KENWOOD KT-6050 (2号機) が到着
2023年6月5日、千葉県船橋市の K さんより
KENWOOD KT-6050
の修理依頼品が到着しました。
この写真は修理後です。
到着時には [STEREO] 表示が出ませんでしたが、このように表示されるようになりました。
FL 表示器の右上にある赤い表示です。
程度&動作チェック
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依頼者のコメント
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同調レベルバーが右にずれている点が気になっています。
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音については今のところ気になることはないのですが、部品の経年劣化も考えられるので診ていただきたいです。
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外観
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製造シリアル番号は [50200337] で、電源コードの製造マーキングより [1994年製造品] と判明しました。
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[純正 AM ループアンテナ] の添付はありませんでした。
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フロントパネルは非常に綺麗です。
リアパネルも綺麗で RCA 端子に輝きがあります。
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天板には汚れはありますが、概ね綺麗です。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、操作ボタンの動作は正常です。
まだ見えますが FL 表示器はかなり痩せています。
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FM 受信
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-0.2MHz の周波数ズレがあります。
80MHz の放送が 78.8MHz で受信。
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[STEREO] 表示が点灯せず、音もモノラルです。
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AM 受信
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特に問題なく受信できました。
ニッポン放送 (1242kHz) ではちゃんと AM ステレオ受信できました。
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カバーを開けてチェック
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基板は綺麗で、目視でわかる劣化部品も見当たりません。
リペア
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-0.2MHz の周波数ズレがある
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原因は FM 同調点の調整ズレです。
[L35] を再調整して直りました。
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同時に [STEREO] 表示が点かない現象も直りました。
音の解像度がぐんと上がって良い音になりました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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以下のように良好でした。
VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
Q88-E |
+27V |
+28.4V |
〇 |
Q92-E |
+15V |
+15.2V |
〇 |
Q98-E |
-15V |
-14.2V |
〇 |
IC30-OUT |
+5.6V |
+5.57V |
〇 |
Q100-E |
-33.5V |
-33.1V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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再調整にて、感度がかなり上がり、[STEREO] 表示が出るようになって音質が向上しました。
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ステレオセパレーションや高調波歪率などは以下のように良好です。
項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
60 |
64 |
dB |
NARROW |
57 |
57 |
dB |
高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.019 |
% |
stereo |
0.019 |
% |
NARROW |
mono |
0.023 |
% |
stereo |
0.045 |
% |
パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-78 |
-80 |
dB |
オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
+0.27 |
dB |
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AM 受信部
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[純正 AM ループアンテナ] が添付されなかったので、やむを得ず (純正でない) 手持ちのループアンテナで調整しました。
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従って、[純正 AM ループアンテナ] では最高感度にならないと思います。
使ってみました
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デザイン
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フロンパネルはカーブが付けられたアルミ・ヘアラインです。
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FM アンテナ F 端子が2個あります。
アンテナを2系統から選択できます。
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残念ながら、ボタン操作は硬く、プラスチックで感触はイマイチです。
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プリセットメモリは39局分もあり、使い切れません。
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留守録用のプログラムメモリは3局分あります。
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[ACTIVE RECEPTION] 機能
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[RF ATT] [IF BAND] [MODE (AUTO/HI-BLEND/MONO)] を受信状態に合わせて、MCU が自動的に切り換えてくれます。
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面白い機能です。
MCU が状況判断するのに2秒くらい掛かります。
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受信性能と音質
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FM フロントエンドは5連バリコン相当で、高感度で妨害電波排除能力にも優れ、高性能です。
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KENWOOD らしいカチッとした音質で、良い音です。
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AM stereo はフヮ〜としたステレオ感です。
音質は高音まで気持ち良く出ます。
良い音です。