ONKYO MT-1000

ONKYO MT-1000 をゲット!

2009年9月21日、私のチューナーページのファンから ONKYO MT-1000 の寄贈を受けました。 音が出ない!現象らしいです。

タイマー付チューナーなのでローコストクラスと思って今まで手を出しませんでしたが、解析してみて意外と良い機種だと判明しました。 手抜きはないです。 1984年に定価55,000円で発売されたので、当時の中級機クラスと思われます。



程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良く、チューナー基板, MCU 基板, フロントパネル基板に分かれます。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. IC を使用して合理化が図られています。


  3. FM フロントエンド

  4. FM IF 部

  5. FM 検波部

  6. FM MPX 部

  7. AM 受信部

  8. 時計&タイマー部



修理&クリーニング

  1. 音が全く出ない

  2. [POWER] スイッチの上部の電源表示ランプが点灯しない

  3. FL 表示管の回りにゴミが付着しています

  4. フロントパネルは OA クリーナによるクリーニングで綺麗になりました。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

    測定ポイント 標準値 (V) 実測値 (V) 備考
    JC1-1pin +12 +11.85 チューナー電源
    JC1-3pin +5.6 +5.64 MCU 電源

  2. FM 受信部

    手順 SSG周波数 SSG出力 MT-1000 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    FM BOOST : ON
    IF BAND : WIDE
    MUTE/MODE : OFF
    - -  
    2 - - 76.1MHz 受信 L007 VT 電圧 = 3.3V VT low
    3 - - 89.9MHz 受信 TC004 VT 電圧 = 19.0V VT high
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 76.1MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    76.1MHz 受信 L001
    L003
    L004
    D108 フロント側電圧 = 最大  
    6 89.9MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    89.9MHz 受信 TC001
    TC002
    TC003
    D108 フロント側電圧 = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    9 83MHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    83MHz 受信 L005
    L102
    D108 フロント側電圧 = 最大 IF 調整
    10 83MHz 変調 : 1kHz mono
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 L104 左側コア オーディオ出力 = 高調波歪最小  
    11 83MHz 変調 : 1kHz mono
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 L104 右側コア TP2〜TP3 電圧 = 0V ±20mV 以内
    12 - - - - 手順10と11を数回繰り返す クォードラチュア検波調整

  3. FM MPX 部

    手順 SSG周波数 SSG出力 MT-1000 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : FM
    FM BOOST : ON
    IF BAND : WIDE
    MUTE/MODE : ON
    - -  
    2 - 出力 : OFF 83MHz 受信 R218 TP4 周波数 = 76kHz±200Hz VCO フリーラン周波数
    3 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : 1kHz stereo
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 L005
    L102
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 ±90度以内で調整
    4 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 R203 オーディオ出力電圧 = 19kHz 成分最小 Pilot 信号キャンセラー
    5 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : R only, 1kHz
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 R206 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    (R→L への漏れ音)
    6 83MHz Pilot 信号 : ON
    変調 : L only, 1kHz
    出力 : 90dB
    83MHz 受信 R208 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整
    (L→R への漏れ音)

  4. AM 受信部

    手順 SSG周波数 SSG出力 MT-1000 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - BAND : AM - -  
    2 - - 522Hz 受信 L302 VT 電圧 = 1.3V VT low
    3 - - 1611kHz 受信 TC302 VT 電圧 = 15.0V VT high
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 603kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    603kHz 受信 L301 S メータ = 最大  
    6 1395kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    1395kHz 受信 TC301 S メータ = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 999kHz 変調 : OFF
    出力 : 30dB
    999kHz 受信 L303
    X301
    S メータ = 最大 IF 調整

  5. 調整結果

    1. 全体に調整ズレがありました。 特に FM フロントエンドのズレが大きかったです。

    2. FM ステレオセパレーションとキャリアリークは以下です。 WIDE 時は問題ない数値です。 NARROW 時はセパレーションが大きく落ち込みます。 できるだけ WIDE で使ったほうがよいです。

      項目 IF BAND L R 単位
      ステレオセパレーション WIDE 48 51 dB
      ステレオセパレーション NARROW 18 18 dB
      パイロット信号キャリアリーク - -54 -55 dB
      オーディオ出力レベル偏差 (MONO) - 0 +0.08 dB



使ってみました

  1. デザインは良いです

  2. 機能

  3. 感度&音質



タイマーの使い方



仕様