[TX-8800] に触るのは初めてです。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 古き良き時代の作りです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部

  4. FM 検波部

  5. FM MPX 部

  6. AM 受信部



リペア

  1. FM で常時ボソボソという雑音が入る

  2. 電解コンデンサ交換

  3. バリコン軸の接触回復

  4. 以下の現象は次項の再調整で直りました。

  5. ダイヤルスケール内に汚れがある



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    FM/AM 基板 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L LA
    LR1
    LR2
    RF トラッキング
    TC TCA
    TCR1
    TCR2
    L LO OSC トラッキング
    TC TCO
    IFT IF IF
    チューナ基板 IFT T1 QR 検波
    VR VR1 S メータレベル
    VR2 MPX VCO
    VR3 ステレオレパレーション
    L L2 アンチバーディ
    L2
    AM (リアパネル) L バーアンテナ RF トラッキング
    フロントエンド TC AM1
    チューナ基板 L L3 OSC トラッキング
    フロントエンド TC AM2
    チューナ基板 IFT T2 IF





  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    [電源基板] 11pin +13V +13.4V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 TX-8800 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AUTO
    MUTING : OFF
    MPX FILTER : OFF
    - -  
    2 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 付近で受信 - オーディオ出力 = 高調波歪最小 同調点調整
    3 T1 下側コア T メータ = センタ
    4 78MHz
    90dB
    無変調
    指針を 78MHz に
    合わせる
    LO T メータ = センタ OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせる
    のが目的
    5 88MHz
    90dB
    無変調
    指針を 88MHz に
    合わせる
    TCO
    6 手順4〜5を数回繰り返す
    7 78MHz
    40dB
    無変調
    78MHz 受信 LA
    LR1
    LR2
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    8 88MHz
    40dB
    無変調
    88MHz 受信 TCA
    TCR1
    TCR2
    9 手順7〜を数回繰り返す
    10 83MHz
    40dB
    無変調
    83MHz 受信 IF S メータ = 最大 IF 調整
    11 83MHz
    90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 T1 上側コア オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 調整
    12 T1 下側コア T メータ = センタ
    13 手順11〜12を数回繰り返す
    14 83MHz
    60dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 VR1 S メータ = 4 S メータ調整
    15 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz L+R
    VR2 下の [VCO 調整手順] を参照 MPX VCO 調整
    16 83MHz
    90dB
    stereo 1kHz R/L
    VR3 L/R ch. オーディオ出力 = 最小 セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 TX-8800 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AM - -  
    2 600kHz
    30dB
    無変調
    指針を 600kHz に
    合わせる
    L3 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    ダイヤルと指針を合わせる
    のが目的
    3 1400kHz
    30dB
    無変調
    指針を 1400kHz に
    合わせる
    AM2
    4 手順2〜3を数回繰り返す
    5 600kHz
    30dB
    無変調
    600kHz 受信 バーアンテナ S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    30dB
    無変調
    1400kHz 受信 AM1
    7 手順5〜6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    30dB
    無変調
    1000kHz 受信 T2 S メータ = 最大 IF 調整

  5. 調整結果



使ってみました

  1. デザイン

  2. 機能関連

  3. 性能・音質



仕様

    FM 受信部
    実用感度 (300Ω) mono 1.9uV (IHF)
    S/N 比 50dB 感度 (300Ω) mono 4uV
    stereo 50uV
    S/N 比 mono 73dB
    stereo 68dB
    高調波歪率 mono 0.2% (100Hz), 0.2% (1kHz), 0.2% (10kHz)
    stereo 0.3% (100Hz), 0.3% (1kHz), 0.6% (10kHz)
    キャプチャーレシオ 1.0dB
    実効選択度 80dB (400kHz)
    ステレオセパレーション 40dB (1kHz), 35dB (50Hz〜10kHz)
    周波数特性 50Hz〜10kHz +0.2dB -0.5dB
    20Hz〜15kHz +0.2 -2.0dB
    イメージ妨害比 85dB
    IF 妨害比 90dB
    スプリアス妨害比 90dB
    AM 抑圧比 55dB
    キャリアリーク抑圧比 65dB
    ミューティング動作レベル (300Ω) 2.2uV
    アンテナ 75Ω不平衡型 / 300Ω平衡型
    AM 受信部
    実用感度 300uV/m (バーアンテナ)
    15uV
    選択度 35dB
    S/N 比 50dB
    イメージ妨害比 40dB
    IF 妨害比 55dB
    総合
    出力レベル/インピーダンス Fixed 650mV/5kΩ
    Variable 50mV〜1.5V/2.5kΩ
    4ch MPX 250mV/5kΩ
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 15W
    外形寸法 420(W)×150(H)×365(D)mm
    重量 8.0kg
    その他
    発売時期 1974年
    定価 44,500円