Pioneer F-100D

Pioneer F-100D をゲット!

2016年8月1日、 Pioneer F-100D を平塚市の K さんより研究用として寄贈いただきました。 リペア&再調整を8月19日に完了しました。

製造シリアル番号は GD1003964 です。



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 入手した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. エントリー機の割にはシッカリ作られています。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. 以下の IC を使用して合理化が図られています。

    メーカ IC 機能
    Pioneer PA5007 PLL FM MPX
    PA5008 FM IF System
    NEC uPC1163H FM IF amplifier
    SANYO LA1247 AM Electronic Tuner
    TOSHIBA TC9147BP Digital Tuning System
    TD6104P ECL Prescaller for FM
    TD6301AP Static Driver for LED/LCD Receiving Frequency Display

  3. FM フロントエンドは4連バリキャップ式で、以下の構成です。

  4. FM IF 部は以下の構成です。 中級機以上の wide/narrow 切換を wide だけにしたような回路です。

  5. FM 検波部は [PA5008] のクォードラチュア検波です。

  6. MPX 部は [PA5007] を使った PLL MPX です。

  7. AM 受信部は [LA1247] で全てを構成します。 AM フロントは2連バリキャップ式です。

  8. プリセットメモリのバックアップは 2200uF/6.3V 電解コンデンサで行います。



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント

    FM/AM 種別 調整ポイント 調整内容
    FM L L1 RF
    L L2
    L L3 OSC
    IFT T1 IF
    IFT T2 QR 検波 (同調点)
    VR VR101 MUTING
    VR VR102 SUB
    VR VR103 DIST
    VR VR201 SEPA (L)
    VR VR202 SEPA (R)
    VR VR203 VCO
    VR VR204 PILOT
    VR VR205 REC LEVEL
    LPF F201 38kHz Fileter (R)
    LPF F202 38kHz Fileter (L)
    AM L T301 RF
    TC TC301
    L L301 OSC
    TC TC302
    IFT+CF F301 IF

  2. TP

    FM/AM TP 測定内容
    FM TP1 VCO
    TP2 TUNING
    TP3
    TP4 SUB
    FM/AM TP5 SIGNAL
    TP6 VT

  3. 電圧測定

    測定ポイント 標準値 実測値 備考
    JP53 +5 +5.6V +5.66V MCU などのデジタル用
    +12 +14V +15.0V チューナ部などのアナログ用
    H.S +16V 程度 +16.1V 電源ミュート用

  4. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-100D の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FM/AM : FM
    MUTING : ON
    REC LEVEL
     CHECK : OFF
    - -  
    2 - - 90MHz 受信 L3 TP6 電圧 = 8.11V (実測値) VT High 調整
    3 - - 76MHz 受信 - TP6 電圧 = 2.87V (実測値) VT Low 確認のみ
    4 83MHz 30dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 L1
    L2
    T1
    TP5 電圧 = 最大 RF & IF 調整
    5 90dB
    変調 : MONO 1kHz
    T2 左コア
    VR103
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 調整
    6 T2 右コア TP2〜TP3 間電圧 = 0V
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 83MHz 90dB
    変調 : MONO 1kHz
    83MHz 受信 VR102 TP4 電圧 = AC 成分最小 SUB balance 調整
    オシロスコープで観測
    9 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    VR203 VR203 を回して [STEREO] ランプが
    点灯する範囲の中間位置に設定
    MPX VCO 調整
    10 VR204 オーディオ出力電圧
     = 19kHz 成分最小
    Pilot Cancel 調整
    11 F202 L ch. オーディオ出力電圧
     = 38kHz 成分最小
    キャリアリーク調整 (L)
    12 F201 R ch. オーディオ出力電圧
     = 38kHz 成分最小
    キャリアリーク調整 (R)
    13 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : STEREO 1kHz
    T1 オーディオ出力 = 高調波歪最小 ステレオ歪調整
    コア回転は±180度以内
    14 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R ch. only 1kHz
    VR202 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整 (L)
    15 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : L ch. only 1kHz
    VR201 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整 (R)
    16 22dB
    変調 : MONO 400Hz
    VR101 MUTING ON/OFF 切替ギリギリに設定 MUTING レベル調整
    17 90dB
    変調 : MONO 400Hz
    - オーディオ出力電圧を記録 REC レベル調整
    18 REC LEVEL
     CHECK : ON
    VR205 オーディオ出力電圧 = 手順17の -6dB

  5. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 F-100D の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FM/AM : AM - -  
    2 - - 522kHz 受信 L301 TP6 電圧 = 1.36V (実測値) OSC トラッキング調整
    3 - - 1629kHz 受信 TC302 TP6 電圧 = 11.04V (実測値)
    4 手順2と3を数回繰り返す
    5 603kHz 40dB
    変調 : OFF
    603kHz 受信 T301 TP5 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    6 1404kHz 1404kHz 受信 TC301
    7 手順5と6を数回繰り返す
    8 999kHz 40dB
    変調 : OFF
    999kHz 受信 F301 TP5 電圧 = 最大 IF 調整

  6. 調整結果

    項目 L R 単位
    ステレオセパレーション 60 60 dB
    パイロット信号キャリアリーク (19kHz) -60 -60 dB
    REC LEVEL CHECK -6.1 -6.1 dB
    328.1 Hz
    オーディオ出力レベル偏差 (MONO) 0 +0.03 dB



使ってみました

  1. デザイン

  2. リアパネルの端子

  3. 操作ボタンやスイッチ

  4. 評価



仕様

    FM チューナ部
    受信周波数範囲 76〜90MHz
    S/N 50dB 感度 (75Ω) mono : 1.77uV (16.2dBf)
    stereo : 21.0uV (37.7dBf)
    実用感度 (75Ω, mono) 0.95uV (10.8dBf)
    S/N 比 (85dBf 入力時) mono : 90dB
    stereo : 84dB
    高調波歪率 (wide) mono : 0.05%(100Hz), 0.04%(1kHz), 0.05%(10kHz)
    stereo : 0.05%(100Hz), 0.05%(1kHz), 0.15%(10kHz)
    キャプチャレシオ 1.0dB
    実効選択度 56dB (400kHz)
    ステレオセパレーション 65dB(1kHz), 45dB(20Hz〜10kHz)
    周波数特性 20Hz〜15kHz +0.5 -1.0dB
    イメージ妨害比 60dB
    サブキャリア抑圧比 55dB
    ミューティング動作レベル 5uV (25.2dBf)
    アンテナ入力インピーダンス 75Ω不平衡、300Ω平衡
    AM チューナ部
    受信周波数範囲 522〜1629kHz
    実用感度 150uV/m
    選択度 40dB (±9kHz)
    S/N 比 50dB
    総合
    出力レベル/インピーダンス FM(100% 変調) : 650mV/1.4kΩ
    AM(30% 変調) : 150mV/1.4kΩ
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 8W
    外形寸法 420(W)×60(H)×221(D)mm
    重量 3.0kg
    その他
    製造時期 1984年
    定価 36,800円