ONKYO T-5

ONKYO T-5 が到着

2022年6月4日、広島市の Y さんから ONKYO T-5 の修理&再調整依頼品が到着しました。

ONKYO は破産 してしまったので、修理は私の所に来るしかないのです。

[FM 4連バリコン] [OP アンプを用いたサーボロック] がウリのチューナです。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは普通です。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. フロントエンド

  3. IF 部

  4. 検波部

  5. MPX 部

  6. AM 部



リペア

  1. 0.2MHz 程度の周波数ズレがある

  2. STEREO で合わせた後、MONO に切り替えるとセンターの位置が少しずれる

  3. S メータの振れが小さい

  4. [OUTPUT LEVEL] のボリュームに少しガリがある



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



    FM/AM 機能 種別 調整ポイント 調整内容
    FM フロントエンド L L001
    L002
    L003
    RF トラッキング
    TC TCF1
    TCF2
    TCF3
    L L005 OSC トラッキング
    TC T001
    IF VR R111 S メータ調整
    DET IFT L102 同調点 (NULL)
    IFT L103 検波歪調整
    MPX VR R202 ステレオセパレーション
    R209 VCO フリーラン周波数
    Servo Lock VR R156 サーボロック調整 (NULL)
    AM フロントエンド L バーアンテナ RF トラッキング
    TC TCA1
    L L171 OSC トラッキング
    TC TCA2
    IF IFT X171
    L172
    IF 増幅

  2. テストポイント (TP)

    TP 接続先 内容 備考
    S メータ S メータ端子両端 S メータ 受信レベル
    T メータ T メータ端子両端 T メータ FM 同調点で 0±2mV
    TP101 TP101〜GND 間 IF 10.7Hz (DC 電圧がかかっている)
    TP141 TP141〜GND 間 Servo Lock サーボロック出力
    TP171 TP171〜GND 間 AM S メータ  
    TP201 TP201〜GND 間 VCO 周波数 76kHz±200Hz

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 T-5 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - NOISE FILTER : OFF
    MUTING : OFF
    SELECTOR : FM
    - -  
    2 SSG 出力を 0.01uF 程度のコンデンサを介して TP101 に注入する  
    3 10.7MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    MUTING : OFF L102 T メータ両端電圧 = 0±2mV FM 同調点調整
    4 MUTING : ON R156 T メータ両端電圧 = 手順3と同一値 Servo Lock NULL 調整
    5 SSG 出力をアンテナ端子に戻す  
    6 76MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    76MHz 受信
    MUTING : OFF
    L005 T メータ両端電圧 = 0±2mV OSC トラッキング調整
    7 90MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    90MHz 受信 T001
    8 手順6と7を数回繰り返す
    9 76MHz
    40dB
    変調 : mono 1kHz
    76MHz 受信 L001
    L002
    L003
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    10 90MHz
    40dB
    変調 : mono 1kHz
    90MHz 受信 TCF1
    TCF2
    TCF3
    11 手順9と10を数回繰り返す
    12 83MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    83MHz 受信 L103 オーディオ出力 = 高調波歪最小 検波調整
    13 L102 T メータ両端電圧 = 0±2mV
    14 手順12と13を数回繰り返す
    15 83MHz
    90dB
    変調 : mono 1kHz
    - R209 TP201 = 76kHz±200Hz
    周波数カウンタで測定
    VCO 調整
    16 83MHz
    90dB
    変調 : stereo 1kHz R/L-only
    83MHz 受信
    MUTING : ON
    R202 L/R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 T-5 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - SELECTOR : AM - -  
    2 600kHz
    60dB
    600kHz 受信 L171 S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    3 1400kHz
    60dB
    1400kHz 受信 TCA2
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 600kHz
    40dB
    600kHz 受信 バーアンテナのコア S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz
    40dB
    1400kHz 受信 TCA1
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 1000kHz
    40dB
    1000kHz 受信 X171
    L172
    S メータ = 最大 IF 調整

  5. 調整結果

    1. FM フロントエンドで大きなトラッキングのズレがありましたが、再調整で大幅改善しました。

      • 感度が大きくアップしました。

      • ダイヤルと指針ほぼ合うようになりました。

    2. スレテオセパレーションも大幅アップ (10倍近く) して、以下のようになりました。

      • ステレオ時の高調波歪率は 0.3% でした。 普通程度です。

      項目 L R 単位
      ステレオセパレーション 47 47 dB
      パイロット信号キャリアリーク -49 -48 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 -0.24 dB

    3. AM も再調整により、少し感度アップしました。



使ってみました

  1. デザイン

  2. 機能関連

  3. 端子類

  4. 受信性能&音質