Panasonic AL-TA10

AL-TA10 とは TA方式(銀塩式)のデジタルプリンタです。 1998年4月18日に秋葉原の「OAシステムプラザ」で 9,800円にて購入しました。 デジカメなどの画像を印刷するのに使います。

Windows95ドライバー同梱で、はがき作成ソフト「Mr.Postman」がバンドルされています。

1998年4月18日にデジカメ用の格安デジタルプリンタ(昇華型プリンタ相当)を物色しました。 144DPIでいずれも定価は4〜7万円ですが、なぜか格安で投げ売りしているのです。
ヨドバシカメラ上野店 オリンパス  PD−150  \9,800
T−ZONE     オリンパス  PD−150  \9,800
LAOX       三菱     型名忘れ    \9,800
OAシステムプラザ  パナソニック AL−TA10 \9,800
このくらいの値段なら騙されて買ってもいいなあ...と思ってしまいました。 OAシステムプラザで AL-TA10 が \9,800という値段を見た時は驚いてしまいました。 思わず、店員に聞いてしまいました。
「本当にこの値段?どこか悪いんじゃないの?」
「値段は本日よりこの値段に下げました。 騙されたと思って買ってください。 売値3〜4万円の他のデジタルプリンタとグレードは変わりません。 むしろ、こっちのほうが発色が良いです。絶対におすすめですよ。」
「ふーん」
その10分後にはこのプリンタを抱えてお店を出ていました。

このプリンタにはオートサーモクロームペーパーというハガキ大の専用用紙を使います。 用紙自体が発色するのでリボンカセットが不要です。 このためか、20枚セットで 800円とこの手のプリンタ用紙では安いほうに入ります。 用紙の供給メーカがパナソニック以外に富士フィルムも出しているので、供給が安定に受けられそうな気がしました。

デジプリ AL-TA10 自己発色方式を TA方式と言います。 富士フィルムが開発したそうです。 フィルムメーカらしい発想です。 この TA方式を理解するために資料をもらってきました。 TA方式ではベース支持体(紙というよりプリンテル用紙みたいです。)の上にシアン記録層,マゼンダ記録層,イエロー記録層と4重構造になっています。 これに紫外線を当て熱を発生させることにより、各色層を自己発色させます。 これであるとプリントした画像は熱に弱いのでは?と思われますので、実験してみました。 プリントした TA用紙をドライヤーでガンガン熱してみました。 とても手で触れないくらいです。 結果、TA用紙は変色しませんでした。 特に熱に弱いということもないようです。

A6サイズ昇華形プリンタの用紙のコストを秋葉原価格で比較してみます。
   三菱方式:90円/枚
VP・MP方式:60円/枚
   TA方式:40円/枚
何だか TA/VP・MP/三菱のコスト比較では1.5倍の法則が成立するようです。


<ともかく使ってみました>

持ち帰って早速使ってみました。 用紙は光に反応するらしく遮光袋に入っていました。 印刷面は全体が黄色です。 昔の青焼きコピー用紙のような色です。 プリンタへは JPEGファイルを送るだけです。 印字中は用紙が3回スタッカと印字機構を往復します。 たぶん、CMY(シアン,マゼンダ,イエロー)の3色の印刷処理を別々にやるのだと思います。

印刷結果はスバラシイ!!につきます。 パッと見た目には普通の写真のように見えます。 9,800円のプリンタの印刷結果には見えません。買って正解でした。


<デジプリ AL-TA10についてインターネット検索をしてみました>

パナソニック AL-TA10 は富士フィルム NC-3D と同じ製品のようです。 どちらが OEMなのかわかりませんが、写真で見る限り全く同じ製品に見えます。 デジプリとしてはデザインも良いし、大きさも小さいし、用紙のオートフィーダも標準で付いているし...結構良いです。 定価は 45,800円のようです。これが9,800円で買えるので、お手軽デジカメファンにはおすすめと思います。

私が良いと思うのは以下の点です。
  1. ともかくランニングコスト(用紙代)がデジプリの中では最小と思われる。
  2. 用紙が自己発色するので、これは写真の印画紙の原理と同じなので、原理的に一番写真近いプリント結果が得られる。
インターネット上の製品ページは以下です。
http://www.pcc.panasonic.co.jp/p3/product/catalog/cyber/0030/
http://www.fujifilm.co.jp/products/nc3d/index.html


<デジプリ AL-TA10 を評価しています>
  1. インタフェースとしてはセントロ・パラレルと MAC用 miniDINシリアルコネクタがあります。 Windows95ドライバーは標準でセットされていますが、MAC用は別売で 8,000円です。 最近、MACは虐げられていますね。
  2. 電源ケーブルをプリンタ後面にグルグルと巻き上げられるコードブラケットが付いているので、収納やプリンタ移動時に楽です。 アイデアものです。
  3. 添付ソフトウェアとして「Mr. Postman」というのがありました。 私はてっきりプリンタ用画像処理ソフトだと思ってインストールしましたが、結果、ただのハガキ宛名書きソフトでした。 ほとんど役に立たない。 と言うことで、プリンタ用のソフトとしてはドライバーしかないのです。 説明書を見ると「ペイントソフトでプリントして下さい。」としか書いていません。

<昇華形プリンタ(TAも)はなぜ美しいのか?>

以下の URLに昇華形プリンタはなぜ美しいのかの説明があります。 一読をお勧めします。 昇華形プリンタでは1画素の濃淡で階調を表現できるが、インクジェットプリンタでは階調を表現するために1画素を複数のドットの集まりで表現する。 このため、インクジェットプリンタの 7200DPIは昇華形プリンタの 90DPIに相当そうです。

そうだとすると、AL-TA10 は 144DPI ですから、これと同じ階調表現をインクジェットプリンタで行うとしたら 1152DPI必要みたいです。

http://web.kyoto-inet.or.jp/org/pep-m/Japanese/doc/explain.html

AL-TA10では有効印刷サイズは、印刷結果の光沢面測定より 127x84mmと思われます。 これを DPI表現すると
   (127/25.4)*144=720, (84/25.4)*144=476
720x476ドットとなりますから、スペックの 720x480ドットとピッタリ計算が合います。 よって、AL-TA10 は間違いなく 144DPI と言えます。

これらの計算より AL-TA10 プリンタは 35〜41万画素クラスのデジカメの解像度と同じです。 35〜41万画素の DPIを倍にすると画素数は面積比ですから4倍必要となり 140〜164万画素となります。 よって理論上 140万画素クラスのデジカメには 288DPIのデジプリが必要となります。 これをインクジェットプリンタで表現するとなると 2304DPI必要となり、現状とても無理ですね。